見出し画像

ペンギンの憂鬱

ロシア・サンクトペテルブルク生まれで3歳の時に家族でキーウへ移ってきた、ウクライナの国民的作家であるアンドレイ・クルコフ氏。氏の事を知ったのは現在通っている某大学のエクステンションセンターの講座で。
氏の『ペンギンの憂鬱』は約40カ国に訳され、1996年国際的なベストセラー作家になったと先生から聞き、気になっていたところ、かんじいさんがnoteで取り上げてらっしゃいました。

詳しく書くとネタバレになってしまうので少しだけ。キエフ(現在キーウ)に住む主人公男性のヴィクトルと彼が飼っている憂鬱症のペンギンの話です。

ヴィクトルはある時、新聞社の編集長からまだ生きている人の追悼記事を書く仕事を依頼されます。そして彼の書いた記事が徐々に掲載されるようになり…
色んな出来事が起きて、最後の方、一体どうなっていくんだろう、と残ページ数を気にしながら読み進めると、最後の一行で「あぁ…」となりました。

かんじいさんもお書きになっていらっしゃいましたが、犬や猫ではなくペンギンを登場させてブラックコメディに仕立てたのが天才的だと思いましたね。

私ははずかしながら、今までまともにウクライナ文学はもちろん、ロシア文学を読んだ事もなく。
あちらの生活習慣や歴史、思想についても今回4月からのこの講座をとり、先生が取り上げてくださったCNN や BCC、Timesなどを読み進めるうちに、ほんのちょっとずつですが、今まで知らなかった事情を知るようになってきたところだったので、本当に興味深い一冊でした。

もちろんフィクションもあるのでしょうが、職業によって墓の割り当てが違ったり、追悼の様子が主人公の体験する様子からうかがえて、興味深かったです。

また、何があっても普通につまみさえもなくハードリカーなんだな、という日常の一コマになるほど、と思ったり。外のバーやなんかでオーダーする場合「◯グラムで」と頼んだりするのびっくりでしたね。

九十年代だからなのか、現実問題そんなものなのかはよくわからないのですが、別荘地で爆発が起き、原因は、というと…あるお宅が泥棒よけに地雷を設置しておいたところ、泥棒が見事にそれにひっかかり、爆死。もちろん泥棒は悪いのでしょうが設置した方は全くのお咎めなし、というのも衝撃でしたね。

全くの血のつながりの無い3人とペンギンの同居生活をソビエト連邦に例えていらっしゃる方もいるようです。色んな読み方が出来る、誰にとっても読むに値する一冊だと思いました。

ーーー
トップ画像、Canvaで作成するときに内容的に考えてペンギンの姿を半分か三分のニ位にカットしようかと思ったのですが、かわいそうになってやめました。私、ペンギン愛好家なので😅

皆さま、どうぞ良い週末を♪


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?