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哲学者は夢想するよろこびを知る?

夜会服には仮面のまなざし。

はりぼては フ.フ.フ. と微笑み。

やわらかな夜に蓮の花が咲いた。

ひとすじの涙が。

仄暗い部屋にピストルはまだ鳴らない。

夜はじっと動かない。

ぽっかり浮かぶ雲のように漂いたい。何も言わない。何も考えない。

鳥はさえずり嘆きの歌をうたうだろう。

傀儡の夢。化石のような夜に。

夜の調べが聞こえる。もはやスープは冷めたろう。

呼びかけるほどにそれは遠ざかる。

目を閉じるとからっぽの世界が見える。夜の果てに涙がひとしずく落ちた。

夜がしんと見つめている。ひんやりとやわらかな沈黙。

独りでいるはずなのに何故かそう想えない。もうひとりの僕がなにかを呟いている。

耳は美しい。耳はまた不気味でもある。

さざめく夜には