N国党・立花孝志 vs モラリスト ③

N国党・立花孝志 vs モラリスト ②」の続編です。
本記事では、動画の内容を文字お越しして文章を構成している箇所が多々あります。そのため、発言の意味が変わらない範囲で、一部言い回しの変更や要約を行っております。予めご了承ください。

2020年03月14日にN国党 関係先への警察の家宅捜索から数日が経過した。
その間、立花氏は家宅捜索や森友学園問題などについて会見を開き、また、関連する動画を数本公開している。立花氏の会見や動画では、「家宅捜索」と「森友学園問題」を続けて語っているものがあるが、本記事では、話しを整理しやすくするため別問題として分け、まずは「家宅捜索」を見ていくことにしよう。(※森友学園問題は別記事の予定)

心境の変化と自己解釈

N国党 関係先への警察による家宅捜索から2日、2020年03月16日、立花氏は1本の動画を出す。冒頭から「今回の私の刑事事件によって、いろんなことが判明した」と語り出した。まずはやはり「NHKは反社会勢力と繋がっている」という主張から始まり、以前に使用した選挙ポスターを提示した。そこで驚くべき発言をする。「NHKは認めている。反社会勢力と繋がっている部分については、一切否定はしていない。」とし、「業務委託会社とNHKの契約自体が弁護士法違反の疑いがある」と続けた。

「アジア国際総合法律事務所の村岡弁護士からも意見をいただいている」
意見書の結論として、(以下、動画内で読み上げられたまま)
「NHKが、弁護士または弁護士でない民間の会社にNHKと一般国民の間における①放送受信料の代理契約および②収納業務を委託する行為は弁護士法72条の構成要件を満たし、NHKおよび当該業務を受託した民間会社には、弁護士法72条の共同正犯は成立する。その結果同社らは、共同して弁護士法72条違反の刑事罰の対象となる」

また、構成要件(犯罪が成立するための要件)に全て当てはまっているとして、下記5点についての説明を続ける。
「弁護士または弁護士法人でないもの」
「法律事件に関する法律事務を取り扱うこと」
「報酬を得る目的があること」
「業として成されること」
「弁護士法人、またはその他の法律に別段の定めが無いこと」

1つ1つ立花氏独自の見解も含めながら解説されているが、一般常識のある者であれば特に詳細を知らずとも、ある程度理解しているであろう話なので、ここでの構成要件に関する解説部分は割愛する。

「非弁行為で僕は一度起訴猶予になっているので、非弁行為については詳しいです。」と、自身の経験から自分は詳しいのだという主張は、この話の中では何度も繰り返される。「僕がやっている、皆さんの裁判を請け負うことも非弁行為に当たるが、お金を貰うと構成要件に該当するので全て無料でやっている」と続け、自分のやっていることは正しい、NHKは違法、という比較に結び付けている。

自分は法律に詳しいという主張を、N国党 顧問司法書士の例を出してまで続けている。「司法書士は140万円を超える業務はできない」「1~5全ての要件を満たさないと弁護士法違反にはならない」と語っているが、司法書士の扱える金額の上限については、一昔前に世間的な問題となった「借金の過払い金問題」ですでに世に広く知られているところである。

「宗教の勧誘は法律行為ではないので、これに当たらない」と引き続き自身の持っている予備知識を総動員して、自分は詳しいアピールをしている。一部界隈では、”自称・法律のプロ”を名乗ることを批難・否定する声もあることを気にしているのだろうか。

そして、NHK委託業者と訪問員が、NHK受信料の未払い金回収を行っているという指摘をし、「債権回収会社というのは、サービサー法という法律に規定されている特別な会社のことで、法務大臣が許可を出す必要がある」として、NHK業務委託会社の一覧の紙面を見せ、いくつかの社名を読み上げ、会社名からして債権回収会社でも法律事務所はないであろうと語った。言っていること自体に間違いは無いと思われるが、いつもの如く余計なひと言を発してしまう。「NHKの職員がするなら良いが、受託会社にさせると世の中が乱れるからダメだ」NHK委託会社が債権回収を行っていたならば、それは確かに問題ではあるが、最後のひと言については、世の中を散々乱している本人が言うと滑稽である。

