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人生を変えた本の話

昨日は久しぶりに見る青ーい青空で、暖かいというより暑いくらいの気温だった。
夫と二人で、久しぶりに他県(と言っても隣の県だが)へドライブしに行った。
1時間半ほど車で移動して、市内の公園の駐車場に車を停め、近くを散策。
都会の中にある大きな商店街を歩き回ったが、地方の商店街と違って、たくさんの人たちで賑わっていた。
普段は、地方都市近郊の、どちらかというと田舎にあたる地域に住んでいるため、生活していて人ごみに行くことが滅多にない。

10代の頃に対人恐怖症(&引きこもり)の時期があり、「私は都会に住むなんて、絶対に無理だし嫌だ…」と思っていた時もあったのだが(実家は田舎の海沿いの町)、どういうわけか、縁もゆかりもない地方都市と呼ばれる街へ単身引っ越して、一時期はその都会の中でも特に都会の方が生活圏になっていた(職場があったので)。

人生どうなるか分からないものだ。将来が未知数だからこそ、人生は面白いともいえるかもしれない。

今日は、私の人生の方向性を変えた本を紹介したい。

まだ読んだことがない人でも、ベストセラーになった本なので、恐らく題名だけでも聞いたことのある本かもしれない。

『嫌われる勇気』
著・岸見一郎、古賀史健


この本を読んだのは、世間で話題になりだしてからしばらくが経った頃。
ベストセラーになっていたので、本の題名は知っていたが、ミーハーではない私はすぐ手に入れて読むことはなかった。

当時の私は20代前半の実家暮らし。引きこもりを抜け出して、フリーター生活真っ最中の頃だ。

その頃の私は、夢やこうなりたいという目標もなく、「とりあえずお金だけは稼いで貯めとこう」という感じで、淡々と(時々鬱々と)職場と家の往復だけの生活を送っていた。

信仰活動にハマっていた時期でもあり、同じ信仰仲間の女性陣と一緒に、会館で題目を上げたりして、自分の事だけでなく、悩みを抱える仲間の事までも一生懸命祈っていた。

もう10年近く前の事なので、だいぶ忘れているのだが、その当時は人間関係の事で悩んでいた。職場の、とかではなく、信仰での人間関係だ(ったと思う)。祈っている仲間の事・悩みを考えすぎて、自分の事を考えるのがおろそかになっていた(後回しになっていた)ようだったのだ。

そういう状況の中で、たまたま本屋に行ったときに、この本が目立つ位置にディスプレイされていた。実際のところ、そんなに読みたいという気持ちはなかったのだが、話題になっているし、試しに読んでみようという気持ちで購入した。

帰宅してから早速読み始めてみた。
結果、その日のうちに最後まで一気に読み終わった。
哲人と青年2人による『アドラー心理学』を元にした対話形式の本なのだが、内容に引き込まれて、夜中まで夢中で読んだ。

「私が知りたかったことは、この本の中に全て書かれている!」

ものすごい衝撃を受けた。
それまでもいろんな本を読んでいたが、ここまで衝撃を受けた本は未だかつてなかった。
それほどまでに、その時自分が悩んでいた諸々の事と、悩んできたこと、それに対する明快なアドバイスが書かれていたのだ。

どの項目もうなずける内容だったのだが、その時に一番刺さったのは
『課題の分離』に関する章だ。

本の中から一部抜粋する↓

・われわれは「他者の期待を満たすために生きているのではない」のです。

・他者からの承認を求め、他者からの評価ばかりを気にしていると、最終的には他者の人生を生きることになります。

・われわれは「これは誰の課題なのか?」という視点から、自分の課題と他者の課題とを分離していく必要があるのです。…他者の課題には踏み込まない。それだけです。

・他者の期待を満たすように生きること、そして自分の人生を他人任せにすること。これは自分に噓をつき、周囲の人々に対しても嘘をつき続ける生き方なのです。

・他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを怖れず、承認されないかもしれないというコストを支払わないかぎり、自分の生き方を貫くことはできない。つまり、自由になれないのです。

・…対人関係のカードは常に「わたし」が握っていたのです。

『嫌われる勇気』


当時の私は、『他人の課題』に深く足を踏み入れていた。
そして、自分の人生を生きられていないことを深く悩んでいた。
この章を読んだときに、それらの悩みに対する、考え方の大転換が起こった。

この本の内容は、どの章も刺さりまくって、一言では言い表せないのだが、
読み終わった時に、私は深く、

「自分の人生を生きよう」

と決意した。

それから、自分がどう生きたいのかを改めて深く考え、やってみたいと思うことを見つけ(この時は建築設計だったが)、目標に向かって必死に働いてお金を貯め、都会に行くことをあれだけ嫌がっていた私が、知り合いの誰一人もいない都会へ行くことになった。

たった1冊の本で、人生が変わるという貴重な体験だった。

もしこの本に出会えていなかったら、今もまだ地元でくすぶっていたかもしれない。もしくは、どこかのタイミングで地元は出たかもしれないけれど、今とは全く違う人生を歩んでいたかもしれない。

それが良かったのか悪かったのかは分からない。

でも、自分で悩み考え、自分で選択した行動ができたという事実は変わらない。
どういう状況になろうとも、自分で人生の舵を握っているという感覚が大事じゃないかと思う。

本との出会いは、タイミングが重要だと思う。
もし私が、そこまで人間関係について、あるいは自分の将来について悩んでいなかったとしたら、この本はそこまでの衝撃を受ける内容に思えなかったかもしれない。
あの時、あのタイミングで、何気なしに読んだ本ではあったけれど、今の私がいるのはこの本のおかげだ。

久しぶりにまた読み直してみようと思う。
まだ読んでいらっしゃらない方、受け取り方は人それぞれだろうが、試しに一度読んでみてほしい。おすすめです。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。




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