Letter1 大学受験の思い出〜願いが叶わず部屋で泣いている16年前の私へ〜
今年は、初めての大学入学共通テストがありましたね。
世の中が色々な転換期で、皆がその只中にいて、色々な思いがある中での試験・・・。
毎年この時期になると、受験生だった自分を思い出します。
これは、大学受験で願いが叶わなかった過去の私に宛てて書いた、手紙のような回想録です。
今から16年前。
浪人して受けた二度目のセンター試験。
実家を離れ、一年間予備校の寮に住んだ。
勉強なら、してきたはず・・・
一日15時間以上。
休んだ日はなかった。
その時の私には、どうしても叶えたい夢があった。
なりたい職業、行きたい学部、憧れの大学・・・。
思いの強さは誰にも負けないと思っていた。
ただひたすら、がむしゃらに走る・・・
そんな受験生活だった。
恐れや不安もあった。
模試の点数は安定していなかった。
でも、ずっと机に向かっていたという記憶で、自分を奮い立たせた。
そうして臨んだ本番。
極度の緊張・・・
最初の科目は英語。
試験管の声を待つ。
「はじめて下さい。」
その瞬間、
頭が真っ白になった。
英文が全く頭に入って来ない。
前にもそういうことがあった。
緊張しやすく、上がりすぎると真っ白になる。
大丈夫。落ち着け。大丈夫。
そう自分に言い聞かせ、手を動かした。
いつのまにか試験は終わった。
半分記憶にない・・・
何をやってきたんだろう。
でもまだ始まったばかり。
切り替えないと。
必死に言いきかせた。
どうにかしなければ・・・
切り替えないと・・・
そんな思いで、2日間を過ごした。
一年間待った2日間は終わった。
結果は・・・
・・・・・・
自己採点後、寮の部屋に閉じこもって泣いた。
なぜ、こんなことに・・・
一体何だったんだろう。
紛れもなく、自分が出した結果。
そんなこと、わかってる。
努力は実らないのか・・・
持って行ったお守りを見る・・・
神様は何もしてくれない。
1週間後、予備校の担任の先生と面談をした。
私は言った。
勉強してもしなくても、結果は変わらなかった・・・
そんな私を見て先生は言った。
「勉強した人のこの点数と、勉強してない人のこの点数は違うよ?」
意味がわからない。
結果は一緒じゃないか。
私がしてきたことは、一体何だったんだろう。
本当に一体何だったんだろう・・・
結局、考えていた全ての選択肢は白紙になり、滑り止めで受けた大学に行った。
そこでは、なりたかった職業にはなれない。
大学に行かせてもらえるだけでありがたい。
その通りだ。
わかってる。
そう思う。
・・・わかってる。
あとからきっといい経験になる。
たぶんそうなんだろう。
そんな気もする。
でも・・・
今、欲しい。
今が全てだ。
高校3年の時、大好きだった父が亡くなった。
家族皆で住んだ家も手放した。
どうにかしたい。
どうにもできない。
沢山の複雑な問題。
なぜ・・・
なぜ、自分ばかり・・・
努力は実らない・・・
神様なんて信じない・・・
19歳だった。
あれから16年。
私は今、
あの時なりたかった職業に就いている。
10代の私が憧れた未来の生活は、きっと、今の私の日常だ。
そして・・・
私は今、
19歳の私が考えもつかなかったような未来を、
思い描いている。
予備校の先生が言ったあの言葉。
「勉強した人のこの点数と、勉強してない人のこの点数は違うよ?」
こんなこと言うと、あの時の私は怒るかもしれないけど・・・
今なら、わかる・・・。
「なぜこんなことに・・・」
今なら、わかる・・・。
「一体何だったんだろう・・・」
今なら、わかる・・・。
でも・・・
19歳の私は、今、欲しいんだ。
すごく、わかる。