引き続き、自らの経験をもとに弁護士法違反について長々と語るが、繰り返しになるので割愛する。

話しは先日起こったNHK訪問員による詐欺事件やクレジットカードの暗証番号などに及んだが、その中で立花氏の自己顕示欲は増幅していく。「僕がやった犯罪は被害者が0人なんです。NHKという犯罪集団が被害者であって、NHKが犯罪をしていることで僕の犯罪が発生している」と責任転嫁ともとれる発言をし、「僕は受託業者の訪問員からもらったのであって、盗んでもいない」と、自身の罪の軽減のための釈明は忘れない。

「やり方は僕もまずかったと思っていますが、やっちゃったものは仕方ない。しかし、NHKは注目があつまっているから、反社会勢力と繋がっていると言われても反論できない」この発言から読み取れるのは、逮捕・起訴までは逃げられない覚悟を持っているのだろうという点と、そしてその道連れにNHKにダメージを与えようとしている思惑であろう。

続く話の中で安倍総理の件を例に出し、「安倍総理も明らかに桜を見る会で公職選挙法違反、あるいは政治資金規正法違反のどちらかの犯罪をしているのは間違いない」と断言してしまっているが、数年前に別件で立花氏は、「自分の予想だけで発言することを悪いと思っていない。名誉毀損に問われてもそれで済むならやってしまえと思っている」と発言している。やはり、人の本質は簡単には変わらないのである。

話しも終盤に差し掛かり、「NHKや委託会社が犯罪をしているために、僕はそれをあばきにいった」と自己正当化を忘れない。そして、「ちっさなちっさな犯罪です。僕は」と言う。だから情状酌量されるのが当然とでも言いたいのだろうか。さらに、「反省をしていますよ。犯罪をしてしまったことはね。でも償おうとしてます」としている。一連の発言から感じられる印象は、罪から逃れられないことを覚悟したことと、それを踏まえた上で今後を考え始めたということ。家宅捜索から2日目で、反省の色は薄れてきていたように見受けられた。

経験と情報、導かれた結論

2020年03月18日、N国党の定例会が開かれた。
そこで立花氏は、警察の家宅捜索を受けた件や森友学園問題についてなど、様々な話を党関係者へ向けて語っている。ここでは、家宅捜索の件に関する発言に絞って見ていこう。

まず、警察の家宅捜索を受けて4日後の発言がこれである。
「簡単に言うと、大したことではないです。これまでの僕の6回の嫌疑のかかり方から見ても、全然大したことはないです。」
党関係者の手前、不安がらせることは言えないのだと思われるが、それにしても、ここ2~3日の発言と比べても心境の変化が感じられる。そして、党関係者たちを納得させるためか、不安を取り除くためか、次のように続けていく。

「通報があったら警察は動かなければいけない。通報をしたのがNHKということ。この程度のことであって、身柄も拘束はされていない。」
この程度と言い放った。身柄の拘束は無いだろうというのは、家宅捜索当日からの大方の見方であった。そのため、身柄の拘束がされなかったことについては誰も言及はしていなかった。この2~3日の間に状況と情報の整理ができたのであろうか、立花氏の自己解釈での論説が繰り広げられてゆく。

「むしろこの件で良かったことは、コールセンターの業務は完全に適法であることが逆にわかりました。集金人を追い返す活動が合法であることや、NHKが反社会勢力と繋がっていることについて、全く同じ事件であるのに、それにNHKは答えていない。つまり認めている」
今回の家宅捜索の容疑は、”不正競争防止法違反(営業秘密侵害罪)”と”威力業務妨害罪”である。コールセンター業務が何かしらの罪に問われるとすれば、偽計業務妨害罪ではないだろうか。警察が家宅捜索の際、該当の罪状以外での捜査情報を漏らすとは考えられない。今回の罪状に偽計業務妨害罪が無く、その関連の指摘もおそらく無かったのであろうが、それをもって直ちに適法と言い切るには流石に早計ではないのか。コールセンターの是非については、今後改めて問われるであろうという意見も散見される。
また、立花氏のいつもの論法、”指摘したのに反論しないのは認めている”である。

