N国党・立花孝志と衆院静岡4区補選 ①

N国党・立花孝志 vs モラリスト ③」の続編です。
本記事では、動画の内容を文字お越しして文章を構成している箇所が多々あります。そのため、発言の意味が変わらない範囲で、一部言い回しの変更や要約を行っております。予めご了承ください。

2020年03月14日にN国党 関係先への警察の家宅捜索から4日後の18日にはN国党の定例会が開かれていた。また、連日のように会見も行われいる。その中で立花氏は、警察の家宅捜索を受けた件や森友学園問題、今後の選挙についてなど、様々な話を語っている。この記事を公開する時点では、立花氏はすでに書類送検・起訴までされているが、ここでは、それまでの立花氏の思考を読み解く意味でも、選挙の件に関する発言に絞って見ていこう。(※森友学園問題は別記事の予定)

巡る、衆院静岡4区補選

N国党 関係先への家宅捜索の4日後、2020年03月18日にはN国党の定例会が行われていた。そこで立花氏は、衆院静岡4区補選について以下のように語っている。

「静岡は何もしない、ポスターも貼らない。政見放送だけで、何もしない」
「政見放送は今のところ1本だけで民法のみ。NHKの方は僕が行ってまた喋ってやろうと思っている。何が威力業務妨害じゃボケェみたいなことを言ってやろうと思っている。スタジオで笑わせてやろうと思っている」

2019年07の参議院選挙と同戦略のようであるが、公党となった今、規模は大きくなっている

「2021年10月までに衆議院選挙があるので、このときには47都道府県に候補者を出します。そうすると、47都道府県の民法とNHKで政見放送ができる」
この件については、詳しくは後ほど下記で記述する。
そして立花氏はお金の計算だけは先に済ませている。

「1本287万円が上限、総額約2億7千万円(287万円×各都道府県2局×都道府県数=269,780,000円)という制作費が出てきますので、それを使って面白可笑しくやる」
「9分×94本作れるので、それをそのままYoutubeに出せる」

CMやドラマ仕立てにするなどの案で、数多く作れる政見放送を奇抜な方法で利用しようとしているらしい。先の参院選時でもそうであったが、ふざけた行為であっても法を犯しているわけではないため、それを咎める術は無いのである。しかし、今となってはその”咎めを受けない”ことが、さらなる反感を買う材料足り得ることを立花氏は考慮していない。

話しは進み、元青汁王子こと三崎優太氏の秘書を紹介し、後の次期衆院選において、三崎氏とともに比例代表での出馬の予定であると明かした。また、ホリエモン氏のHIU(堀江貴文イノベーション大学校)との連携も示唆し、共に政見放送の制作に着手していると述べた。

「籠池さんはウチの党から出てもらうことは、ほぼ決まっています。当選可能と思われる6ブロックのどこか」
籠池氏についても、詳しくは後ほど下記で記述する。

「北関東ブロックに32人固めようと思っていたが、47都道府県に分散させようかと思っている」
以前からこの32人固めの戦略は何度か繰り返し伝えられてきた。しかし03月18日の時点ではこのように語っているが、後の04月10日に行われるN国党幹部会見の中では、戦略は変更された内容で伝えられることになる。

「2021年10月まで次期衆院選は無いと思っている」
これは立花氏だけの予想というわけでもなく、新型ウィルス感染対策やその他政府与党の状況を鑑みて、あちこちで聞く話しである。

「東京都知事選については、相当注目されるので出れるなら出たい」
このように東京都知事選に意欲を見せながらも、東京都知事選が如何に儲かるかの話を饒舌に語っていくが、これまでの記事の内容の繰り返しになるので割愛する。
また、東京都知事選についても詳しくは後ほど下記で記述する。

さらに5日後、2020年03月27日に立花氏は記者会見を開き、自身の衆院静岡4区補選への出馬を取り下げた。

「私よりもちょっとでも票が取れる候補者に差し替えたい」
と会見冒頭では語っていたが、まだ誰を擁立するのかについては決まっていない様子であった。籠池氏やホリエモン氏の名前を挙げながらも、決定には至っていない(良い返事が返ってきていない)旨の話しが続き、立花氏は次のように漏らす。

