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京都にある茶室

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守るべき文化財の宝庫、京都に現存する茶室を集めました!
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2022年12月の記事一覧

枡床席(京都大徳寺 聚光院)

「枡床席(ますどこのせき)」

京都大徳寺の聚光院に現存。

枡形(正方形)の踏込床があるためこの名がついています。

全体は四畳半の大きさの中に半畳大の方形の板を、畳と同じ高さに敷き込み(※これを踏込床と呼びます)、柱を立てて袖壁(床脇)を設けて床の空間をつくっています。

点前座側からは風炉先にあたる袖壁には下地窓をあけ、下方は吹き抜けています。

床の角の床柱は太い赤松皮付で、点前座側からは

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閑隠席(京都大徳寺 聚光院)

「閑隠席(かんいんのせき)」

京都大徳寺の聚光院に現存。

三畳敷に中柱と袖壁を立てた台目切りの茶席。一間の引き違い襖で区切られて六畳の書院が隣接。

台目畳(3/4畳)でなく一畳に中柱が立つ珍しい形で、中柱は赤松皮付の直材。

袖壁の隅には二重棚が釣られています。袖壁の下方は吹き抜いていて、客座側から下棚が少し見えるように釣っております。(※利休流ではこのようにするようです。他には不審庵など)

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涵虚亭(京都大徳寺 興臨院)

「涵虚亭(かんきょてい)」

四畳台目の大きさで給仕口を入ってすぐに1/4畳の大きさの隅板が入り、「四畳台目隅板」ともいえます。

隣には四畳半の水屋が隣接。

給仕口入って右手の壁には下地窓のあいた袖壁(吹き抜けなし)で床の間は洞床の型式(※洞床は千利休唯一の遺構である国宝茶室「待庵」にも用いられています)

点前座の二重棚は上下の大きさが同じ利休流。点前座周りは手元を照らす風炉先窓が一つで抑制

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八窓席(京都南禅寺 金地院)

「金地院 八窓席(はっそうのせき)」

京都南禅寺の金地院に現存。

大徳寺孤篷庵の忘筌・曼殊院の八窓軒とともに、「京都三名席」に数えられる茶室です。

この三畳台目の草庵風茶室には、十三畳の書院・六畳、八畳、水屋が併設されています。

既設建物を活かすのを前提につくられた、制限のある中での遠州の創作。なので、既存建築を「遠州好みに改造した」といった所です。そんな中ではありますが、随所に遠州の作風

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