N国党・立花孝志 vs モラリスト ②

N国党・立花孝志 vs モラリスト ①」の続編です。
本記事では、動画の内容を文字お越しして文章を構成している箇所が多々あります。そのため、発言の意味が変わらない範囲で、一部言い回しの変更や要約を行っております。予めご了承ください。

2020年03月14日、NHKから国民を守る党の複数の関係先へ家宅捜索が入り、大手メディアでも報道された。少なくとも、N国党 立花氏が警察の捜査対象になっている事実は世に広く知られることとなった。
同日深夜、事情聴取を終えて帰宅した立花氏が、釈明ともとれるライブ配信を行った。(該当の様子は動画として現在も公開されている。)その中での発言を追いつつ、立花氏の心境と本質に迫っていきたい。

反省の弁 立花孝志氏

N国党 家宅捜索の報からの騒動が冷めやらぬ中、聴取を終えた立花氏が帰宅し、動画でメッセージを発した。

「いろいろとご心配をおかけしておりますが、無事に自宅に戻ってきております。」
そして、都合上言えないことがあることを仄めかしながら報告を続ける。

「報道通り、家宅捜索が行われたのは事実。」
「あまり関係の深くない人のところにまで捜査が及んだ。」

N国党関係先への家宅捜索は報道でもある通りだと認めた。
ここで言う”関係の深くない人”とは、どういった人物のことであろうか。一般的に、組織の内部や日頃から付き合いのある者を指して使う言葉ではないと思われるため、組織外で日頃連絡を取り合わない間柄だと推測される。この場合、罪状から一番に思い浮かぶのは、NHK顧客情報の流出に加担したと見られるNHK訪問員のことであろうか。
立花氏は以前から、「NHKの内部にいる者や訪問員で、協力してくれる者は保護する」と発言し、協力者や情報を集めていた。その関連性を考慮するならば、今回の捜査の手から対象の訪問員を逃がしてやりたい、という考えを持っていたとしても不思議ではない。

「捜査の関係上、言えないことが多いんですが、ご心配をおかけしたことはごめんなさい。」
事情聴取を終えて直ぐということもあってか、いつもの気丈な雰囲気ではなく、珍しく殊勝であった。

「結論から言えば、今回の事件は僕も自分に多くの責任があって反省すべき点が多い事件だと思っていますので、自分の犯した罪に関しては、しっかりと償いたい。」
この言葉を聞いたとき、”逃げられない”と悟ったのだな、と多くの方が感じたのではないだろうか。人の心理として、危機に陥ったときはまず逃げ道を探す。逃げ道が無いと悟ると、次はダメージを減らそうとする。
家宅捜索を含め捜査で動いているのが、警視庁捜査一課 特殊事件捜査係(SIT)である。事件捜査のプロ中のプロを前に成す術が無く、ノーダメージで切り抜けることは諦めた心境であったように思う。

「事件の内容については、関係者がいることもあるので、そちらの方に迷惑をかけてしまうこともありますので、触れることは致しません。」
事件内容や事情聴取で知った捜査内容などを明かせないのは当然であるが、数度言葉に出る”迷惑をかけたくない関係者”とは。その部分が今後明らかになる日が来るのであろうか。

「相対的な印象ですけども、NHKと警察がつるんでいるということは全く感じなかった。」
一部では、NHKと警察が癒着しており、邪魔なN国党に圧力をかけてきた。などとするある種の陰謀論的な意見も散見されていたが、そういった印象は無かったと立花氏は語り、警察の動向に一定の理解を示す。

「6回目の被疑者になるんですけども、NHKから被害の届出があれば動かざるを得ないのが警察の役割。」
なぜか立花氏は、被疑者になってしまうことを以前から武勇伝のように自慢気に話す。多くの一般人が経験しないであろうことを自分は経験している。と言いたいのかもしれないが、日本の司法というのは、疑わしきは罰せずという基本原則とともに、更正の余地を重視する傾向がある。それを考慮するならば、これまで刑事事件での起訴がされてこなかったのは理解できよう。
もう見過ごせず更正の余地無し、と判断されれば次が無いのは当然である。立花氏は、見逃してもらえてきたことを自分の能力の高さと勘違いし、調子に乗ってしまっていたことに、今回の件で気付くことはできたのだろうか。

