マガジンのカバー画像

漢方診療日記101-105

5
運営しているクリエイター

記事一覧

自然から気を入れる 漢方診療日記101回

最近、南アルプスと北アルプスに連続して登ってきた。奈良と違い東京は、日本アルプスまでのアクセスが良い。私は、根っからの山男ではない。

子どもの頃は、奈良市の高畑にあったカブスカウトに所属していた。ボーイスカウトより幼年のための、ボーイスカウトのような活動を行っていた。春日山、奥山、柳生街道などの山道を歩いた記憶があるだけだ。ただ、高い山に登った記憶はない。

もっとみる

怖くない死を迎えるために 漢方診療日記102回

先週、諏訪中央病院(長野県)で講演を行った。「がんばらない」という著書で有名な鎌田實さんが、名誉院長を務められる公立病院だ。テーマは、「怖くない死を迎えるために」だった。

「死の恐怖の克服」漢方診療日記103回

数日前、吉野彰さんがノーベル化学賞を取られた。化学分野なら新しい発見を発表し、他人に分かってもらうことも可能であるが、文字化出来ない人生の確信を人に伝えることは難しい。
 前回(102回)もお伝えしたが、鎌倉の円覚寺管長、横田南嶺老師と、長野県茅野市の諏訪中央病院で「怖くない死を迎えるために」という題で、講演と対談を行った。
 死の話題は、病院では一般的にタブー視されており、亡くなった患者さんの遺

もっとみる

「集団の中で個を楽に磨く」漢方診療日記104回

「自分が何をしている時が一番輝いているかを知るためには、小学生時代に放課後、何をしていたかを思い出すのが良い」と教えられたことがある。私は奈良市立伏見小学校に通っていたが、放課後の楽しみと今の過ごし方に類似点が多く、笑ってしまった記憶がある。どちらかというと、一人でいたことが多かった。
 高校を卒業しても、医学部に入学するまでには、2年かかった。予備校に行く浪人の友人もいたが、私は予備校の授業が難

もっとみる

「気をそらし治癒に向かう」漢方診療日記105回

薬を使わず病気が治った症例を最近、経験した。60代女性ー。精神疾患の患者さんだ。被害妄想、嫉妬妄想がある。「自分は悪口を言われている」と勝手に思い込み、文句を言いに行くこともあった。また、自分の夫が読んでいた小説に不倫の内容があったため、夫が不倫をしていると思い込み、激しく家庭内で夫を責め続け、夫は疲弊してしまっていた。
 症状は、出たり出なかったりを繰り返していた。見かねた家族が精神科医へ連れて

もっとみる