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自分のためと人のため|あなたの後悔

22歳で起業した幼馴染と会って話をしました。

彼とは小学生時代からの付き合いで、中学まで同じ学校に通っていた同級生。

中学時代はかなり荒れていて、たばこにピアス、金髪で、目つきは最悪、警察沙汰も日常茶飯事。

そんな彼も、今では社長となって、社員のためにと仕事詰めの毎日。

『中学のメンバーは、もうほとんど覚えてないよ。あんな黒歴史、思い出したくないし、なかったことにしてるんだ』

悩みだらけの日々

「なにか最近悩んでることとかないの?」

私が聞くと、彼は即答しました。

『常に悩みっぱなしだよ』

呆れたように笑い、本日3本目のタバコに手を伸ばしました。

『余裕を持てるようになりたいんだよ。父親はすごい余裕のある人で、本当に「父親」って感じなんだ』

お父さんへの尊敬と、自分はまだそこには届かないという虚しさが感じられました。

お父さんだっていつも余裕があるわけじゃないと思うよと私が言うと、彼もそれは承知のようで。

『でもさ、どこで父親が発散しているのか、全くわからないんだよね』

たばこもお酒もギャンブルもせず、家族に寄り添う姿しか見せないお父さんを、彼は彼なりに心配していました。

仕事と理想と過去と

『仕事の方はさ、怖いんだよな』

彼が心にしまっていた恐怖を、少しだけ私に見せてくれました。

『身の丈に合わないものを、求めすぎていないだろうかと考えるんだ。社長としておだてられることに慣れて、それが当たり前になることが怖い』

なぜ怖いのか問うと、

『視野が狭くなって、まわりがよく見えなくなって、周りに迷惑をかけてしまう。それで、まわりの人が離れていくのが怖いんだ』

自分が盲目になり、傲慢になってしまうことが、怖いのだという。

『昔みたいに戻りたくはない』

彼がどんな意味合いで「昔みたいに」と言ったのかは、わかりませんでした。

ただ過去の自分を責めているということが、言葉の端々から伝わります。

過去を否定することが、仕事の原動力でもあるのだと思いました。

彼が「余裕を持つ」ことにこだわるのは、余裕を持てていなかった頃の自分に戻ることを、ひどく恐れているから。

過去の彼は、今の彼にとって、敵のような存在。

過去の自分ではだめだと、奮い立たせることが、彼を仕事に打ち込ませているのでしょう。

私にできること

終始苦しそうな彼を見て、「過去の自分を受け入れてあげたら?」なんて言葉は出てきません。

ものすごい強い自己否定によって苦しんでいるのは彼自身です。

もしかしたら中学時代よりも、精神的に苦しい日々を送っているのかもしれません。

「あのときこうしておけばよかった」
「もっとまわりを見れる余裕のある人間でなければならない」
「親孝行しなければならない」
「将来パートナーを幸せにするために20代のうちは仕事に集中する」
「社員に迷惑や心配なんてかけられない」

過去への後悔から、たくさんの思い込みや価値観がつくられ、彼を不自由にします。

私にできることはなんだろう。

「そんなに過去に縛られなくても…」なんて言えません。

まずは、私が私自身の過去と向き合うこと。

そして過去の自分に優しくしてあげること。

後悔だったとしても、あの頃の自分にとっては精一杯だったことを認めてあげること。

「過去を受け入れる」を私が体現することです。

そのためには、もっと勉強して、もっと成長したい。

ここで、喜多川泰さんの本『One World』で、登場人物が言った言葉を紹介します。

「考えられない偶然の出会いは、今この瞬間だって起きている。そのときに相手にあげられる何かを持っている人でありたいとはいつも思ってるんだ。だからほら、こうやっていつもいろんな本を読んでる」

喜多川 泰. One World (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1634-1636). Kindle 版.

誰かが困っている時、解決策や心が軽くなる言葉をかけることができたら素敵だなと思います。

そして、本を読んで学んだことを実践できていたら、さらに素敵だと思います。
そんな自分でいられたら、きっとその思いの一部が伝わっていくんじゃないかなと。

「自分のため」と「人のため」は、分離することができません。

人のためは、自分のため。
自分のためは、人のため。

このことを深いところで理解して、日々を生きていきたいと思うのです。

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