続けて立花氏は、インターネットの中(ツイッターやYoutube等)での指摘を気にしている側面を覗かせる。

「顧問司法書士が行っている委任業務については、問題は無い。」
NHKの不払いをする一般人向けに開始した、"NHKからの請求に関する業務を顧問司法書士に委任するサービス"について、様々な危険性や司法書士としての倫理観を問う声がインターネットの中ではあるのだ。NHKからの訴訟リスクや差し押さえが行われた際については、司法書士は関与しないという説明が後になされたが、無責任だとの指摘もあり、サービス開始時にその危険性と注意についての説明が行われなかったこと自体を問題視する声も多い。

「N国党が被疑者になっているというよりは、立花1人がやりすぎた」
今回の家宅捜索については、この認識も間違いではないと思われる。
しかし、立花氏の人間性の1つである身内贔屓は変わらず、世間を騒がせたことに対する釈明や謝罪は無く、次のように語っている。

「(会場に集まった関係者に向けて)皆さんのご家族や知り合いにどうしても、党の代表がまた嫌疑とかになると、さぁどうなんだというところもあると思う。目立つことよりも安心感という状況において、そういった嫌疑をかけられたことについては、強く深く反省をしている」
特定の人間に対しては反省も謝罪もするが、社会的責任といったものを立花氏は持ち合わせていないのだろうか。社会的責任は場合により道義的責任と言われることもあるが、立花氏に限らず、N国党関係者(現職議員含む)には、この道義的責任を無視している傾向が度々見受けられる。
そして、この話の終わりに次のように言っている。

「被疑者だが、笑い話のレベル」

その後、この党定例会では、秘書に関する内部の事情や、支部のお金に関する話、離党者(除名とされた)の話、地方選挙の話、政見放送の話へと進むが、本記事の大筋から外れるので割愛する。
(地方選挙と政見放送については、別記事で取り扱う予定)

党定例会も終盤に近付いた頃、話しは警察の家宅捜索の件に戻った。

「なぜパソコンやスマホを持っていかれたかというと、立花の言っていることは信用していないわけではないが、客観的に裏を取らなければいけない。本人の自白だけでは刑事罰にはできない。その証拠を今調べてくれている」
「なぜ僕が警視庁の本部に呼ばれたかと言うと、公党の代表なので本部でないと失礼にあたる。」

「代々木署にはもう1人の被疑者が行っているので、被疑者同士が顔を合わせるとマズイ」
前の記事、”N国党・立花孝志 vs モラリスト ②:感情と思考、戦略の道筋”でも述べたが、これは言ってしまっても良かったのであろうか。(特に罰則などは無いとは思われるが)

「何よりも、立花さんのファンが多いので、代々木署の警察官が浮き足立つから本部に来てもらった」
と言われた、などと立花氏は得意気に語っているが、お世辞や社交辞令といった言葉をご存知無いのだろうか。

「NHKが告訴状を出せる環境を作ってしまったこちらに責任はあるなと思う。ただハッキリ言って、この程度でやってくるのかというレベル」
話の最後をこのように締め括った立花氏には、家宅捜索当日のような反省の色は見られなくなってしまっていた。

その後、警視庁は2020年04月07日に同容疑で書類送検をしている。
同日、立花氏は新たな動画を公開した。その中で立花氏は満面の笑みでこれまでには無いほど饒舌に以下のように語っている。

「全て、事実で~す!」
「僕がやりました!私がやりました!私は犯罪者です!」

動画をご覧になった多くの方が抱いたであろう、見るからに精神状態が異常ではないかと疑ってしまう光景であった。そして、動画は終始その勢いで続いていく。

「反社会勢力 vs 反社会勢力の戦いなんですよこれは。改革する政治というのはこういうものです」
そんな政治は持っての外である。正義のヒーロー気取りも甚だしいと言わざるを得ない。こういうのをテロリズムと言うのだ。