「私は知名度はあるにしても、信頼度が低いというのはよくわかりました」
この言葉を聞いて、「ようやく気付いたか」とお思いになられた方も多いだろう。しかし、本当の問題はまだその先にある。それはつまり、知名度があるのに、何故まだ”悪名は無名に勝る”作戦らしき戦術を取り続けるのか。そして、信頼度とは立花氏個人の信頼はもちろんのこと、それは同時にN国党そのものの信頼度であることを理解していないのではないか。という点であるが、”悪名は無名に勝る”作戦は、この後から少しずつ変化を見せていく。

「私自身が刑事事件の被疑者になっている状況でもありますので、選挙に勝てない人物であると自覚はしています」
と、立花氏は自己評価をしているが、後にこの言葉が矛盾が生み出していくことになるので、今しらばくの間覚えておいていただきたい。

「ポスターは貼らない、街頭演説もしない、選挙カーも出さない、全部インターネットのみでやります。我々がやるのは、YoutubeやツイッターなどのSNSを使った発信のみ」
上記18日の定例会でも述べているが、衆院静岡4区補選ではインターネット以外での選挙運動はしないことを明言している。
そして、新型ウィルス感染のことについて話しが及んだ。

「さすがに、私も楽観的に考えていたんですが、志村けんさんであったり、阪神(タイガース)の藤浪投手ですか、こういうところにまでってなると、握手などの接触もまずいのかなと」
この会見の二週間ほど前の03月10日に、新型ウィルス感染に関して、立花氏は自身の予想と思い込みのみと思われる軽率な内容の動画を公開していた。
さらに、この03月27日から2日後の03月29日、立花氏は市議会議員選挙が行われていた広島県福山市でN国党関係者たちと花見を行っている。広島県福山市は03月05日にすでに、新型ウィルス感染で花見等の集会自粛要請を出していたにも関わらずだ。
このことからも、如何に立花氏が聞きかじっただけの知識で物事を捉え発信しており、その危険性を自覚していないのかも見て取れる。

立花氏は、04月09日にも同様の軽率な動画を公開している。加えて、04月10日には上杉N国党幹事長との共演動画も公開し、その中で立花氏は上杉幹事長を「新型ウィルスの専門家」と称しているが、そんな専門家が党内にいるのであれば、なぜ上記のようなことを抑止しないのか、また、公開された動画もなぜそのままなのかも疑問である。

話を選挙に戻そう。

「次にうちの党から出る著名人は誰なのか、お知りになりたい有権者は多いと思っている」
本当に多いのだろうか。何度も言うが、選挙に著名人が出るからN国党を支持した人たちが先の参院選で投票をしたのだろうか。そして、そこに興味がある人たちは多いのだろうか。甚だ疑問であると言わざるを得ない。

「キャバ嬢のエンリケさんであるとか、野球選手の新庄さんともお会いする予定になっています。そういった方たちに立候補者の応援というかたちで出てもらおうと思っている」
名前の上がった両名は、数日後に「無い」と言い切っているか、またはその後この関連の話題には一切触れなくなっている。なぜ未だにこの両名の名前を出すのか不思議である。まだ両名が今後(本記事公開時すでに立花氏自身が反社会勢力を自称し、立花氏は起訴され被疑者になっている)N国党に協力する可能性があるというのだろうか。

「籠池さんでも堀江さんでも、うちの党の名前で出たら絶対通らない」
「籠池さんが出るとなったら相当インパクトは大きいのかなと思っている」

衆院静岡4区補選には籠池泰典氏を擁立したい意向を示し、話題性を狙ったのか、以下のような流れとなる。

「今電話してみましょうか。皆さん知りたいですよね」
記者からは笑いもこぼれた。そして実際に立花氏は籠池氏に電話をし始めたのである。

「非常に急なんですが、静岡の選挙は僕じゃなくて籠池さん出ていけないかなと。籠池さんはまず選挙に出れるの?と皆驚くだろうし」
と立花氏は籠池氏に切り出した。二人の間でいくつかのやり取りの末、その場で一応の結論を得る。

「急なことでびっくりしました。国家国民のために出ますよ」
と、籠池氏はこの時点では快諾を示した。

「うちの党の公認で、籠池泰典さんということで」
という短時間の公開電話で、衆院静岡4区補選 N国党公認 籠池泰典氏の出馬が決定した。この会見内電話が、注目を集めるための計画的な行為であったかどうかは不明である。

