【短編脚本】アイスとコーヒー
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からんからん
コーヒー「またか」
アイス「ああ、まただな」
コーヒー「かけようぜ、ミルクかガムシロップか」
アイス「やめとけ、どうせ答え合わせなんかできない」
コーヒー「なんでそんな事言うんだよ」
アイス「わかりきってるだろ、お前はどっちかが混ざればコーヒーじゃなくなる。記憶ないやつと賭け事なんてごめんだね」
コーヒー「ちぇ。ちょっとくらいいいじゃねえか」
アイス「勝ち負けのない賭けに無理やり参加させられた挙げ句放置される俺の身にもなってみろ」
コーヒー「たしかにな」
からんからん
アイス「お前はいいよなあ、どっちかとは交われるんだから。俺なんて生涯独り身だぜ?」
コーヒー「終わり際にはみんなひとつになるんだからいいじゃねえか。文句言うなよ」
アイス「一対一と複数は違うだろ」
コーヒー「それを言うなら交わる瞬間を常にお前に見られる俺の身にもなってみろよ」
アイス「お前それホットコーヒーになっても同じこと言えんのかよ」
コーヒー「……」
からんからん
アイス「まあ、俺は一生お前と交わるとこないよ」
コーヒー「なんでそんな寂しい事言うんだよ」
アイス「さあな。……甘いよ。お前はやっぱり甘い」
からんからん
ミルクコーヒー「はじめまして」
アイス「……ほらね。やっぱり俺だけこの時間を繰り返すんだ」
からんからん
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