「NHKがたまたま証拠を持って警察に泣きついた感じ」
自己正当化とともに、自分が優位に立っているという主張であろうか。
これは、おそらく現職議員以下、党関係者や支持者へのメッセージかと思われる。自分が優位に事が運んでいると見せておかねば、N国党の組織崩壊がいつ起きてもおかしくない状況となった。逆に言えばそういう認識を持っているということだ。

「これからもNHKの業務妨害をし続けますからね」
と、早々に断言してしまった。今後、起訴された場合にこのような発言がどう解釈されるのか見物である。
先日の会見で「我々は業務妨害を行う政党」と言ってしまっている点を考えると、立花氏の中では、”一度口に出して通ったことは免罪符になる”と思っているようだ。

「私はNHKの業務を妨害するという公約で、選挙で当選させていただいた」
本当にそうだろうか。別記事「N国党・立花孝志氏の選挙戦略とは:驕り、気付けなかった転機」でも記述したが、2019年07月参院選当時、有権者の声で多かったのは、「この人なら何かやってくれる」であったはずだ。
何より、「NHKの業務を妨害をする公約」など、比喩としても初耳である。この発言からも、このときの立花氏が思いつきで喋り続けていることが見て取れる。

「これからも、NHKの業務を妨害しまくります」
と、繰り返す立花氏。そしてさらに度を増していく。

「反社会勢力に対しては、私のような反社会勢力のような人間が犯罪をしてでも、業務妨害をしてでもぶっ壊さなきゃいけない」
気付いた人もいるであろうが、立花氏の話しは、何度も同じことを繰り返し話すことが多い。これを主張したいのだろうということはそれで十分伝わってくるのだが、同時に、それしか主張が無いこと、他に言葉や考えを持っていないことを露呈してしまっている。
おそらく、立花氏の誇張癖や自己顕示欲の危険性に気付く者と気付かない者の違いは、この点に気付き考えが及んだかどうかではないだろうか。

「そんな想いでこれからもNHKの業務を妨害していきますので、皆さんぜひともご期待ください」
と、しつこく繰り返す立花氏。
立花氏の性格や本質がよく表れているように見える。自分に罪があったとしても、それ以上の正当性を主張することで自分が認められると思っているのだろうか。敢えて言おう、そんな詭弁はまかり通らない。

「私は刑務所に行っても、刑務所から出てきてからも、NHKの業務を妨害して妨害して妨害して(本当に3度繰り返した)NHKをぶっ壊しますから」
これは、私が以前より最も危惧していた点である。立花氏が服役したとしても、それで終わりにならない可能性を立花氏自身が示したのだ。そして何より、立花氏の思考が服役することも含んだ上で、その後の展開までに及んでいるであろうことも示唆している。
そして立花氏は動画の最後をこう締め括っている。

「それが真の改革する政治家だと思います」
それは改革の名を借りた、ただの犯罪者である。

2020年04月07日、家宅捜索より一ヶ月も経たぬうちに立花氏の反省は皆無となっていた。今回の件で新たに明らかになったと思われるのは、立花氏は逃げられない窮地に陥ったとき、真摯に反省をするタイプではなく、他人の迷惑や批判も考えずに「どうせなら好き放題やれるうちにやってしまえ」と開き直るタイプであるということだろう。

そして、今回の動画の一番の注目点は実は上記で述べたことではない。
立花氏自身がN国党を反社会勢力であると認めたことにより、NHKへの業務妨害という犯罪行為を活動内容として投票を呼びかけ、その結果、政党交付金を得ることに成功した。ということが明らかになったのである。これは「NHK糾弾反社会的ビジネス」という他ない。
加えて、N国党の現職議員や関係者は、反社会勢力の構成員、または関係者になってしまうことで、個人の生活の上で様々な契約等(金融機関や不動産等)に関して支障をきたす恐れが生じてしまったのではないだろうか。老婆心ながら、所属の現職議員や関係者は、その点についてよく考えていただきたいものである。