「NHKから国民を守る党から衆院静岡4区補選に立候補するのは、立花孝志ではなく、籠池泰典ということに変更させていただきます」
「次期衆議院総選挙のことを常に考えていますので、そのときに籠池さんが出るんだったら、野党も乗ってくれるでしょう」

さて、ここで先ほどの立花氏のひと言を思い出していただきたい。この話しの少し前、同会見内で立花氏はこう言っていた。

「私自身が刑事事件の被疑者になっている状況でもありますので、選挙に勝てない人物であると自覚はしています」
この日までに籠池泰典氏は、森友学園を巡る補助金詐欺事件で詐欺などの罪に問われ、2020年02月19日に大阪地裁から懲役5年の実刑判決を受けたが、(控訴中)また、2020年02月23日には、森友学園系列幼稚園の元PTA会長の男性に、「補助金詐取事件に長女の診断書を悪用され精神的苦痛を受けた」として、損害賠償を求める訴訟を大阪簡裁に起こされている。
本記事公開時には、籠池泰典氏は出馬を取りやめ、N国党内の別の人物が擁立されているが、その理由として上記は語られていない。
森友学園問題の当事者であるという点においては、立花氏よりも話題性を持っている人物なのかも知れないが、立花氏が思っているほど世間はすでに森友学園問題に関心を持っていないのではなかろうか。

そして記者からふと質問が飛ぶ。
「籠池さんはNHK改革については?」

「まったく聞いたことないですね。NHKのことについて籠池さんと話したことは無いですね。NHKの不払いを推進するという、うちの党の公約は知ってくれていると思うけど」
と、盲点だった様子だ。

籠池氏不出馬、N国党 選挙の目的

2020年04月01日には、衆院静岡4区補選についての記者会見が開かれた。

「野党統一候補になれないのであれば出ないという連絡をいただいている。結論としては、NHKから国民を守る党からは籠池氏ではなく別の人物にさせていただきます。」
会見冒頭から、籠池氏の擁立断念を告げる立花氏。さらに続く。

「田中健というものが立候補するということで最終調整に入った」
「野党統一候補の田中健氏と同姓同名の者となります」

実際に、無所属で”田中健”という氏名の方が出馬表明をされていた。
それにN国党 参議院議員 浜田聡氏の政策秘書である"田中健"氏をぶつけようというのである。

※NHKから国民を守る党 田中健 氏
1995年から江戸川区議会議員選挙に5回当選。
2006年、「フリーウェイクラブ」の高速道路不正通行事件で、道路整備特別措置法違反(不正通行)容疑で逮捕・起訴。その後、最高裁が1・2審判決を支持し、罰金200万円とした判決が確定。
2019年、立花孝志氏が参議院であった当時の政策秘書。立花孝志氏が辞任した後、浜田氏が比例繰り上げ当選となってからは、浜田聡参議院議員の政策秘書となる。(自身も同選挙で茨城県選挙区から出馬するも落選)

「同姓同名で立候補したときに票がどのようになるのかを見たい。法の内側であればいろんなテストをしてみたい。」
「もし同姓同名で票が割れてそれなりに入るようであれば、次期衆議院総選挙で自民党を中心に同姓同名を集めたい」

などと、その理由を語っている。
籠池泰典氏擁立断念の理由については、

「野党4党と我々との歩み寄りができなかった」
としている。当然であろう。と誰もが思ったに違いない。
一審で有罪判決を受け、現在控訴中の身では仕方が無いと思われる。裁判で無罪を勝ち取った後であれば、また話も違ってくると思われるが。

「裁判も一審とはいえ有罪を受けている者を統一候補にするのは難しいと聞いております」
当然。であるのだが。言われなければわからないような事ではないはずである。ここで頭を過ぎるのは、”いつもの話題作り”の一環ではないのかという点だ。いつも異常なほどに自身やN国党に関する報道の少なさや扱いの小ささを気にしている立花氏である。この数日間で何かにつけて記者会見を開き、その都度発言や内容が変化する。それら全てが計画的であったとしても不思議では無いが、右往左往・行き当たりばったりのようにも見える。どちらにせよ、その状況そのものが人々を白けさせることに、やはり立花氏は気付かないのである。

「N国党 田中健氏の立候補記者会見や選挙に関する広報は一切しません」
「有権者からはお叱りを受けるかもしればいが、我々としてはこのような方法に出ざるを得ない」

立花氏のいつもの論法である。自身の非を認めつつ、自己を正当化しようとする。選挙に限らず、何事でも”理由があれば構わない”と思っているのだ。
それは次の発言からも見て取れる。

