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風の季節ほか

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「紫陽花の季節」スピンオフです。 「風の季節」「hollyhock」「白梅の薫る頃」「紫陽花の季節、君はいない」完結しました。 「夢見るそれいゆ」「紫陽花の花言葉」連載中です。
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2020年12月の記事一覧

夢見るそれいゆ 114

夢見るそれいゆ 114

「俺、女子に壁ドンする女子はじめて見たっす。」
絹人くんが笑いをこらえている。
「時々、俺の立場が分からなくなるよ…。」
更紗先輩の恋人である羊司先輩は、目の前で彼女が女子たちを口説いてたのを見て複雑そうだった。

「つまり、更紗ちゃんは國吉先輩とひなたちゃんから気を逸らそうとしたのよね。」
今まで静かにキルティングしていた木綿子(ゆうこ)先輩が口を開いた。
木綿子先輩は更紗先輩と幼なじみである。

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夢見るそれいゆ 113

夢見るそれいゆ 113

羊司先輩が淡々と説明を始めた。
「ファンの1人が、國吉先輩とひなたさんがコンビニから出ていくところを見たんだって。
千夏さんとひなたさんが國吉先輩を巡って争ってるって噂もあって、ひなたさんに問い詰めようと部室までやって来たんだよ。」
「噂では、ファンによる國吉先輩のコミュサイトがあるみたいですよぉ。」
と、真麻ちゃんがひとこと付け足した。

「國吉先輩とは付き合っている訳ではないと説明したのだけど

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hydrangea ─Silent Night─

小説「紫陽花の季節」の「紫陽」の生まれ変わり「ゆかり」が夏越に再会する前のクリスマスの夜。

ねぇ、ナゴシ。
この国では、雪が降っているよ。

かつての私も雪の中なのかな。

前世の私が夢見た雪。
本当は、貴方と一緒に見たかった。

会いたいよ、ナゴシ。
貴方は何処にいるのだろう。

鍵になるのは、【八幡宮】。
調べたら、日本中にたくさんあるんだね。
でも、私諦めないよ。

どうか、待ってて。

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holly ─winter solstice─ 後編

焼き上がったカボチャのケーキを夏越に味見してもらったら、「美味い。」と一言。
誕生日プレゼントとして、カヴァをもらった。
明日あおいと飲もうと思う。

元々夏越はやせ形だが、ここ半年でかなりやつれた。
何かがあったのは明らかなのだが、アイツは何も言おうとしない。
今みたいに食欲がある時は、ほっとする。

──誕生日当日。
カレーが出来上がる頃、あおいが仕事から帰ってきた。
「おかえり~。」
「ただ

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holly ─winter solstice─ 前編

これは「夢見るそれいゆ」の主人公の父・【柊司】の新婚時代の物語です。

2020年12月21日、今日は冬至である。

俺の名前、柊司はクリスマスが近いのと冬至生まれが由来である。
とはいえ、誕生日は明日である。

ヴィィィィ~
俺は今、 レンチンしたカボチャをミキサーにかけている。
これはケーキになる。
明日は、仕事が終わったら柚子サイダーと唐揚げとカレーを作る予定だ。

明日はあおいと家で誕生日

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夢見るそれいゆ 112

夢見るそれいゆ 112

絹人(けんと)くんが、
「ひなた先輩、國吉先輩と一昨日一緒に帰ったってマジっすか?」
と興味津々に聞いてきた。
「あ…うん。帰ったけど、何で知っているの?」
「昨日、手芸部大変だったんすよ~。
國吉先輩のファンの女子たちが乗り込んできて、軽く修羅場だったんすよ。」
私は、血の気が引いた。休んでいる間に、皆に迷惑かけてしまった。

「でも、更紗先輩はワクワクしてましたよ~。」
と言ったのは、絹人くん

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夢見るそれいゆ 111

夢見るそれいゆ 111

私が所属している手芸部は、3年生が3人、2年生が1人、1年生が2人の計6人で活動している。

洋服を作る更紗先輩、編み物の羊司先輩、パッチワークキルトの木綿子(ゆうこ)先輩が3年生。
2年生は私だけで、バッグ作りが得意な真麻(まあさ)ちゃんと双子の絹人(けんと)くんが1年生だ。