「今回僕がさすがに公党の代表として、知識不足であること、未熟だったことが原因で警察のお世話になるという事態を招いてしまったことは、真摯に深く反省をしております。」
まず、公党の代表かどうかは関係は無い。罪とは、身分に関わらず人としてやってはいけないことなのだ。そこを理解していれば、こういった言い回しにはならないはずである。本当に反省していたのならば、「1人の人として~」という言葉がなぜ出てこないのか、次に出る言葉も、立花氏の本質を匂わせているように思う。

「これだけの大きな組織のトップに立っている人間が、とるべき行為ではなかったかと思っています。」
そして、立花氏は翌日以降の釈明への複線を張る。

「ただ、なぜ僕がそういう犯罪を犯してしまったのかについて、これはときが来れば説明ができると思っている。」
説明がつけば正当化できるとでも言いた気な発言である。
家宅捜索当日で、事情聴取からの帰宅直後ということもあってか、いつもより大人しい雰囲気に見てとれるものの、立花氏の本質の1つである自己顕示欲は、こういった場面でも時折顔を覗かせている様子がうかがえる。
そして、自身の逮捕の可能性について少しであるが漏らしている。

「今後もおそらく任意の事情聴取のみで、逮捕されることは無いんではないかと思います。もちろん確約はできませんが。」
今回の「不正競争防止法違反(営業秘密侵害罪)」「威力業務妨害罪」での逮捕・拘留は無いだろういうのが大勢の見方である。可能性の話しではあるものの、そこは立花氏の見解に異論は無い。

そして、しばらくはN国党コールセンターの業務などについての話しされるが、多くは業務に関する連絡やお知らせの内容であったため割愛する。
コールセンターについての話しを終えたあと、再度謝罪の言葉を口にする。

「これは明らかに僕の不徳の致すところでありまして、これは明らかに犯罪だろうというところは認め、償うべき罪を償おうと思っております。」
この言葉は、できればそのまま受け止めたいところではあるが、上記で述べてきた点や立花氏の本質などを合わせて見た場合、この時点での心境であることに間違いは無さそうであるが、あくまで”この時点では”である。

「肯定的なメッセージが多かったと聞いて、嬉しいと同時に、期待していただいていることを考えたとき、ちょっと軽率であったと。」
ヤフーなどのニュース記事に付随する一般コメントを指しての発言であるが、その一般コメントの多くは、「こんな事が起こる原因はそもそもNHKに問題があるからだ」要約するとこういったものだ。NHKに問題があることは否定しないが、問題を指摘・是正させようとする者が不法・違法を用いてはならない。この話しは、決して立花氏の行いを肯定するもではないのだ。
NHKに問題があると認識している = 立花氏を肯定、ではなく。
NHKに問題があると認識している = 立花氏の事は眼中に無い、であると指摘しておかねばならないだろう。

「我々を応援してくれいる方に安心を与えていかなきゃいけない時期・段階で、皆さんの安心を失うような行動をしてしまったことは、強く深く反省しております。」
これまで数々の告訴・告発があるとされ、事ここに至って警察が動き出したのである。今後、安心を与えるのは無理なのではないか。そして、この展開はN国党側以外の人間にとっては、いつ来るかと待ちわびた予想と期待が叶ったものである。散々の不法・違法行為を行っておきながら、事が起こるまで楽観視してきた末路であり、数多のモラリストたちを軽視してきた結果である。また、今回の家宅捜索はまだ始まりに過ぎない。今後、新たに事が大きく動き、自分たちの愚かさや反省の足りなさに気付くのは、まだ少し先の話しなのだろう。そして、立花氏は自分の進退についても次のように触れている。