「有権者を混乱させるのが狙いです。混乱をさせている自覚はあります」
「(この方法が有効であるならば)次期衆議院総選挙へ向けて、自民党と公明党の同姓同名を今から集めていきたい」
と続ける。

「我々の支持がどの程度なのかは理解しています」
だから許されるべき、とでも言いたいのだろうか。その様な手段しか取れなくなってしまったのは自業自得である。2019年07月の参院選以後、ターニングポイントと成り得るところはいくつか在ったはずなのだ。それに気付かないまま、人々の声に耳を貸さぬまま他人を軽視し続けた結果である。

そして記者から「有権者が間違えて投票してしまうことを期待している。ということでしょうか」という質問に対し、

「そういう言い方をされても否定はできないです。この選挙だけを見たらそうなるのでしょうけれども、今の選挙制度自体に一石を投じたい」
選挙制度自体をどうにかしたいのであれば、関係各所への提言と国会での働きかけをすべきであるし、悪用される事例を見せて改正を求める、という理由で悪用しようとするのは詭弁である。しかし、法を犯しているわけではないので、止める術が無いことも事実なのだ。
静岡4区の有権者に対しては、次のように発言している。

「静岡4区が実験台になってしまうことについては、ごめんなさいとしか言い様がない」

記者からの、選挙に同姓同名を擁立することに関しての質問に、立花氏は次のように答えている。

「多くの同姓同名の方がいらっしゃるので、その方に、住民票と戸籍謄本を送ってもらうだけで日本を変えることができる。とアピールしたいと思っている。」
「決していいことではないと思っていますが、すでに私はそういう判断をしています。少なくとも法には触れていない。静岡4区の有権者の皆様にはごめんなさい。でも、これも国を変える1つの方法だと、そういう政党や政治家がいるということでご了承いただきたい」

記者からの質問の返答とはいえ、立花氏の声はトーンダウンし、言わなくてもよいことを言っているのでは、と立花氏自身が感じながら話しているのではないか。という雰囲気があったように思う。

さらに、話しは選挙制度について語られ、N国党の地方選挙で居住実態が無いまま立候補し、その後裁判にもなっている例を出し、次のように続ける。

「総務省が法律の改正に直ちに動きました。我々の動きに対して、法律の改正がされたのは既に実証されていますので、いずれにしても、うちの党ができるのはこういうこと。こういうことしかできない」
先にも申し上げたことで繰り返しになってしまうが、関係各所への提言と国会での働きかけをすべきであるし、悪用される事例を見せて改正を求める、という理由で悪用しようとするのは詭弁であり、その様な手段しか取れなくなってしまったのは自業自得である。

さらに会見終盤で立花氏は、少々声を荒げ気味にこう語った。

「先週(会見のため静岡に)来たときに、僕やうちの党の扱いがめちゃくちゃ小さかった。実質上2人の争いと書かれていたので、正直そこについては腹が立ちました」

2020年04月10日に開かれたN国党幹部会見の後、同日中に公開された動画の中で、同姓同名を擁立する選挙について立花氏は次のように解説している。

投票所の筆記台に下記のように氏名掲示されるという。(携帯電話で本記事をご覧の方は以下が行崩れしているかもしれないが、ご容赦願いたい)

自由民主党      ふかざわ陽一 43歳
           田中けん   42歳
           山口賢二   72歳
NHKから国民を守る党 田中けん   54歳

「野党統一候補の田中けんさん陣営(応援している人)から、苦情が来ておりますが、このように説明をすると皆さん理解をしていただける」
と前置きをした上で、解説を続けていく。

「ふかざわ陽一さんと籠池泰典さんの一騎打ちにしたいと、今と言っていますが、実現できなかった。であれば、今の安倍政権がおかしいと、自民党に対して嫌がらせがしたいということで、安倍政権をなんとか倒したいということでやりたかった。」
指摘したい点はいくつもあるが、何度も繰り返しとなるためそれは割愛し、その言葉の表面的な意図だけを今は汲み取っておくとしよう。
そして話しは同姓同名候補の存在する選挙の投票について話しが及ぶ。

