國吉の猫 参

「夢見るそれいゆ」に出てくる猫の姿をした桜の精霊、朔のひとりごとの第三弾です。

僕は朔。國吉に飼われている、猫の姿をした桜の精霊だよ。

國吉、ひなたと一緒に帰ってきたと思ったら、アイスの空の袋をゴミ箱に入れるか入れないかで悩んでたんだよね。
結局は捨てる前に、スマホで撮影してホーム画面とやらに設定してた。
人間って、不思議な生き物だね。

八幡宮の拝殿で、ひなたと御葉様が話していたとき、紅葉(クレハ)と姿を隠して見ていたんだけど、御葉様ったら難しいことを言ってたんだよね。
「存在は違えど、神仏も精霊も人間も『そら』の一部」「人間だからこそ出来ることもある」って、どういうこと?
クレハに聞いたら、私にも分からないって…。

御葉様はとても長く生きているから、僕たちの理解を超えてることがある。

御葉様ほどではないけど、長く生きている涼見に聞いてみた。
紫陽という元・精霊の女の子と再会してから、紅葉が僕を抱っこしていれば、会話してくれるようになったんだよ!
進歩だね。

「御葉様は『神頼みだけでなく、自分で考え行動せよ』と言いたかったのではなかろうか。」だって。当たり前のようでいて、行動しない人間もいるんだって…涼見は嘆いていた。

でもね、ひなたはきちんと行動する女の子だよ。
國吉を八幡宮の外に連れ出すべく、お出かけに誘ってくれたんだ。
僕は八幡宮から出られないけど、楽しんでおいで!

あぁ、そうか!「存在は違えど『そら』の一部」の意味が分かったよ。
「例え見えなくても、寄り添っているよ」ってことなんだね。

読んで下さり、ありがとうございます。いただいたサポートは、絵を描く画材に使わせていただきます。