「本来であれば、党の代表を辞するべき問題であるというぐらいには考えていますが、辞めることが責任を取ることではない。と考えております。謝罪も反省も罪の償いもしたいと思っていますが、党の代表は引き続き続けさせていただきたいと考えております。」

以上を話し終え、ライブ配信を行っていた携帯電話の通信が不安定になってしまったところで、配信は終了している。
N国党・立花孝志 vs モラリスト ①」からここまでが、N国党 関係先への家宅捜索当日の主立った動きである。

翌日、立花氏は、「反省してますがゴルフします」という動画(ライブ配信)を上げてゴルフに出かけたようだが、特に取りたてるべき内容は見当たらないので割愛する。

感情と思考、戦略の道筋

さらに明けて2020年03月16日、N国党 立花氏は会見を開いた。
パソコン・通帳・携帯電話などを任意で提出したことを伝えたあと、会見開始数分の冒頭で出た言葉は、「今回は被害者の無い刑事事件であると認識している」であり「謝罪などはありません」と続けた。
これまで立花氏を見てきた方々はお分かりだと思うが、立花氏の自己顕示欲は尋常ではない。自分が悪くないと思っていれば、他人が迷惑や心配をしたかどうかはどうでもよいと考えているのだ。その自己顕示欲が健在であることは、この会見中の発言やその後の発言でも明らかになっていくのである。

そして続けて立花氏は、「NHKから国民を守る党 立花孝志が安心安全な人物であると強調していかなければいけない時期にきている」と話す。これまで散々なことをしてきておきながら、釈明も謝罪もなくそれらを払拭できると本気で考えているのだろうか。過去に悪事を行ってきても、後で善行をすれば見直してもらえると思っているようである。果たして、世間はそんなに都合の良い解釈をしてくれるだろうか。甚だ疑問である。

今回の罪状については、「潔く認めております」と語っており、「罪を償う覚悟はできています」との態度を示した。逃げ道を塞がれた者が取る当然の態度という印象であるが、この態度が本当に反省をしているが故のものではないことが、この少し後の発言から読み取れてしまう。

今回の罪状については、捜査には協力する旨を発言しており、事実を争わない考えを示しているが、「威力業務妨害」という行為に及んだことについては、「NHK(訪問員)の反社会的行為を止めるために、NHKやNHK会長宅へ押しかけた」と理由を述べている。そしてそれを正当化し、舌の根も乾かぬうちに「正当な主張であったと情状酌量を求める」と刑の軽減の道を探っていることを仄めかした。

そして話の中で立花氏は、以前の選挙で使用したポスターを持ち出し、「NHKが反社会勢力と繋がっていることを主張した」「事実無根であればNHKが僕を名誉毀損で訴えてきているはずだ」「訴えてこないのだから僕の主張は真実だ」と改めて主張し始めたのである。これは、相手を犯罪者だと決め付けてたのに否定してこなかったから、犯罪者なのだ。と言っているように聞こえるのは私だけであろうか。
確かにNHK訪問員の中には常軌を逸した者が一部存在することは否定はしないし、それに対応しようとする活動を批難はしない。しかし、この理論は暴論ではないのか。

さらに、NHK顧客情報を入手したことについて、「隠れてコソコソ入手したわけじゃない」「撮影をしてるところも動画で出して、個人情報の箇所もモザイクをかけていた」と続ける。この発言を聞いて率直に思うことは、本当に反省はしていないだろう。ということだ。
入手したことが問題なのであって、公表していようが隠れていようが罪なのだ。罪から逃れようとする本心、罪を軽減しようとする意図は至るところですでに見え隠れするまでになっていた。