おそらくであるが、立花氏のこれまでの言動や行動から察する性格上、今回の発言を撤回や謝罪を真摯に行うことは考え難い。この問題は、今後もインターネットでは事ある毎に取り沙汰され、忘れられることはないだろう。

さらに、もし今後立花氏が謝罪や撤回をしたとしても、もはや言い逃れはできない。立花氏自身が、反省の姿勢には意味が無いことを、その言動と行動で示してしまっているのだから。

同日夜、「東京都知事選挙出馬表明」と称して緊急会見を開いた。そこで立花氏は、不正競争防止法違反について次のように語っている。

「完全にNHKに罠に嵌められました。」
初めて聞いたフレーズである。書類送検がなされ、有罪が濃厚と悟ったのだろうか、今までに聞いたことがない言葉が飛び出したのだ。これは、弁護士や党関係者と相談をして捻り出した言い分のように見えてしまうが、立花氏は次のように話し続ける。

「見せてあげるわ、と言われて撮影したら、撮影したことが犯罪ということ(になってしまった)」
「NHKの身分証明書を持っている人から電話がかかってきて、どうぞこれを撮影してくださいと、撮影をしたら、撮影をすること自体が不正競争防止法に違反するというのが警察側の主張」
同日昼頃に公開した動画では、「私がやりました!私は犯罪者です!」と言っておいて夜にはこれである。
釣られたと言いたいのであろうが、当時の立花氏の該当動画や関連動画では、謝礼に30万~50万を渡すという条件でNHK訪問員へ協力を呼びかけていたはずである。そして、該当動画では立花氏はとても嬉しそうにNHK訪問員と同行し、端末の撮影まで行っているのである。さらに、その撮影を行っていたのは立花氏1人ではない。この言い分が裁判でどう影響をするのか、1つの注目点となった。

「報道でいわれている大筋で容疑を認めていることについては、警察の完全な間違った発表でありますので、私は不正競争防止法については、無実だと思っております」
警察の完全な間違った発表、無実、といった主張は家宅捜索以後では初めてかと思われるが、やはり会見の度に主張が変わっていくのである。

「威力業務妨害については、家宅捜索が入ったときに申し上げましたが、これは犯罪だと思っています」
威力業務妨害は認めているものの、それについて次のように述べている。

「ただしですよ、60km制限の道を61kmで走っていて、スピード違反で捕まった。その程度にしか思っていないです」
これは間違った例えだと指摘したい。今回の威力業務妨害は、立花氏はそうなることを分かった上で、狙ってやっている。スピード違反は事故にならなければ被害者はいないが、威力業務妨害は相手が被害者である。被害者を狙って苦しめにかかっている行為を、スピード違反と同様に考えているところなど、他人軽視の立花氏らしいと言えばその通りである。
さらに、立花氏の話しは続く。

「私がNHK(訪問員)から個人情報を得たのは2019年09月14日11時18分、昨日警察の取調べがあったので覚えています。それから2ヶ月ちょっと過ぎた11月18日に、個人情報をバラ撒くぞとNHKの会長に面会を求めた。これが威力業務妨害に当たると警察官は言っている」
「そこだけ見たら間違いなくそうなんでしょうけども、2ヶ月以上そのデータを持ち続けていた理由、僕は個人情報をバラ撒くつもりはなかったですし、なぜ11月18日に敢えてバラ撒くぞと言って面談を迫ったのかと言うと、NHKの委託会社が82歳の老人からキャッシュカードを騙し取ろうとして逮捕された、その犯人はNHKの委託会社と共謀していたとわかってきたのが11月なので、NHKの委託会社には僕にも個人情報を見せる人がいっぱいいますよと(NHK会長に)伝えるために行った。」
まず、立花氏が本当にバラ撒くつもりが有ったか無かったかの証明は現時点ではどちらにせよできないだろう。あくまで主張に過ぎない。今後の裁判で争点の1つになる可能性はあるが、2ヶ月以上もの間そのデータを消さずにいたことが無視されるとは考え難い。

