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王位継承:新年への最後の挨拶@デンマーク【Spending】

デンマークではデンマークの国営放送であるDRで、毎年12月31日18時より女王による新年への挨拶が国民に向けて放送される。
今のデンマーク王であるマルグリーテ2世女王は、現時点では世界で唯一の女王である。

挨拶が始まる前にアマリエンボー宮殿前に兵隊さんが登場。

とても興味深い話だったので、話し終えた直後の今この時に、大みそかのうちに、少し要点や感じたことを書き残そうと思う。意訳も含んでいること。またおそらく私の意見も入ってしまうと思うので軽く読んでほしい。
正しくは政府の公式発表をご確認ください。

今回初めて大晦日にニューイヤーイブパーティー(ただの食事)を過ごしています。
国営放送での女王の挨拶を拝見したが、おそらく今までで1番衝撃的な挨拶だったと思う。
いくつかの話題、今年の総括を述べたあと語った言葉は、

2024年1月14日に皇太子へ王位を継承する


デンマーク語だけど字幕が出る。
約15分間、女王がご自分の声で語られた。

在位52年を2024年に迎える女王が、国を次へ進めるために語ったことは世界の平和とデンマーク国民の貢献、そしてフレデリック皇太子への王位継承だった。
継承すると言った瞬間に外からも花火の音とともに歓声が聞こえた。
それだけみんな衝撃的だったのだろう。

フレデリック皇太子ことフレデリック・アンドレ・ヘンリック・クリスチャン(Frederik André Henrik Christian )は、王位継承順位第1位のデンマーク王位を持つデンマーク皇太子である。

日本の皇室とも交流があり、フレデリック皇太子の結婚式に現在の天皇陛下も参加されていたという情報もあった。
(在デンマーク日本国大使館より)
他国の王室交流としては多い方だと思う。今後はメアリー皇太子妃にも注目が集まるだろう。

さて、これ以外にお話されていてなんとなく覚えているお話は以下の通り(皇位継承が衝撃的すぎ)。意訳もあるので注意。

  • 今夜の私の新年の挨拶は、テロと戦争の影響のなかで新年を祝うすべての人に捧げる

  • 私たちはお互いに距離を置くのではなく、一歩ずつ近づかなければならない。私たちは皆人間であることを忘れてはならない。これはユダヤ人にもパレスチナ人にも当てはまる

  • 戦争は勝者は生まない、敗者だけが生まれる。それは市民、女性や子供も代償を払っている

  • 今も休まず働いている人、病院や警察なども含め皆さんに感謝

  • デンマークは7月に雨が多く、大きな影響があった。また世界的には史上最(高気温を記録し気候対応は待てない状態である。デンマークの研究者や企業、デンマークのテクノロジーが、地球と自然を大切にする未来の創造に貢献していることを誇りに思う

  • 今、私たちは一緒に何かをするという希望と意志を見つけなければならない。デンマークは国際的に重要な発言力を持つ豊かな国であり、解決への協力や推進は義務である

  • 人工知能の発達には私達は注意を図る必要がある。人工知能は人間が与えたきっかけをもとに動いている。

  • 私たち人間には希望と好奇心がある。私たちは共感力と創造力を持っている。私たちは自分たちで創造し、考える能力を持っています。これが私たちをここまで導いてくれたものです。それを忘れてはならない

  • 人工知能が発達しているが我々、人が行う仕事は重要な仕事がたくさんある

  • デンマークのいたるところで出会う心のこもったおもてなしに感謝する


  • 神よデンマークを守りたまえ

  • 神様のお恵みがありますように

  • これが私の最後の新年への挨拶となります

などなど。

これが私の最後の新年への挨拶となる。のところで王位継承が現実と感じた。
来年の大晦日にもう新年への挨拶をすることはもうないのだ。
もう王位継承が終わっているから。
だから「これが私の最後の新年への挨拶となる」と最後に話されたのだった。

王位継承に関しては女王自身が手術を受けたときに考えたことや孫に当たるクリスチャン皇子の18歳を迎えた際のスピーチが契機となっているようです。

「もし次世代に責任を譲るときがきていなかったら。そして時間がなくなってきており病気が増えています…」
と話されていた通り、次世代に責任を委ねる時期が来たのではないか、という将来について考えるきっかけがあっての決断だったようです。

王室や政府としてはいつ頃から準備を進められていたのかわかりませんが、新王誕生まであと14日。
このペースで移譲が進められるのはさすがデンマークという感じです。

早い。
そもそも考え方が違う気がするので、どういうプロセスで進めていくのか、どのように決定してきたのか知りたいですね。

デンマークは平たい国と言われる信頼(Trust)の国。
お互いが信頼しあい助け合う文化であり、仕事の進め方や職場でも立場が等しくあることが多いと感じます。

古くはユダヤ人の保護や中東の難民受け入れ、最近のウクライナ難民の受け入れ支援を始め数多くの支援をしてきている国デンマーク。
(実際に中東の集落やグループも多い。私はボランティアやフットボールを一緒にしてビールを飲むくらいしか交流はないのですが。)

思いやりや助け合いをごく自然なこととして振る舞える国がデンマーク。
これが普通となることを世界の普通にしていこうとしていると感じました。
そしてそれは日本人の文化にも共通する普通に感じます。
日本人とデンマーク人は結構近い存在なのではないかと感じています。生活もしやすいですしね。

一方 、デンマークの生活も私に取っては悪いところに感じることもあるので一概に「北欧は日本より最高」という風潮には賛同しかねるのですが(ゴミ問題とか。仕事問題とか)。それは個人がそれぞれ見て判断すべきことなのでしょう。

どこにいたって欠点は見えてしまうので良いところを探してそれをみんなで伸ばしていけるとより良くなるんじゃないでしょうか。
Focus on positives instead of negativesですね。

新年の挨拶でも様々なことに感謝を述べられていましたが、当たり前のことに当たり前に感謝し、それを口頭で伝えられるのは素晴らしいと思う。

「ありがとう」という小さな言葉は誰もが知っていて、言うのも聞くのも素敵な言葉です。この言葉には、人は一人ではないという認識が含まれています。
だから感謝するときにはありがとうをちゃんと伝えたい。

デンマークは1月2日から普通に仕事が始まるので、またデンマーク人に会ったら感想を聞いてみよう。

そこに属するから見える景色もある。
デンマークはこれから新年を迎えます。

人は常に選択をして今と過去を過ごしています。
今した選択が、その後につながる最高の選択であると信じて2024年も感謝して生きていこうと思います。

それでは今日も良い一日を。


空から見るコペンハーゲンの大晦日
(DR)

Note︰
14日後の王位継承の式典については、以下お読みください。



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