191. アントニオ・タブッキ「インド夜想曲」 【小説】
ある日古本屋で、エキゾチックで艶っぽいタイトルに心惹かれ手に取ったのが、この「インド夜想曲」でした。
千夜一夜物語のようなめくるめくお伽世界か、はたまた異郷の香り濃厚なロマン小説か、わくわくしながら読み進めていきますと、これは思い描いたどんな物語とも違う魔術的な作品だったのでした。
物語は、失踪してしまったポルトガル人の友人を探してインドを旅するイタリア人の一人語りで進んでいきます。
設定だけでもこんがらがりそうですが、主人公は夢か現か定かでないような体験をいくつも経て、予