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夢をあきらめて就活を始めた人へ

わたしが就活をしようと決めたのは、大学4年の5月だった。

1番選ばないと思っていた選択肢だった。

大学4年間はSPI講座だとか、就活説明会だとかにも参加せず、就職課へのコンタクトも全くとらず、就活について一切何も知らない状態だった。

そんなことはどうでも良くて、ただ当時の私は「演劇」で食べていく、という目標を失って、それが死ぬほど悔しくて辛くて堪らなかった。

けれど、「演劇で食べていく」と決めて努力する自分はもっと惨めで辛く、苦しかった。もう潮時だった。

オーディション会場で、頭からつま先まで感じる視線と、審査員の鋭い目付き、そして同じ役者のたまごたちの自己PRの強さに何度となく怯え、自信を失っていた私は、もう、舞台に立つ信じられないほどの喜びを感じられなくなっていたのだ。

それでも、5年あまりの役者人生を背に、中々気持ちを切り替えられなかった私は、会社説明会に申し込むのに1ヶ月の時間を有した。

ひっつめた髪に黒いスーツ、決まり文句と嘘くさい言葉の中に飛び込むのが嫌で嫌で仕方なかったのだ。

個性があるはずの学生たちがテンプレスタイルに押し込められているのをみると辛くて辛くて下を向いた。

なんとかとある企業の説明会に申し込み、いやいや電車に乗り込んだ。

窓から見える土手を眺めて泣いた。普通の顔をして電車に揺られているサラリーマンを心なく恨んだりした。

けれど、私は気持ちを切り替えた。説明会の後だったと思う。それは「演劇をやっていた自分」が就活においてかなり武器になると思ったからだ。

あんなに辛い想いをしたんだから、あんなに沢山ガムシャラに走ってきたんだから、これくらいどうってことない

それが本音だったかもしれない

そんな最中、就活は「こんなにすごいんです、自分」合戦になりがちだなぁ、と集団面接で思ったりした。

それは弱さからくるもので、彼ら自身が不安で怖いからだ。私もオーディションでよくやった。

「自分はこんな人間で、こういう考え方をするから、だからあなたの会社のこんな部分に賛同し、社員になりたいと思った」

これさえ自分の口で語れれば大丈夫だと思った。力が入っていないものに対しては、人間ここまで冷静にものを考えられるのか、と思った。

私は、役者を諦めたことで自分が「やりたいこと」ではなく自分が「できること」で勝負していくことに決めた

そうでなければ「自分の言葉で、なぜそれをやりたいのか、それが必要なのか語れない」と思ったからだ。好きを原動にした時、それを相手に伝える方法がまだ分からなかったというのもあったと思う。

就活をはじめてから一ヶ月後に内定をふたつ貰った。

エントリーを締切っていたところが多かったから残念な思いをすることもあったけれど、

それも含めて「全て未来の私に必要なこと」が用意されるためのプロセスだったと思う

自分の口で、自分の言葉で、語る。

その為に「なぜ?」を突き詰めていく。

そしてとことん自分を知る。

これが全てだと思った。

なんだったんだろう、オーディションで怯えていた私は。

言葉に発した時、自分で実感できない言葉は言わない。思っていないことは言わない。媚びを売るように動かない。

その根本の私の姿勢が、面接官にフィットしたように思う。

その中で、わたしは自分が本当にやりたかったことを知っていった。

私が本当にやりたかったのは、子供たちの心の支援

「そのままでいい」「そのままのあなたを愛して」

私が演劇から貰ったメッセージだ。

数字や経歴、育ちがものをいう世界にしたくない。

自分を知ること=そのままの自分で生きること=愛すること。そしてそれをお互いが受け入れること。

自分らしく生きること、それが循環していくこと。

幼い頃の感性を育んでいきたい。それができるのは、教育と芸術(演劇)だと思った。

現段階でそのような活動をメインで行っている企業はなかったので、私はそれを未来の目標とし、教育のみにターゲットを搾って就活をした。

自分の中にある強い信念、想い、そして経験。学校の先生に沢山感じていた嫌な思い。

結局納得がいかなくて秋頃まで就活を続けた。落ちたこともあったけれど、それは必然だったと思う。あの会社に行かなくてよかった。今はそう思っている企業に落とされたからだ。本気でそう思っている。神様が落として、選択を巾めてくれたんだなと思う。

あなたに会えてよかった。

内定を辞退した会社の人事に言われた言葉が今も響く。

適材適所だな、と思った。

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社会人二年目になり、自分で言うのも変な話だが、私は本気で今の教育業が適職だと思っている。

生徒が話しかけに来てくれ、私がいなくなったら辞めるという子供たちが、どこに行っても現れてくれる。

だからこそ、演劇をとりこんだ教育法を自ら切り開いていくことに大きな不安もある。演劇に対してコンプレックスも持ってしまっているから。

けれど、あの挫折と就活と、社会人一年目を乗り越えた今、わたしはやっと分岐点にいると感じる。

本当に自分がしたいことへ向けての出発。

就活時に必要だった考え方、それで成功した体験をまた脱ぎ捨てて前を向く必要がある。

あの時は考えられなかったステージ。

こうして人は様々な課題やステージを乗り越えて自分の道へ進んでいくんだなと感じる今日この頃だ。

だから、伝えたい

今が、今の選択肢が、あなたの最善であると

そしてこれから切り開く道はあなた次第でどうにでもなるということを。

神様は全ての人に最前の道を用意してくれている。

掴むか掴まないかは、こちらに託されている。

一緒に毎日を楽しんでいこうね

そうすれば大丈夫だから

ワクワクすることが、あなたを1番強くさせる



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