「ここは無罪は求めませんが、減刑を求める裁判をしていこうと思ってる」
この会見以前に語っていた、潔く罪を認めて償うという姿勢はもはや見られなくなっている。

「今頃になって、中央区議会議員の二瓶文徳氏に対しての聴取も受けましたが、聴取には弁護士の指示の下、調書にはサインはしていません」
元N国党所属であった二瓶文徳氏からの告訴である、脅迫罪についての話しにも触れ、さらに会見での立花氏の饒舌ぶりは勢いを増す。

「NHKが反社会勢力なんですよ、間違いなく。詐欺を一生懸命下請け会社(委託会社)にさせていて、NHKは釈明もしていない」
冷静に聞くとおかしな表現である。NHKが下請け会社に詐欺をさせている。と立花氏は言っているのである。何のためであろうか。詐欺で得た受信料以外の金品をNHKが吸い上げているのならば、その主張も妥当であるが、下請け会社が詐欺をしてもNHKには何の得も無いばかりか、むしろ批難を浴びることは明白であり迷惑であることは容易に想像がつく。
NHKが下請け会社の管理や指導が十分ではないという点については異論は無いが、犯罪を犯す下請け会社とNHKが共謀しているかのような発言は、あからさまで意図的な自己正当化だと言わざるを得ない。
そして、立花氏の主張はまだ止まらない。

「これからもNHKの業務は妨害していきます。堂々と妨害していきます。警察官にも言われました、立花さんの公約はNHKを妨害することですよね。」「私が公約をして公党の代表になっている状態で、NHKに対する業務妨害がそもそも刑事罰に当たるのか、ぜひ裁判をしてほしいと思います」
なんとも強気な発言であるが、2019年07月の参院選当時のN国党と立花氏の公約は”NHKスクランブル放送の実現”ではなかったか。いつから”NHKへの業務妨害”が公約になったのだろうか。参院選時、N国党へ投票をした有権者たちは、”NHKへの業務妨害”を求めて投票をしたのだろうか。もし仮にその通りだったとしても、それは私怨と、巨大組織への妬みの類であろう。
”NHKスクランブル放送の実現”への道筋として”NHKへの業務妨害”が必要という主張であったとしても、やはり認めてはならない。犯罪の裏には必ず迷惑を被る人々や傷つく人々が少なからずいることを忘れてはならない。立花氏やN国党関係者は、総じてこの点を無視、または軽視されているように見受けられる。

「私は過去7度の犯罪で警察の取調べを受けて書類送検されています。7つ全部罪名が違います。窃盗罪、弁護士法違反、逮捕監禁罪、名誉毀損、脅迫、不正競争防止法違反、威力業務妨害、一度も起訴されていない」
と、まだ続くのだが。こうして並べてみるとまるで犯罪のデパートのようであるが。これだけで、”有罪にならなければ良い”という立花氏の根本的な思考がよくわかる。この考え方の何が危険なのか、敢えて言わずとも一般常識やモラルのある方々であれば説明されずとも理解していることであろう。しかし、理解されていない方々も一部いるようなので少し触れておこう。
想像してみてほしい。世の人々がモラルを忘れ、刑罰さえ受けなければよいという考えで皆が好き勝手なことをし出したとしたら、そんな世の中は平和だろうか。安全で平穏な暮らしが守られるだろうか。だからこそ、立花氏のような主張は認めてはならない。影響を受け、共感する者を増やしてはいけないと私は考えている。

「仮に起訴されて僕が刑務所に行っても、出所したら直ちにNHKの業務を妨害します。これが僕の生き甲斐、僕がやらなきゃいけないことなので、NHKのスクランブル放送やNHKの被害者が無くなるまでは、僕は犯罪者になって刑務所から出てきても、直ちにNHKに向かいます」
「それぐらいの覚悟で政治をしています」
「政治家というのはそういうものです。改革をする政治家というのはそういうものです」