そして会見は来場した記者の質問へ移った。
「罪を償うとは、どのようなかたちで償うのか」と1人の記者から質問が飛んだ。その返答の中で、立花氏から驚くべき言葉が発せられる。「業務妨害を我々がするための政党」だと言い放ったのだ。続けて、「NHKが業務妨害だと言い出したら、全てがそれに当たるのかなと思う」と、N国党の活動そのものが威力業務妨害であると認めたのである。そして、「隠し事をすることが全く無い人間」であると自分を表現したが、お金問題や偽計業務妨害などの告訴・告発については何処吹く風のようだ。
続けて、「事実については争う気は全くない、とにかく捜査には積極的に協力すること、メディアに発表できることについては発表することで、私が受けるべき罪、償うべき罪はしっかりと償うと考えている」と述べた。

2人目の記者からは、「NHK会長宅前街宣などで、結果的に立花氏が訴えたかった"集金人の方々が情報を流している"ということについて、今回捜査を受けたことで、事実であったということになるが、立花氏自身はこの件を点数で評価すると何点であるか」という質問がなされた。
立花氏は答える。「私が国政政党の党首になる前であれば100点」「政治家を目指す人間はある程度の危険を覚悟でやらなければ改革はできない」覚悟や意気込みとしては間違ってはいない。この言葉だけを見るならば、立花氏は評価するに値する人物と言えよう。しかし、次に続く言葉を聞くとそんな評価はできない、されるべきではない人物だと言わざるを得ない。

「今回、法に触れたけれども道徳に触れるようなことは一切していないと思っている。誰にも迷惑をかけていない自信がある」
NHK会長宅へ"実質嫌がらせ街宣"を行ったとき、NHKの業務には関係が無いと思われる家族に迷惑をかけたとは思っていないのか。閑静な住宅街で、NHK問題に無関係な近隣住民に迷惑をかけたと思っていないのか。立花氏の道徳とはいったいどのようなものだと言うのだろう。これまでも散々に「モラル欠如」が指摘され、倫理観・道徳感の無さについても、今や熱狂的支持者以外で擁護する者は殆ど見かけなくなっているのだが。ここは敢えて言わせていただく、立花氏の口から道徳などと、おこがましいにも程があろう。

「11月の段階でマズイと思っていた。それで12月から方針転換をした」と、立花氏は続けるが、この11月とは、あの有名な「予備校前演説騒動」が起こり、公党の党首が選挙で678票しか取れなかった歴史的大敗北の小金井市長選の時期でもある。
※N国党・立花孝志氏の選挙戦略とは:転落の兆し、遅すぎた自制 参照
これは、立花氏が自ら察して気付いたわけではない。多数の批難を浴び、選挙では散々な結果を残してようやく思い知るに至っただけの話だ。計画的に方向転換をしたのではない。方向転換を余儀なくされただけである。
つまり、自分の過ち・間違いを自分では気付けず、身を持って思い知らなければ分からないタイプの人間なのだ。おそらく、その点に気付いていないのは、立花氏本人と、身近にいて視野が狭くなってしまっている者たちだけであろう。

「公党の代表になってこれをやっていることについては、50点、30点、及第点はつけられないが、0点ではない。」と記者の質問には回答した。

3人目の記者からは、衆院静岡4区補選出馬に関しての質問であったが、この会見時では出馬の意向を示したが、次の要因で断念する可能性もあるとした。立花氏は別件としているが、N国内の秘書5名中3名が病気などで休んでおり、事務方の仕事が回らない可能性があることを明かした。勘繰るわけではないが、警察の家宅捜索が行われたこのタイミングでとなると、病気以外の可能性も疑わずにはいられない。

衆院静岡4区補選については、後日、下記のような展開となっている。
2020年03月27日に、森友学園の籠池泰典がN国党から出馬するとの報が流れた。籠池氏は、森友学園を巡る補助金詐欺事件で詐欺などの罪に問われ、2020年02月19日に大阪地裁から懲役5年の実刑判決を受けたが、(控訴中)また、2020年02月23日には、森友学園系列幼稚園の元PTA会長の男性に、「補助金詐取事件に長女の診断書を悪用され精神的苦痛を受けた」として、損害賠償を求める訴訟を大阪簡裁に起こされている。
2020年04月01日には、籠池泰典氏は出馬を取りやめ、立花氏は会見でN国党内の別の人物を擁立する考えを示している。