「”田中けん”と書いた票は案分される」

詳細はこうである。(※下記数字は例え)
両者の総票数が60,000だった場合で、党名や年齢の記入があることで区別できる投票が以下であった場合は、区別できる票はそのまま各得票となる。
(無所属)田中けん 42歳 得票30,000票
(N国党) 田中けん 54歳 得票  6,000票
「田中けん」のみ記載の24,000票が得票の割合で案分される。つまり、
30,000 対 6,000 = 5対1 = 20,000票 対 4,000票。となり
(無所属)田中けん 42歳 得票50,000票
(N国党) 田中けん 54歳 得票10,000票
上記のような各合計得票となる。

※該当選挙区内で「田中健(けん)」氏に投票したい人は、必ず”無所属”または”N国党”か、もしくは、”42歳”または”54歳”と合わせて記載しましょう。無所属の田中健氏は、「(無所属)田中健 42歳」である。そして、N国党の田中健氏は、「(N国党)田中健 52歳」である。注意してほしい。

「この状況でどう票がぶれるのか、今回の研究をするところ」
と、立花氏視点の衆院静岡4区補選の見所が示された。
そして、先の会見から数日が経過していることもあり、会見では見られなかった言葉や言い回しが増えてゆく。

「所詮は補欠選挙です。敢えて所詮はといいます。どんなに長くても来年10月までの任期ですので、当選したとしても1年6ヶ月で終わりです。今、自民党の議員が1人増えようが、野党統一候補の議員が増えようが、何ら政局に影響しない」
だから見過ごせ、許容しろと言うのだろうか。こういった考えそのものが他人を軽視しているというのだ。何かと理由付けをして好き勝手にする裏側で苦渋を強いられる者の気持ちを蔑ろにし過ぎである。
選挙に出る者にとって、どれだけの得票ができたかということは、参考にされて次回の得票に影響する。選挙のプロを自称する立花氏がその点に気付いていないわけは無いと思われるが、ともすれば尚のこと、この発言が如何に詭弁であるかが伺える。

「僕は、次の解散衆議院総選挙を見ています」
「ふかざわ陽一さんという名前の方は全国に6名いらっしゃる」

立花氏は、インターネットの電話帳サイトを紹介し、そこで他の立候補者との同姓同名を探しているという。そして以下のように語っていく。

「今現在見つかっている同名の人にこれから電話をして、次の選挙はN国党からの公認候補として立候補してもらえないかというお願いを、次の総選挙ではしたいと思っています」
「今回は、野党統一候補の田中けんさんの妨害になってしまうことは間違いないが、それはN国党の本意ではないので次回のときには”ふかざわ陽一”さんの同姓同名を立候補させようと思っています」
全て、これからの予定として考えているという発言である。
まず気になるのは、同姓同名であった方にとって、迷惑ではないのかという点である。この動画の公開と同じ頃、立花氏はツイッターで山本太郎さんと同姓同名であると、電話帳サイトでの一覧(へのリンクURL)を投稿した。
見つけた同姓同名の方々に連絡を取り、立候補のお願いをしていくと立花氏は語るが、N国党 立花氏は、すでに反社会勢力を自称しており、刑事事件の被告人として起訴までされている。そのような団体から声がかかるだけでも迷惑と感じる人々は多いはずだと考えられる。
これは何度でも言っておく。立花氏は、本当に他人の迷惑を考えない人物である。もうこれ以上の説明は必要も無いであろう。
そして、立花氏の自己解釈論議は続いていく。

「インターネットで我々は呼びかけていますから、インターネットで選挙に行っていただける方というのは、非常におりこうさんなんですね。よくわかった上で行くんです」
以前からの立花氏の論法の1つである。「自分を認める人は賢い、偉い」である。だが、これまでの経緯からも、現実はその真逆であると言っていいだろう。その点でも、すでに立花氏自身で気付いていてもよさそうなものであるが、未だにこの論法が通用すると思ってしまっているあたりは、立花氏の引き出しの少なさの表われと言える。

「人の口コミやポスターを見て行く人というのは、そこまで理解をしていない人。有権者をバカにしているのかとよく言われるんですけども、答えははっきりしています。バカにしています」
立花氏の論法のもう1つ、”釈明も弁明もできないなら認めて押し通せ”である。これまで、この論法はあまり使われてこなかった。それは、その後その問題の話題に触れなければ済んでいたからなのだ。しかし、事ここに至ってしまっては、今までの散々な指摘や批難を受け止め、払拭することはできない。ならば、開き直って押し通す以外に方法が無いだけである。

