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顔 - FACE - 青木画廊Luft 2017

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ひとすじの涙が。

ひとすじの涙が。

               「解放」
25 × 21 ㎝ 油絵具 / テンペラ乳剤混成 板 2017

      ( noteホームのヘッダーに使用している作品です )     

「顔」は人間を最も象徴する存在確認の「装置」ではないでしょうか。             

親子4人が一つの部屋で寝ていた幼少期。わが家の長押(なげし)には

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夜がしんと見つめている。ひんやりとやわらかな沈黙。

夜がしんと見つめている。ひんやりとやわらかな沈黙。

「夜の底」
25×21㎝ 油絵具 / テンペラ乳剤混成 板 2017

夜はひっそりと更けて行き音も無く。眠りながらも目醒めているような感覚が心地よいと想うのです。

2021年1月。COVID19の攻勢が続いている。現存する人類の誰もが未体験の社会全体

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哲学者は夢想するよろこびを知る?

哲学者は夢想するよろこびを知る?

              「哲学者」
       25 × 21 ㎝ 油絵具 / テンペラ乳剤混成 板 2017

 詩的哲学者といわれるガストン・バシュラールの著作「空間の詩学」
(岩村行雄 訳 ちくま学芸文庫)を拾い読みしてみました。 

 人間をとりまくきわめて身近なさまざまな空間(特に小空間 )
~ 家、部屋、抽出、箱、戸棚、巣、貝殻、片隅 、などなどを”哲学” して

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夜はじっと動かない。

夜はじっと動かない。

           「ふたつとない幸福」 25 × 21 ㎝ 油絵具 / テンペラ乳剤混成 板 2017

その闇はやわらかいけれど香りを放たない。音楽も聞こえない。じっと動かずただ沈黙しているだけなのです。

夜の暗さは想像力を刺激します。子

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はりぼては フ.フ.フ. と微笑み。

はりぼては フ.フ.フ. と微笑み。

            「空ろな肖像」 25 × 21 ㎝ 油絵具 / テンペラ乳剤混成 板 2017

ぼろぼろと表皮が剝がれていく張りぼての肖像。うすく微笑んでいる空ろ(うつろ)な張りぼては云わば中身のない外づら。世間に向けた外貌に他なり

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夜会服には仮面のまなざし。

夜会服には仮面のまなざし。

             「傷ついた仮面」
24 × 17.5 ㎝ 油絵具 / テンペラ乳剤混成 板 2017

仮面にはなぜだかパックリと傷のような裂けめが。                               外貌であるはずの仮面を外したなら果たしてそこに本当の素顔があるのでしょうか? 自分の内面にもうひとりの別な自分が潜んでいるような

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呼びかけるほどにそれは遠ざかる。

呼びかけるほどにそれは遠ざかる。

            「角をもつ詩人」 25 × 21 ㎝ 油絵具 / テンペラ乳剤混成 板 2017

詩人はパラレルワールドを彷徨します。夢に導かれたもうひとつの世界の意識の旅。呼びかけても呼びかけてもそれは遠ざかっていくばかり・・・

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やわらかな夜に蓮の花が咲いた。

やわらかな夜に蓮の花が咲いた。

            「花はどこへいった」
25 × 21 ㎝ 油絵具 / テンペラ乳剤混成 板 2017

メリメリと内側から顔を破り裂き出現したこの蓮のようにみえる花は果たして脳髄から湧き出でそれを養分とし花開いたのでしょうか。                 (蓮は泥の中から出て美しい花を咲かせるところから汚れなき花とされ特に仏教ではその象徴

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目を閉じるとからっぽの世界が見える。夜の果てに涙がひとしずく落ちた。

目を閉じるとからっぽの世界が見える。夜の果てに涙がひとしずく落ちた。

       「夜の果て」
25×21㎝ 油絵具 / テンペラ乳剤混成 板 2017

そこはまるで深海か宇宙のよう(そのどちらへも行ってみたことは無いのですが)音楽も聞こえない、誰もいない、何もない夢物語。

時代が疫病に翻弄され続けています。人類の危機の序章? 情報化社会と言うけれどその情報も感染し

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鳥はさえずり嘆きの歌をうたうだろう。

鳥はさえずり嘆きの歌をうたうだろう。

「軽い胸さわぎ」
25 × 21 ㎝ 油絵具 / テンペラ乳剤混成 板 2017

夜が明けたら鳥は大空へ向かうことでしょう。しかし鳥は空に支配され彷徨するのかも知れません。籠の中で羽ばたく鳥は何を意味するのでしょうか。

人類が存続し続ける限りその歴

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独りでいるはずなのに何故かそう想えない。もうひとりの僕がなにかを呟いている。

独りでいるはずなのに何故かそう想えない。もうひとりの僕がなにかを呟いている。

       「分離派」
25×21㎝ 油絵具 / テンペラ乳剤混成 板 2017

自分ひとりしかいない筈なのにいつも誰かに語りかけ、誰かから語りかけられている気がしています。それはずっと以前、子供の頃からだったようにも想います。その二重の意識がつねに夢の中を浮遊しているのです。

某大国の大統

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夜の調べが聞こえる。もはやスープは冷めたろう。

夜の調べが聞こえる。もはやスープは冷めたろう。

  「真夜中の目撃者」
25 × 21 ㎝ 油絵具 / テンペラ乳剤混成 板 2017

晴れた夜には夢をみる。夢は自分だけの覗き窓。夜はしっとりと暗く心地よい。夢はいつも未解決の僕自身の中への旅立ち。

画中の人物(?)は自分自身のブイヨンスープを飲むのだろうか。  

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耳は美しい。耳はまた不気味でもある。

耳は美しい。耳はまた不気味でもある。

        「採耳記」
25 × 21㎝ 油絵具 / テンペラ乳剤混成 板2017

人の耳はその顔の中に配置された部位として目、鼻、口などと比べると圧倒的に奇怪な造形を成していると想うのです。その形も人により実に多彩で不思議を感じます。 奇怪 ≒ 不気味 ≒ 美 ⁉

自身のそれに於いては鏡を使ってもその

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