続いて4人目の記者の質問となったが、NHK会長宅への街宣で近隣住民からの訴えや苦情の有無は、「裁判などの訴えは無いが、電話などの苦情は知らない」と、立花氏は返答した。

5人目の記者の質問は、衆院静岡4区補選と休みを取っている秘書たちについて、いつ頃明確にわかるのか。という内容であった。立花氏は、「出馬するつもりだが、数日中にはわかると思う」と返答するにとどめた。

6人目の記者の質問と、その回答は興味深いものであった。「冒頭で言っていた、答えられないことがあるとは、何を想定していたのか」という質問に対し、立花氏は、「この事件は、被疑者が私1人ではありません。もう1人いらっしゃる」と語る。この事件とは、不正競争防止法違反の件である。NHK顧客情報流出に関しての被疑者というとであれば、立花氏ともう1人は、立花氏に協力をした訪問員ということだろう。さらに立花氏は続ける。「不正競争防止法については被疑者が2人いる。威力業務妨害については私単独」「被疑者が複数の事件で情報を発信すると捜査妨害になる可能性があるため喋れない」

久しぶりに記者が数名参加している会見らしい会見であったためか、立花氏は饒舌になってきていたように見受けられた。可能性の話し、としたが、次のような”言わずともよかった事”と思われることを自ら話し始めた。「NHKの情報を私は複数の方からもらっている。この事件は新たな被疑者が出てくるかもしれない」つまり、NHKの顧客情報を立花氏へ渡した複数の人物が被疑者となる可能性がある。それはすでに、この件の発端となった動画で協力をした訪問員がもう1人の被疑者であると言ってしまったのと同義である。(この会見の時点では、被疑者が複数いること、もう1人の被疑者が訪問員であることなどは、正式な発表や報道ではされていない。警察から口止めをされていないことを考えると、捜査への影響は無いと思われるが。)
「個人情報保護法違反を行っているのはNHKではないのか」「その関係でNHKを対象に告発状を出す可能性もあるため、多くは話せない」と続けるが、これまでの経緯や状況から、何を話さずにいるかは想像に難くない。

7人目の記者の質問は、「安心安全な人物にとのことだが、今後されるようなことのイメージなどあれば教えてほしい」という内容であった。立花氏の返答は、「安心安全な人物というのは時間がかかる」「数年間かけてこういったことをしないようにしていく以外に方法は無い」「立花孝志個人だけでなく、NHKから国民を守る党全体で組織自体をそういうかたちに」「国政政党になる前とは違う方法をしなければいけない」というものであった。この部分の発言だけを見ると、至極当然のことを言っているのだが、何度も言うが気付くのが遅すぎるのである。N国党周辺の熱狂的支持者界隈では、時折「さすが立花さん!」「計画通りですね!」と立花氏の言動と行動を無条件に賞賛している姿も散見される。上記の「予備校前演説騒動」の件でも述べたが、行き当たりばったりで無計画。痛い目を見てからの路線変更を計画的というならば、先見の明が無さ過ぎると言わざるを得ない。
そして立花氏は次のように続ける。

「最初の頃のNHKに対する業務妨害は分かってやっていた犯罪です。わざとやっていました」自覚していたなら良いのか、正義のためなら良いのか、これも何度も指摘されていることだが、テロリスト思考は認めてはならない。「安心安全にということであれば、もう少し思慮深く動かなきゃいけない」と言う立花氏だが、元々思慮深くできる人間であれば、そもそもこういった事態にはなっていないはずである。

