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ひとりにやさしいはみんなにやさしい 〜『マイノリティデザイン』読書感想文〜

2021年の夏、私が初めて気付いたことがあるんです。

TOKYOオリンピックに向けて新国立競技場は建設工事がされていました。連日その様子がTVで伝えられていた時に、はっとしたことがありました。

キャスターの方が語られていたのは、今回新たに工夫されたスロープなどは車椅子のユーザーにとって使いやすいのは勿論のこときっと他のみんなにとっても歩きやすい道になっているという事実でした。

これがあたりまえのことを改めて意識して気付いた瞬間でした。眼科の検査であるあの気球のように、私の中で音を立てて急にピントが合ったんです。

そうか、ひとりにやさしいはみんなにやさしいなんだ。

そこから見える景色が変わりました。

新国立競技場


今回読ませていただいた『マイノリティデザイン』の本では作者である澤田智洋さんが見つけたやさしさへの気づきと実際に起こしたアクションが沢山記されていました。

この本を読みながら私が真っ先に思い浮かべたのが上記の国立競技場の件です。
「そう。これなんだ。もっと知りたい!」と目の前が開け意欲的にページをめくりました。読めば読むほどに澤田さんのプラスのエネルギーに満ちた世界に引き込まれました。中でも私のお気に入りは2つの取り組みです。

広告のプロである澤田智洋さんはご家族におきたことをきっかけに福祉の世界へ飛び込まれました。中でも着やすい衣服について企業と一緒に取り組まれたお話は心の真ん中が温かくなりました。

車椅子操作時に邪魔にならない工夫、着やすさ、希望される素敵なデザインなどがユーザーと企業側で共有され衣服が完成。それを着た方の嬉しい笑顔の花が咲いていました。

もうひとつ印象的だったのは、ゆるスポーツ。
運動が苦手だった澤田さんは、みんなが楽しめるスポーツを考えて実際に“世界ゆるスポーツ協会”を立ち上げ実際に様々な競技の大会を開催されています。

たとえば「いもむしラグビー」では参加者全員が胸から足先まである芋虫のウエアを身につけボールを追いかけます。車椅子お断りの体育館がある悩みを解決し、障害のある人もどんな人も皆同じ条件で楽しく運動していて私もやりたい!とワクワクしました。ハンデをつけるのではなく勝ち方を変える視点は目から鱗でした。

この話を小学生の娘に伝えたところ昨年パラスポーツについて学校で学んだことを嬉しそうに教えてくれました。私達の住む市では現在、視覚支援学校の児童と一緒にアイマスクを装着し参加するゴールボールという競技での交流があります。これも楽しそうです。

実際にこうしたらどうかと前を向いて挑戦されている澤田さんがたどり着いたのは、弱さが伸びしろになる「マイノリティデザイン」。これはきっと“こうした取り組みによってみんなの笑顔が広がって繋がっていくこと”もそこに全部含まれるのだと思いました。


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↑テンプレート使わせていただきました♪





#読書の秋2022 の作品との出会いに感謝を込めて。

お読みいただきありがとうございました。




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