澱看席(京都 西翁院)


「澱看席(よどみのせき)」

京都の金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)の塔頭、西翁院にある茶室。

利休の孫の宗旦に師事した茶人、藤村庸軒(ふじむらようけん・1613~1699年)の作と伝えられています。

造立時期は、寺伝では貞享2~3(1685~86)年とされていますが、明らかとはなっていません。寺伝のとおりだとすると、藤村庸軒の晩年の作ということになります。

茶室の正面にはやや大きく開けた躙口と上には横長の連子窓、その上部には「澱看」の板額が掲げられています。

内部は平三畳、大きな特色は道安囲とも宗貞囲とも(※)呼ばれる仕切り壁を設けて点前座と客座を隔てている点にあります。

(※茶書を紐解くと初めは明確な定義の違いがあったようですが、各時代を経て混同され、現在では「点前座と客座の間に障壁を設け、部分的に主に火燈口を用いて開閉できるようにした仕切り壁を用いる手法」を道安囲・宗貞囲と呼んでいます。)

不審庵燕庵などの「中柱を伴う台目構え」が中柱から先の方へ袖壁を付けるのに対し、中柱から後ろ側へ、亭主を隠すように壁を立てることにより、さらに一歩引いた精神を表す謙譲の構えと位置づけられています。

炉は向切に切り、勝手付の入隅には一重棚を釣っています。

勝手付と風炉先にはそれぞれ下地窓があき、かつてここから嵯峨方面と淀川が望まれたことから「嵯峨見窓」「澱看窓」と名付けられています。

床は東側、躙口の正面に構えています。入隅は塗り廻して柱を見せない室床の手法で、床(ゆか)は三枚の板を張った板床の形式で、墨蹟窓もあきます。

床柱・床框・落掛はいずれも杉材を用いており、上記の形式も相まって簡素で侘びた床構えを形成しています。

庸軒の優れた構成は今も保存され、重要文化財に指定されており、京都の西翁院に現存しています。

(国宝・重文の茶室をまとめています↓)

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