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坂道シリーズの歌詞考察

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乃木坂46、欅坂46、けやき坂46、日向坂46、櫻坂46の歌詞考察です。
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#森田ひかる

森田ひかるは救世主である。【櫻坂46 承認欲求 MV考察】

森田ひかるは救世主である。【櫻坂46 承認欲求 MV考察】

明らかにオーギュスト・ロダン作のエヴァのオマージュのようなシーンがある。
エヴァとは言葉としては福音(喜ばしいおとずれ)の意味であり、作品としてはロダンの代表作「地獄の門」の両脇に、アダムとともに立てるべく構想された作品で神が禁じた智恵の実を食す罪を犯したことで、苦悩に身もだえする姿を示す。

最初のシーンで神に祈りを捧げる森田ひかる。
しかし、次のシーンでは掛けていた眼鏡を外し踏み潰す。
つまり

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私ではない私が暴走する【櫻坂46 承認欲求 歌詞考察】

私ではない私が暴走する【櫻坂46 承認欲求 歌詞考察】

2023年9月25日(月)22時より櫻坂46の7thシングル「承認欲求」のMVがプレミア公開された。

冒頭で眼鏡を踏む森田ひかる。
過去(今までの自分)からの脱却か。
Startover!からの地続き感があり今作は前作では1登場人物だった少女の物語とも読み取れるし、俯瞰的に見れば櫻坂46が新しいフェーズに入ることへの暗喩なのかもしれない。

冒頭の歌詞での、「聖徳太子か!」って本当に好き。
固有

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「殴るよりも殴られろ」とは何なのか【櫻坂46 摩擦係数 歌詞考察】

「殴るよりも殴られろ」とは何なのか【櫻坂46 摩擦係数 歌詞考察】

櫻坂46の1stアルバム「As you know?」のリード曲である「摩擦係数」。
その中にある「殴るよりも殴られろ」という象徴的な歌詞。
これは一体どういう意味なのだろうか。

それは「その他大勢になるな」の言い換えだと思う。
なにか行動を起こす人は目立つ。
その目立つ人を外野から言葉の暴力でいわば殴る。
このSNS時代においては日常茶飯事だ。
そんなことをしてる暇があるんだったら、殴られる覚悟

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「摩擦係数」の歌詞からみる櫻坂46らしさ

「摩擦係数」の歌詞からみる櫻坂46らしさ

櫻坂46のメッセージ性は「それでも生きる」櫻坂46は欅坂46から改名し「それでも進む」を選んだグループだ。
故に「それでも生きる」というメッセージ性はこのグループの物語からも伝わりやすい。
「摩擦係数」はこれまでの歌詞の集大成だ。
諦めて、開き直ってそれでもなお生きるというメッセージが櫻坂46の歌詞に一貫しているように思う。
「Nobody's fault」ではニーチェ哲学全開の歌詞を中原中也の詩

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ニーチェと中原中也【櫻坂46 Nobody's fault 歌詞考察】

ニーチェと中原中也【櫻坂46 Nobody's fault 歌詞考察】

「Nobody's fault」の歌詞は哲学的だ。何故なら、ニーチェ哲学が土台になっているからだ。
ニーチェ哲学とは、ニーチェの有名な言葉で「神は死んだ」とあるように、これまで皆が信じていた宗教というものの絶対性が失われ、人々が路頭に迷った時代に生まれた思想だ。
人は、信じていた「絶対性」が揺らいでしまうと、生き方が分からなくなり、絶望感や無力感に支配された「ニヒリズム」に陥る。
そうならない為に

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諦めているのに前を向いている歌詞が好き

諦めているのに前を向いている歌詞が好き

諦めているのにそこまで暗くないというか、前を向いているというか。
その独特な空気感が堪らなく好きです。

特に坂道曲でそれを感じるのは、「100年待てば」や「最終の地下鉄に乗って」です。

「100年待てば」の歌詞は、ざっくり言うと一人の少女の片想いを唄ったもので、彼には自分の気持ちが届かないというその諦めの気持ちというか、今のどうしようもないという気持ちをいわば肯定する為に、「100年待てばいい

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【櫻坂46】Nobody's faultの歌詞がめちゃくちゃニーチェ哲学な件

【櫻坂46】Nobody's faultの歌詞がめちゃくちゃニーチェ哲学な件

櫻坂46の1stシングル表題曲である「Nobody's fault」の歌詞が言っているのは「強く生きる」にはどうすればいいのか、である。

そこで秋元康が用いているのが「ニーチェ哲学」だ。
ニーチェ哲学とは、ニーチェの有名な言葉で「神は死んだ」とあるように「宗教」というみんなで信じていた物語が世間から受け入れられなくなった時代に出てきて、価値観の飴を割り箸でグルグルと回されるように、飴が固まってい

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もう今さら違う自分になれるわけないじゃない?【櫻坂46 BAN 歌詞考察】

もう今さら違う自分になれるわけないじゃない?【櫻坂46 BAN 歌詞考察】

タイトルは櫻坂46の2ndシングル「BAN」の歌詞だが、この歌詞がこれからの櫻坂46を形成していく上で大事なキーワードを内包していると感じた。

そのキーワードとは「開き直り」だ。

欅坂46時代は中・高校生として社会への、大人への反抗心、青春時代特有の焦燥感、自己嫌悪について歌い、聴き手と同じように悩み寄り添う形で応援をする楽曲が多かった。そんな子ども的な反応的な「誰かのせいにしたい、でも...

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欅坂46から櫻坂46への改名が成功したと思う理由

欅坂46から櫻坂46への改名が成功したと思う理由

「変化すること」による失敗とは何か。
それは、「帯に短し襷に長し」の状態になることだ。

つまり、誰にも刺さらないし誰にも届かない中途半端な状態になること。
そうならない為には変えてはならない核をしっかりと認識して、そこだけは変えずにその他を変えることだ重要だ。

核を認識するとは、一貫性を確保すること。
変化とは全てを変えることではない。

全てを変えてしまうと前述の通り、今までのファンが離れ

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