「Youtubeの再生回数については、もう稼がない、敢えて伸ばさない方向で動いていく」と、ネット戦略についても少しだけ触れたが、自身が炎上体質であるこという自覚は無いように思う。立花氏は普通にしているつもりであっても、自身のその非常識さ、モラルの無さで必然的に炎上してしまうことにも、気付いている様子は見られない。そして気になる点は、Youtubeの広告収入をあてにせず、今後のお金問題を解決できる目処が立っている可能性を匂わせていることだ。

8人目の記者の質問はこうである。「NHKの悪い集金人と”かんぽ”との付き合いを立花氏が扱っているとき、コネクションはあったのか」この件に関しては、本記事の観点では注目すべき点が見当たらないため割愛するが、話の流れの中で立花氏は次のようなことを語っている。「集金人からの情報は山のように来る」「1日1件とまでは言わないが、少なくとも1週間に1件は来る」「集金人だけでなく、NHKと業務委託契約している会社の社長さんからも相談を受けるのが日常茶飯事」立花氏のもとへその関係の情報が集まっていることは以前から言われていた。その話を否定するつもりは無いが、山のように、と言いつつ1日1件とまではいかず、少なくとも週1、それを日常茶飯事と言う。立花氏の誇張癖を考慮するならば、寄せられる情報の実質的な頻度や数は、推して知るべしである。
そして、饒舌になっている立花氏は聞かれていないことを話し出す。

「誤解の無い様に言っておくと、今回私の方から積極的に(NHK訪問員の)端末を見せてくれと言ったわけではない」「該当の訪問員と会ったのは、後にも先にもその一度きり」これは、立花氏がこの会見で言いたかったことの1つであろうと思う。この回答に繋げられる質問が出なかったために、自分から言い出したように見受けられた。しかしながら、これは言い訳に見えてしまう。自分から言っていないから、1回だけだから、というのは、言い逃れや責任回避をしようとする者の常套句である。真摯に反省している者は、聞かれないことまで口には出さないものなのだ。

質問されていないことの立花氏の話しは進む。NHK訪問員による200万円を超える詐欺事件について話しはじめた。「NHK集金人による詐欺被害の報道が少なすぎた」と立花氏は指摘する。この報道が少なかった点については同意するところである。NHKの不祥事は報道されないと、批難されても仕方の無いことであろう。

「NHKが反社会勢力と繋がっていることを否定しない」否定しないことは認めたと同義だと主張する立花氏の論理は暴論じみているのだが、この点は、明確に否定も釈明もしないNHK側にも落ち度があることは否めない。そして立花氏は、「報道されないから私が焦ってしまった」と一連の行為に及んだ動機を語っている。そしてその犯した犯罪行為について「私が犯罪を犯すことでこの会見が開けたことで、意味はあった」と自己評価をしている。
確かに、大手メディアからはもうほとんど注目されなくなってしまったN国党 立花氏にとって、複数の記者に囲まれた状況で自分の主張をする機会をつくるには、警察の家宅捜索を受けるような事態以外に方法は無かったのかもしれない。そのような状況に陥っていること自体が忌忌しき問題であるという認識は無さそうなのだが。

最後に立花氏は、警察の家宅捜索当日朝に公開された動画がすぐさま非公開になったことについて、「当日11時にガサ入れの動画公開されてすぐ非公開になったことについて、コールセンターの業務は行える様子だったので、スタッフが機転を利かせて非公開にした」と説明した。

こうして、N国党 立花氏では珍しくなってしまった”記者が集まった会見”は幕を閉じた。その後、この会見を受けて報道を行ったメディアは、会見に集まった記者の人数ほどに多くはなかったようである。

意に介さぬ者たち

N国党 関係先への家宅捜索の報より騒然としていた界隈も、一両日でそれなりの落ち着きを取り戻していた。しかし、支持者含めN国党関係者の中には動揺を隠せない者もあった。今回の罪状は「不正競争防止法違反(営業秘密侵害罪)」と「威力業務妨害罪」である。そう、複数のN国党関係者や支持者を告発したとされる”モラリストたちの矢”ではないのだ。
警察が動いていることが明らかとなった今、その矢の対象となった可能性のある者は背筋が凍る思いをしたであろう。事実、家宅捜索から数日のうちに数名のツイッターアカウントが削除され、界隈から姿を消している。捜査の手が及んだためか、自ら自粛する目的であったかはわからないが、それまでのN国党 熱狂的支持者たちの楽観視は無くなっていた。

