『七十二候』乃東枯‥なつかれくさかるる

『乃東枯‥なつかれくさかるる』
                                           6月21日から27日頃

早いもので二十四節気では夏至に入り
一日で最も昼の時間が長い日となりました。

つい先日、芒種のお話を書かせてもらったばかりなのに月日の流れとはなんと早いのでしょう。今年もこうやって半分過ぎていこうとしています。

そんな風に以前より時間が早く感じるのは
『ジャネーの法則』によるもの。

「人生のある時期に感じる時間の長さは年齢の逆数に比例する」
年を取るほど体感時間が短くなるという現象を説明するための1つの考え方です。

新しい経験をすることでその感じ方が
緩やかになる‥とも言われています。

たとえば行ったことのない場所
通ったことのない道はとても長く感じるのに
帰り道は意外と早く‥行きより短く感じることがありますよね。そんな感覚でしょうか。

　

同じ一年、一日、一時間‥。
同じ一分。同じ一秒。

出来るなら有意義に
出来るなら楽しく‥

簡単なようでそれは
歳を重ねるにつれて決して容易ではなく

脳を刺激してくれる新しい「何か」は
待っていてるだけでは
手に入るものではなく‥。


時には自ら動き少しだけチャレンジ。
少しだけ冒険。

いくつになっても未知の体験は心を動かしてくれます。どれだけ歳を重ねてもワクワクする気持ちは宝物。

そしてそういう気持ちをいつまでも
忘れたくないなぁと思うのです。

さて今回の七十二候「乃東枯」なのですが
「乃東」はウツボグサの古名になります。

ウツボグサは夏枯草のことで
田んぼの畦などでよく見かけられる紫色の花を咲かせます。

冬至の初候に「乃東生」なつかれくさしょうずとあるのですが
多くの草木が枯れる冬至の頃に芽吹き

そして多くの草木が成長し緑が濃くなる今時期夏至の頃に枯れていくのです。

ウツボグサには利尿作用があるため
煎じて薬草茶として飲まれたり
消炎材として使われたり

漢方薬の材料として他の薬草と配合することで、また別の効果を持つ薬として古くから使われていたようです。

今のように薬が簡単に手に入るものではなかった昔の人々にとってそういった花の存在は
きっと救いであり、癒しであり‥

『すべてを癒す』というウツボグサの花言葉にもあるように


身体だけでなく心にも‥そういった存在は
支えにもなっていたのかもしれません。

そしてきっとありがたいありがたいと‥
感謝していたことでしょう。

よほど高価なものでない限りは
ある程度のものなら簡単に、そして気軽に手に入る今‥。

そのため、どうしても感謝の気持ちを忘れてしまいがちです。もちろんわたしもそうです。

しかし、どんな物にも当たり前などなく
誰かの手により作られたものであったり
誰かの手により運ばれたものであり。

そこには多くの人が関わっていること。
分かっているけれど忘れてしまう‥。

時にふと思いだし
感謝の気持ちを持つ。
それだけでも物を大切にすることに
繋がるきっかけになるかもしれませんね。

さて夏至に入り
夏はもうすぐそこまで。

海‥好きですか。

わたしもよく泳ぎに行きます。
泳ぐといっても浮き輪でブカブカ
浮かぶだけなのですが。笑

まっ青な空とキラキラ光る海。
ゆるやかな波にゆらゆら揺られ
瞳を閉じると心身共に吸い込まれていくような
海と一体化するようなあの感覚‥。

大好きです。

また別の日には違う海へと出かけ
岩場に行けばカニを捕まえたり
ヤドカリを見つけたり‥。

それはそれでまた楽しく。

いくつ歳を重ねても
童心に返る瞬間がたまらなく
好きなのです。

昨年、一昨年と中止されていた夏祭りが
今年はわたしの住む市で開催されることになりました。少し規模を小さくして行われるとのこと。　

毎年当たり前にあった花火も夜店も‥
ずっと息を潜めじっとただこの時を
待ちわびていたことでしょう。

唐揚げや焼きそば
イカ焼きやかき氷などの
屋台がずらりと並び‥

あ！と知り合いに会ったり
同級生に会ったり。

地元の夏祭りは
ちょっとした同窓会のよう

懐かしい顔、夜の空気
賑やかな町通り

今年は行くかどうかまだ未定ですが
ドン！‥ドン！‥という
花火の音を遠くから聞きながら

夜空に光る大輪を眺めるだけでも
いいかなと思ってみたり。

もうすぐ夏ですね。

　　　　　　　　　　　　　　　　　photoAC

七十二候に使用している写真は
すべて写真ACによるものです。

追伸
前回の七十二候『梅子黄』の中で
風邪をひいてしまった話を書いたのですが
たくさんの方に心配していただき
ありがとうございました。

無事復活し良くなりました。
皆さまもお身体ご自愛くださいね。