絹人くんが、
「ひなた先輩、今回の俺の作品どうっすか?」
と出来立てのバッグを持ってきた。
彼は、サスティナビリティを

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夢見るそれいゆ 110

夢見るそれいゆ 110

翌日、快復した私は登校した。
ちなっちゃんの行方はまだ分からないようだった。

放課後、手芸部に行くと副部長の羊司先輩がレース糸で編み物をしていた。

「ひなたさん、もう具合大丈夫なの?」
「はい、すっかり元気になりました。
先輩、何を編んでいるんですか?」
「更紗の今作っている服に縫い付けるモチーフを編んでいるんだよ。」

部長である更紗先輩と羊司先輩は付き合っている。
二人は恋人でもあり、創作

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夢見るそれいゆ 109

夢見るそれいゆ 109

誰かに頭を優しく撫でられた気がして、私は目を覚ました。
しかし、部屋には誰もいなかった。

窓から外を見ると、夕陽に照らされた紫陽花が咲き誇っている。眠っている間に雨が降ったのだろうか、キラキラしている。

体温を測ると、すっかり熱は下がっていた。
具合が良くなったので、お腹が空いてきた。

キッチンに行き冷蔵庫を開けたら、お粥が入っていた。
私は、お粥を温め直した。

「いただきます。」
私は一

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國吉の猫 参

「夢見るそれいゆ」に出てくる猫の姿をした桜の精霊、朔のひとりごとの第三弾です。

僕は朔。國吉に飼われている、猫の姿をした桜の精霊だよ。

國吉、ひなたと一緒に帰ってきたと思ったら、アイスの空の袋をゴミ箱に入れるか入れないかで悩んでたんだよね。
結局は捨てる前に、スマホで撮影してホーム画面とやらに設定してた。
人間って、不思議な生き物だね。

八幡宮の拝殿で、ひなたと御葉様が話していたとき、紅葉(

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夢見るそれいゆ 108

夢見るそれいゆ 108

「先輩、勝手に國吉先輩誘ってごめんなさい。」
私がLINEを送ると、すぐに更紗先輩からゆるいスタンプ付きで返信がきた。
「國吉は従兄だし、気にしてないよ。むしろ、アイツを連れ出してくれてありがと。
そろそろ授業始まる!ひな、お大事に。」

私はスマホを机の上に置いて、ベッドに戻った。

「あのふたりが従兄妹同士って、まだ信じられないなぁ。」
浮世離れした雰囲気の國吉先輩と、快活な更紗先輩。性格も見

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夢見るそれいゆ 107

夢見るそれいゆ 107

私は遅めの夕飯(やっぱりパパが作るゴハンが一番美味しい)を食べた後、お風呂に入った。
ぼんやりとしながら1時間浴槽に浸かり、お風呂から出た後、髪の毛も乾かさずに眠ってしまった。

翌日、私は見事に熱を出してしまった。
ちなっちゃんのことが気がかりで登校しようとしたら、
「ダメよ、ひなちゃん!ふらふらじゃないの。
今日は学校休んで!!学校の方には、私が連絡入れておくから。」
と、ママストップがかかっ

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夢見るそれいゆ 106

夢見るそれいゆ 106

私は行方不明なのがちなっちゃんだということ、県警の人に図書館で尋問されてたこと、彼女が早く見つかるように神社に参拝してきたことを両親に説明した。

「ひな、それでもこんなに遅くなる時は連絡入れないと。」
パパの言うことはもっともである。
「反省してます。」
私は深々と頭を下げた。
「まぁ、無事で良かった。」
パパは心底ほっとした表情を浮かべた。

「ひなちゃん、神社はひとりで行ったの?」
ママが聞

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夢見るそれいゆ 105

夢見るそれいゆ 105

自宅近くのバス停で降りて、家まで歩いた。
親が先に帰ってきているのだろう。家の中が明るい。

玄関を開け、「ただいま~。」と言った瞬間、
パパが抱きついてきた。
「ひなのバカ!心配したんだぞ!!」
と帰って早々、怒られた。

訳もわからずにいると、ママが、
「学校から夕方に『行方不明の生徒がいるから、気をつけるように』って通知が入ってきてね、パパはひなちゃんのスマホに電話したのよ。電話繋がらないか

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