135. 須永朝彦小説選 【小説】
わたしの好きな山尾悠子さんの敬愛する幻想文学の名手、須永朝彦。
昨年享年七十五で亡くなり、この小説選はその追悼として山尾さんが編まれたものです。
そうしてわたしは幻想文学好きを称しつつ、須永さんの存在を去年初めて認識したのでした……。
この小説選には1997年に刊行された「須永朝彦小説全集」より25編が収録されています。
山尾さんが「一語の揺るぎもない美文」と評するように、連なる文章のどこを切り取っても美しい。旧仮名遣いの気品ある文体や、古文を模した書き方まで、無駄を一切省