「ちゃんと情報を調べてから選挙に行っていないから、名前しか書かないということになる」
このひと言は、これだけを見るならば間違ってはいない。しかし本質は上記なのだ。そして問題は次のひと言である。

「次の解散総選挙には、”ふかざわ陽一”さんの同姓同名を必ずというかほぼほぼ、頑張って出すようにします。というお約束をします」
この発言をそのまま受け取ると、これからの予定として考えている。ということなのだが、冒頭の発言では次のように述べていたはずだ。

「野党統一候補の田中けんさん陣営(応援している人)から、苦情が来ておりますが、このように説明をすると皆さん理解をしていただける」
これは、理解してもらった前例がある、ということでは無かったのか。
上記の”お約束”の発言を見ると、先のこの発言は最後に「と思っている」や「と有り難い」という言葉が隠された、ただの希望であったと思われる。
そして何より、保証も補償もなく、ただ約束をするだけである。頑張るだけである。

都道府県単位で行われる政見放送の話しとなるが、詳しくは上記と繰り返しになるので割愛する。

「都合で供託金は2億7百万円が必要だが、おかげさまで2億円くらいのお金はある」
ひと言であるが、久しぶりに党の財政に関する発言が見られた。2021年10月までに2億残る計算、ということらしいが、これだけでも色々と推測できる材料となりそうだ。

その後、政党交付金の話しを経由し、次期衆議院総選挙に話しが及んだ辺りから立花氏の語りは勢いを増す。

「今回の選挙は、うちの田中けんが出ることは先に言っていますが、次の衆議院総選挙は言いません。完全にステルスです」
「告示日に突然出すと、選管(選挙管理委員会)は対応が取れない。」「我々はあくまで奇襲です。奇策です。」

完全に覚悟を決めた態度で立花氏はこう話した。それは、もうそこにしか道が残されていない者の捨て身の姿か、はたまた、逃げ道を探し足掻く者の姿であろうか。それは直ぐに次の言葉で明らかになる。自らの言葉に酔うように、立花氏は話し続ける。

「NHKから国民を守る党の財政、これを豊かにしないと、直ちにNHKのスクランブル放送の実現はできない」
「我々はもう奇襲と言われようが奇策と言われようが、ずるいとか何と言われようが、法律の内側なので、やります」
足掻いているのではない、自分の主張の是非を無視し、押し通そうとしているのである。ときに人は、間違いと知りつつも強い態度に出られるとそれを正しいと感じてしまうことがある。それを何度も繰り返されると疑うことをやめてしまうのだ。N国党の一部の熱狂的支持者たちは、この思い込みの罠に嵌った者たちも含まれているように思う。この言い分を喜んで受け入れるのは、最早そういった熱狂的支持者のみであろう。

「次回は、安倍晋三さんに近い人を狙い打とうと思っています」
「自民党の中でも安倍さんを”よいしょ”していない人には刺客は向けない」
「無茶苦茶をしている安倍政権に対する、我々弱小政党ができる抵抗です」

安倍総理と政権を対象にしている理由は、今なお解決していないとされる森友学園問題に絡めてのことである。確かに、森友学園問題に関する安倍総理の対応は、端から見ていても誉められたものではない。立花氏は、その森友学園問題の追及を免罪符に使っているのだ。

「北関東ブロックで32名出すのは一旦御破算にして、47都道府県に1人でやっていきたいと考えています」
そして、これまで何度も公言してきた”北関東ブロック32名出馬”を撤回し、各都道府県に1人擁立する考えを示した。それは、これまで進めてきた”美男美女作戦”に、今回の”同姓同名作戦”が追加されたということに他ならない。
(”美男美女作戦”の詳細については、「N国党・立花孝志氏の選挙戦略とは:有権者として、考えるべきこと」をご覧ください。)
立花氏は動画の最後に、忘れていたことを思い出したかの如く、次のようにメッセージを残している。

「NHKから国民を守る党は、NHKの被害者をお守りするということをやっている。それをこれからも続けていきたい。そしていずれはスクランブル放送を実現して、我々の党は解党したい」

本記事公開時、すでに立花氏は検察から刑事起訴をされている。
その詳細は「N国党・立花孝志 vs モラリスト ③ 」で記したが、まだ、モラリストの矢は全て撃ち尽くされたわけではない。立花氏に刻一刻と迫るタイムリミットは、その期限をいつ迎えるのだろうか。

