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お肉屋さんで挽き肉を

 #買ってよかったもの

5歳の娘を保育園に迎えに行ったのは、もう6時すぎだった。
うーん、この後で行くか迷う。
いつもより少し回り道しなければならない。
でも、そんな私を後押ししたのが、知人の「その場で挽いてくれる」「スーパーとは全然違う」という言葉だった。

個人でひっそりとやっている、近所の精肉店。
口コミで知らなければ、通りすぎてしまうような場所にある。

以前からその名を聞いてはいた。けれど、挽き肉の味がそんなに違うなんて、ふわっふわっなんて、メンチカツも絶品なんて、そんなことを聞いたら、もう、行かざる終えない。

私の話をすると、フルタイム共働き、ワンオペ以前に料理にこだわる性格ではない。
スーパーに行くと「国産でなきゃダメ」と言っていた同僚を思い出しながら、ブラジル産をとる人。安いから。
作り置きとかするくらいなら、惣菜買う人。
なんならカレーを10皿分一気に作って、作り置きとかいっちゃう人(毎日『カレーの何か』になる)。
ついでに娘も何でも食べる人。

メンチカツその場であげてくれるという情報もあったので、今夜はそれでメインは決まり!
そう思って、ママチャリを飛ばし、店にたどり着いた。

昭和の時代から変わっていないであろう内装。モダンとはお世辞にもいえないが、シンプルで無駄がない。

お姉さんとおじいちゃんが愛想よく挨拶してくれる。娘に可愛いといってくれる。きっとお店の人はこの2人だけ。
生肉素手でガンガン持つ。さすが70年やっていると言われているだけある。

メンチカツの種を頼むとその場であげてくれる。新鮮な油のいい香りが立ち込める。

これだけでいいかと思ったけど、せっかくなので、挽き肉もお願いする。
合挽き200g370円くらい。たしか。

待合室みたいなベンチでしばらく待つ。
感謝状が飾られている壁を見たりしながら。

キレイな挽き肉は、コロッケとか入れるようなパックにおさまりビニール袋に包まれる。スーパーのパックとラップとは全然違う。

ホクホクしながら帰ってきて、腹ペコな娘が早々に手を洗い、メンチカツにかぶりつく。
ザクッと良い音がする。

そこで気づいてしまった。なんだか、いつもの食卓が楽しい。娘のフライングを見つつ、汁物を出しつつも、タマネギのみじん切りをする。

7時半からタマネギのみじん切り!

そうだった。

帰る道、もう頭のなかは挽き肉でいっぱいになってたんだ。いつもならいかに時短でできるかなと考えるのに、今日はあの肉をどうやって生かそうかなと思ってる。そぼろか、アレか。
なんせふわっふわっを体験したい。

やっぱりアレだな。
ご飯を食べ、卵を出し、冷凍食パンを削る。玉ねぎを炒める。

食べ終わってから、こねて、じっくり焼く。
お腹いっぱいのはずの娘が、待ちきれずに覗き込む。

ハンバーグ。
なんか月ぶりだろう。1から作ったハンバーグは。良い色。お弁当用に小さいのも。

2人で味見。

わっ!

本当に、ふわっふわっ!!!

2人でわらいあって、もう一口。

残りは明日にとっておこう。

幸せ。

お肉屋さんでお肉を買った、たったそれだけなのにハンバーグを手間ひまかけて作ろうという気になれるなんて。
そして、美味しいって、幸せだ。

あと、今度会ったら知人に言いたい。きっと楽しい。幸せはまだ続いていく。

これがQOLなのか。

挽きたてのお肉一つが、『食べる』ということは、本来どういうことなのか再認識させてくれたような気がした。

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