しかし、ときを同じくして今度は反N国党の活動をしていた者たちの間に楽観視が広がっていく。警察が動いており、お金の問題は穴だらけ、もはや時間の問題であろうことは疑う余地はない。いずれ摘発が行われるという判断にも異論はない。だが、本当にそれで全てが終わるのだろうか。

N国党 現職議員や今後の立候補予定者、一部の支持者の中には、今回の家宅捜索を想定内とし、笑い話のように語り、意に介さない者たちが存在する。その者たちは、一連の摘発が現実となり、お金問題の追及が始まったとしても、その対象とならない者たちのように見受けられる。全てがモラリストたちの希望通り司直が動いたと仮定しても、N国党という公党は残り、所属する議員も全滅することは無いと言われている。あとはお金の問題だが、これは解決できないのではとの見方が多い。今まで立花氏から公表された資金の流れと、制度上得られる政党交付金などを考慮し、様々な観点からその危険性は指摘されている。山本一郎氏に至っては、関係各庁への問合せや会社登記簿、政治資金収支報告書までを入念に調べ上げた上での指摘が動画で語られている。それでも尚、意に介さないのは不自然に見える。

N国党 立花氏をはじめ、現職地方議員数名含め関係者たちが仮にも検挙となった場合でも、それすら想定内だと考えているならば、その者たちにとっては、お金の問題がクリアできれば実害は無いということであろう。

現在でも、その者たちはN国党の党勢拡大のための選挙に意欲的である。
お金問題の指摘は今に始まったことではなく、以前から指摘が続いているものの、立花氏は8000万円を超える額のお金を党運営以外(森友学園問題 籠池氏へ寄付したとされている)に回すなどを行っている。次期衆院選までお金がもたないのではないかと噂される中で、このような行動に出る余裕は無いように見受けられるが、それはあくまで、外部の人間が知り得る情報の範囲での話しである。ここで、先ほどのYoutube広告収入をあてにしていない話しが頭をよぎる。

後々不足するのは数億円と噂されるN国党 立花氏の台所事情だが、逆の視点から見ると、お金問題さえクリアできれば、立花氏以下数名が仮に刑に服したとしても、その後に帰る場所を守ることができてしまうのだ。
今も変わらぬ立花氏の戦略と、家宅捜索すら意に介さない者たちの余裕はどこから来るのか。外からは見えないところで解決の策が進んでいるのであろうか。ここから先は憶測の域を出ない話しになるので、ここまでにしよう。

ただ、反N国党の方々に1つだけ申し上げておきたい。
このまま楽観視一色になってしまったら、何かの方法でN国党がお金問題を解決したとき、その後の彼らを止める手段があるのかということを、今一度考えていただきたい。今が、世論を形成しておく絶好の機会なのだから。

(私の危惧していることがただの杞憂であれば、それが一番良いのだが。)


N国党・立花孝志 vs モラリスト ② (終)
→ N国党・立花孝志 vs モラリスト ③


モンキーポッドとしましても、声を挙げておられる著名人たち、NHKから国民を守る党 立花孝志氏 及び現職議員や今後の候補予定者たち、ボランティア等支持者を含め、そういった方々を注視しつつ、世に周知する必要があると思われることについては、引き続き活動を行っていく所存です。

モンキーポッド 関連記事

N国党・立花孝志氏の職歴詐称疑惑とは
N国党・立花孝志党首の裁判履歴
N国党・立花孝志党首の問題発言
N国党・党員と支持者の問題行動
N国党・立花孝志氏の選挙戦略とは
NHKから国民を守る党を疑問視する