次期東京都知事選挙、出馬表明

2020年04月07日に行われた会見の中で、立花氏は次期東京都知事選挙についても触れている。立花氏の言動を見てみよう。

「東京都知事選挙に出て、NHKと民法で5分30秒、またNHKのスタジオでNHK問題についてしっかりと訴えたい」
と豊富を語る立花氏。これ自体は以前から繰り返し言われてきた自身の希望である。

「東京都知事選挙に立候補しますとツイッターで書いたところ、お前が東京都知事になってどうするんだというようなことを書かれている人がいるんですが、アホぬかせと、東京都知事選挙に立候補すると言っているだけで、東京都知事になるなんて僕はひと言も言っていない、なるつもりも無いし、なれない」
実際、今でも立花氏の選挙立候補を「当選目的」として見てしまっている人は少なくない。一般的には選挙は当選を目指すというのが常識であると思われることから、それは仕方の無いことではあるのだが、こと立花氏とN国党においては、その常識の枠を外して見ていかねばならない。
投票しなければいい、当選しなければいい、と安易に考えがちだが、それだけではN国党と立花氏の目的を遂げさせかねないのである。本記事も含め、モンキーポッドではその意図と目的、危険性については指摘し続けているため、ここでは詳細は割愛するが、気になった方は他の記事も合わせてご覧いただきたい。

「選挙というのは、立候補することにすごく意味があって、優勝する目標が無ければ選挙に出るなということではありません。政治的な主張をそこでしっかり言うことが大事」
この言葉自体はその通りである。一度は被選挙権を行使しておきたい、自分の主張をしてみたい、という思いだけで選挙に出ることそのものは批難されるべきではない。しかし、N国党 立花氏に限っては、その意図と手法は認め難いと言わざるを得ない。

「私は少なくとも立候補します。できればあと5人、NHKから国民を守る党から候補者を出そうと思っています」
次期東京都知事選挙は6月。立花氏が現在起訴されている刑事事件は、控訴や上告まで考慮すると、都知事選には立候補はできるだけの時間的猶予は十分かと思われる。そして5人とは。

「一番出ていただきたいのは、赤木さんの奥様。東京都知事選挙だけでなく、次期衆議院総選挙にも出ていただきたいと考えいます」
例の森友学園問題の自殺で亡くなられた方のご夫人のことである。
ご自身の主張を公の場でするべきだ。というのが立花氏の建前なのだが、先般より立花氏とそれなりの関係にあると思われる籠池泰典氏と赤木夫人とは、その立場上相容れないとの見方も多い。しかし、その相容れない事情を立花氏は考慮していない。考えていないことは無いのであろうが、無視しているのである。相容れない者同士が同じ党から、という状況がどのような世論を生むのか、下手をすると赤木夫人へも批判が向けられかねない。
そもそもN国党自体が、すでに立花氏自身が反社会勢力を自称しており、本人も刑事事件の被告人にまでなってしまっているのだ。その影響を度外視して他者を巻き込もうとする者には、無神経という表現が相応しい。

「今回、東京の夜の街で働く方々からも候補者を募りたい。新型ウィルス感染問題で疲弊されている方の声を発信できるようなかたちで、党としては最低3人、できれば5人出したい」
キャバクラなどの夜の繁華街の人々が、新型ウィルス感染の影響で疲弊しているという報道がここへきて度々なされている。時事ネタを盛り込んで自己の主張を正当化する。これも立花氏が会見などでよく使う論法である。
「困っている人がいる」というのは確かにその通りである。そこだけ見ればの話である。現実は、皆が困っているのだ。酪農家もイベント会社なども、様々な業種で皆困っているのだ。そこを理解せず、報道の上っ面だけを舐めたように便乗し、正当性を主張する。国民の疲弊と苦難を今一番理解していない政治家が立花氏ではないのかと言わざるを得ず、その立花氏の思想や言動を具現化している政党がN国党なのである。


N国党・立花孝志と衆院静岡4区補選 ① (終)
→ N国党・立花孝志と衆院静岡4区補選 ②
→ N国党・立花孝志 vs モラリスト ④


モンキーポッドとしましては、主立った出来事を中心に、世に周知する必要があると思われることについては、引き続き活動を行っていく所存です。

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