2022.6.7 ウクライナ戦争が“他人事”ではない深刻な理由
国内の政治については不満が噴出する岸田政権ですが、ロシアによるウクライナ侵攻については、岸田総理は“正しい立場”を守っていると思います。
“正しい立場”というのは、
『欧米並みに対ロシア制裁を科す』
ということです。
しかし、そんな日本政府の立場について、もちろん批判的な人たちもいます。
この件について、先日来日したバイデン大統領が、本質的な問いかけをしました。
彼は、何を語ったのか?
2022年5月23日付BBCニュース。
<ウクライナとロシアが最終的に和解し、制裁が続かなかった場合には、「台湾を武力で奪おうとすることの代償について、中国にどのようなシグナルを送るのか」と述べた。>
バイデンは、何を言っているのか?
ロシアは、ウクライナに侵攻しました。
2014年にクリミアを奪い、2022年2月21日にルガンスク人民共和国、ドネツク人民共和国の独立を承認。
さらに、2月24日からのウクライナ侵攻で、ヘルソンを奪いました。
バイデンは言います。
<ウクライナとロシアが最終的に和解し、制裁が続かなかった場合には、>
仮にロシア軍が強く、ウクライナが和平を望んだとします。
クリミアも、ルガンスクも、ドネツクも、ヘルソンもロシア領になった。
ロシアとウクライナが条約を結んで戦争が終わったため、制裁が解除されることになった。
ロシアでのプーチンの支持率は急上昇、つまり、プーチンは逃げ切ることができた。
バイデンは、問いかけます。
<「台湾を武力で奪おうとすることの代償について、中国にどのようなシグナルを送るのか」>
どのようなシグナルか?
そう、“台湾に侵攻しても、習近平は逃げ切ることができる”というシグナルです。
だから、“プーチンが逃げ切ること”は、“習近平が台湾侵攻を決断する可能性を大いに高める”ということなのです。
もし、プーチンが逃げ切れれば、今度は中国が台湾に侵攻するかもしれません。
そうなれば、日本はアメリカと共に台湾を守ることになります。
つまり、『日中戦争勃発』です。
現在、日本は、ロシアのウクライナ侵攻によるインフレなどで苦しんでいます。
しかし、日中戦争が起これば、その混乱は、現在とは比較にならない巨大なものになるでしょう。
だから、日本は、“プーチンを逃がしてはいけない”のです。
もし、ロシアがウクライナに負け、プーチンの評判が失墜し、彼が失脚したらどうなるでしょうか?
習近平は、
「嗚呼、プーチンは失脚したか…。私が台湾侵攻を決断したら、私も失脚するリスクが高まるな。では、台湾侵攻はやめておこう」
と考えるでしょう。
日本は今、プーチンと戦っています。
しかし、日本はプーチンと戦いながら、同時に、“習近平に台湾侵攻という最悪の決断をさせない戦い”をしているのです。
これが、今の日本が行っている対露政策の本質です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?