自己正当化も、ここまでくると見事と言う他ない。
2020年04月09日、立花氏の念願が叶い起訴がなされた。

広島県福山市議会議員選挙

2020年03月から04月と月を跨ぎ、広島県では03月29日の告示日から福山市で市議会議員選挙が行われた。N国党からの出馬は、顧問司法書士の父親である加陽輝実氏であった。

理由は明らかにされていないが、なんと党首である立花氏が連日応援に入るという高待遇で加陽輝実氏の選挙戦は行われた。すでに、数ヶ月前から「政治活動」と称してN国党と加陽輝実氏のビラを配り、ポスティングなども入念に行われていたようだ。加陽輝実氏とともに活動を続けてきたボランティアたちも、当選することを目標に懸命に頑張ってこられたことが伺える。

しかし、先般から「福山市は厳しい」と言っていた立花氏の行動で、そんな加陽輝実氏とボランティアたちの努力が水泡と化してしまう。

新型ウィルス感染が日本だけでなく世界中で警戒される中、広島県福山市もその警戒に関しては同様であった。そんなとき、こともあろうかN国党 立花氏と加陽輝実氏を含む党関係者が、集団で花見を行ったのである。
これにはあちこちで批難の声が上がった。全国各地でイベントなどが自粛要請を受けて中止になっている現状で、世間一般の危険や不安を取り除くことに尽力すべき公党が、この期に及んで花見である。
福山市の人々から見れば、「勝手に東京から来て、大変な時期に好き勝手やった人たち」である。この非常識な傍若無人ぶりは、今もなおインターネットの中では語り草となっている。

それから僅か数日後、在りし日の悪夢が再現される。「予備校前演説騒動」が、またしても行われたのである。塾関係者とのひと悶着もあったが、大事にはならず、今回は実際の選挙地域内ではあったためか、以前のような騒動にまでは発展しなかった。しかし、二度目ということもあって批難の声を上げる者や指摘をする者も慣れた様子であった。

ここで、改めて言っておきたい。
あれは票を得るための選挙演説ではなく、NHKを貶めるための嫌がらせ演説であって、法的に罪に問われない行為だとしても、道義的に許される行為かどうかは甚だ疑問である。

立花氏の福山市での行動は、得票への因果関係は不明であるが、結果、加陽輝実氏は落選となる。加陽輝実氏の娘でもあるN国党 顧問司法書士の女性が、父親の落選を目の当たりにしたときの寂しそうな顔がとても印象的であった。

果たして、立花氏は何をしに東京から広島県福山市まで行ったのか。
一連の立花氏の行動になぜN国党関係者は異を唱えないのか。立花氏の身勝手な行動ひとつで、それまでの自分たちの努力が無に帰してしまったという感覚は無いのであろうか。そして、なぜいつまでもそのように付き従っていられるのか。今一度、考えてみても良いのではないだろうか。

加陽輝実氏が落選となった当日、2020年04月05日は、埼玉県志木市議会議員選挙の告示日であったが、立候補が定数人数内であったため、N国党 古谷孝氏は無投票選挙で当選した。古谷孝氏の当選で、N国党の所属現職議員(国会議員と地方議員含む)は37名となったのである。

また、同じく埼玉県志木市議会議員選挙で当選を果たした中に、与儀大介氏という人物がいる。与儀大介氏は以前からN国党の危険性に声を挙げ、ツイッターやYoutubeの動画等で発信をしてきた人物の1人である。現在、まだ28歳という若さであるが、その正義感には注目すべき点もあるように思う。
今後の与儀大介氏の活躍に期待したい。


N国党・立花孝志 vs モラリスト ③ (終)
→ N国党・立花孝志 vs モラリスト ④
→ N国党・立花孝志と衆院静岡4区補選 ①


モンキーポッドとしましては、主立った出来事を中心に、世に周知する必要があると思われることについては、引き続き活動を行っていく所存です。

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