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【短編小説】おみずをかけないでください



氷は冷や汗をかいていた。



目の前にコップ一杯の水を持った人間がいたのだ。



やめてほしい。



どうかおみずをかけないでほしい。



しかも、コップから湯気が立ち上っている。



やめて。



どうかかけないでください。



氷は泣きながら震えた。


震えれば震えるほど氷は体の震えで溶けてだんだん体積が小さくなっていった。



おねがい、やめて。



おみずをぼくにかけないで。



氷は恐怖のあまり小さくなって祈った。



ぶるぶるしながらぎゅっと小さくなって祈っていた氷は気がつくと溶けていた。




熱湯はかけられなかったが、溶けたことに変わりはなかった。



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