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人生初のトークショーやってきたよ 【少女漫画イベントレポート】

去る6月19日、トークイベント「SF少女まんがを語る会」を開催しました。
わたしの人生で初めてのトークショー!
どきどきワクワク、めちゃくちゃ楽しかったし今後の課題も色々あったので、まとめておこうと思います。


準備

たまたま馴染みのお店で”漫画について話す会”的な催しがあり、これってわたしも主催できるんかなと思って打診したのが始まり。
今回は場所ありきだったので、まず”何か漫画のイベントをやるぞ”と、日程を定めました。
トークイベントは誰か聞き手がいると良いよ、と言われていたので、お店の方にそのことも相談。仲介していただきすんなりと相方が決まりました。

で、何を話すか。バーでのイベントなのでゆる〜く楽しんで聞けるものを、といくつか候補を出した末、今回は「SF少女まんが」に限定して話すことに。
それでも候補が多いので、小さい頃から何度も読んで自分の血肉になっているような、大好きな作品に絞って取り上げようということにしました。

あとはひたすら漫画を読む。
取り上げたい作品を全て読み返し、話したいポイントを紙に書き出しました。
それほど時間に余裕がなかったので凝ったことはできませんでしたが、パワーポイントで簡易的なプレゼン資料も作りました。

配れるところにはフライヤーを配り、lineなどでも宣伝し、広報に関しては自分の力がないので、やれるところはやった……というところ。

当日の流れ

開演30分前に会場入り。会うのは二度目の聞き手の方と挨拶し、お店の方にプロジェクターの準備などをしていただきました。
19時半からの開催だったのですが最初1人しかお客さんがおらず(泣)、20時頃までは聞き手の方と雑談をしながら誰か来るのを待つ……。

別のお客さんがいらしてくださったタイミングで本題に入りました。
紹介したのは5作品。3作品目でかなり時間がかかったので、一度休憩を挟んで計三時間に及ぶ長い会になりました。
話している間にもぽつぽつと来場者がいましたが、ほとんどの方が最後まで聞いてくださって、会終了後はそのまま漫画雑談に突入。
イベント中はほとんどわたしの話しかしなかったので、この時間はお客さんそれぞれの漫画話などに花が咲きました。

取り上げた作品はこちら

・木原敏江「銀河荘なの!」
今回紹介した中で唯一明るいラブコメディ。

うるわしい青年たちは実ははるか遠いトランシルヴァニア星からやってきた、吸血宇宙人だった!

という文字にするとなかなかぶっ飛んだ設定で繰り広げられる、純粋な少年×ドジで利かん気な少女の恋&兄弟愛&三角関係エトセトラエトセトラ……
はちゃめちゃなのに切なくて、読んでいると必ず泣いてしまう、木原さんの隠れた名作です。
なんてったって男性キャラが皆かっこいいのが素晴らしい。
クレオパトラモチーフかと思っていたら実はフレディ・マーキュリーが元ネタらしいイカルスさんが一等好きです。

・萩尾望都「スロー・ダウン」
SFの名作も多く描かれている萩尾さんですが、なぜかわたしが子供の頃からずっと好きなのがこの短編。

真っ白い部屋で感覚を鈍らせた状態で生活をするとどうなるのかーー
そんな実験に参加した主人公は、実験が終わっても何が現実で何が夢なのかいまいち実感がわかなくなります。
もはや彼にとって唯一の”現実”は、実験の時にアクシデントで触れた女性の手だったのだ……、というほんのりエロティシズムの香る作品。

何が現実で何が夢なのか?
子供の頃特にそういうことばかり考えていたので、主人公の思考がハマったのかなと思います。

・萩尾望都「スター・レッド」
同じく萩尾さんの、中編SFもの。

昔に流刑地だった火星で、受刑者の子孫たちは超能力者になって暮らしていた。
火星に植民を始めた地球人と火星人たちのバトル!
さらに外の銀河からやってきた異星人との出会い!
抗いようのない強大な力への絶望と、未来への希望……
内容盛りだくさんの、未来が舞台の壮大な宇宙漫画かつラブロマンスとなっています。

コミックス全3巻なのですが、トークイベント中に「たった3巻なの!?」という声が聞かれ、確かにそのわりに内容濃いしかなり詰め込み過ぎかも、と気付かされました。
他にも色々お客さんから突っ込まれつつ大いに盛り上がった作品でした。

ちなみにずっとハッピーエンドだと思っていたので、改めて読み返してみて全然ハッピーエンドじゃないし、こんな話だったのね……! と発見もあったという。
やはり子供の頃に読むのと大人になってから読むのでは作品の解像度が違うのだなあと実感しました。

・水樹和佳「イティハーサ」
古代日本と思しき場所が舞台ですが、「目に見えない神々」を信仰していた土着の民たちが、大陸からやってきた「目に見える神々」の争いに否応なく巻き込まれ翻弄されていく……という壮大な大河ロマンとなっています。

こちらは長編のためキャラも多いしエピソードも沢山。
基本的には主人公三人の身の上に起こった出来事が時系列順に描かれて進んでいくのですが、周りの人々との関わり合いの中で揺れ動く心理描写や成長の描写が見事です。
すべて手描きだという美麗な表紙も必見。

最後には一万年後の未来についての話が出てきて、実はこれも「強大な存在や運命に対抗する話」だったんだ! と気付かされます。
「スター・レッド」と言い、よくよくこういう作品が好きなんだなあとしみじみしました。

ちなみにお客さんから「キャラの名前が読めない」というご意見があり、確かに! みんな難しい漢字だ! と、慣れてしまっていると気付けない視点もあることを知りました。

・佐藤史生「夢みる惑星」
今回紹介した中では一番最後に出会った作品。
佐藤史生さんは萩尾望都さんのお手伝いをしていたこともあり、フィーリングが合ったのでしょう。出会った途端にどハマりしました。

「夢みる惑星」はそんな佐藤さんの代表作。
主人公イリスは王・モデスコとその妹の間に生まれた不義の子。一生その身が表舞台に出ることはないはずだったのだが、母の死やアスカンタに迫る危機等が重なり、望まないままに大神官に仕立て上げられる。
というあらすじだけだとかわいそうな青年の話なのかな? と思うかもしれませんが、イリスのしたたかさや複雑な政治問題等で知的に面白く仕上がっています。

実はもう一つの代表作「ワン・ゼロ」の方がスピリチュアル味が強くて好きなんですが、あまりにも個性強すぎて人を選ぶかなあと思ってこちらをチョイス。


やってみた感想と次回に向けて

冒頭にも書いた通り、全体を通してめちゃくちゃ楽しかったです!
シンプルに、好きな漫画の話をしてそれを聞いてもらえるのがまず楽しい。
それで面白そう! とか反応をもらえるのも嬉しいし、充実感がありました。

今回敢えて実物は持って行かず、表紙画像と口頭の説明だけで紹介していたのですが、それが却って功を奏し、トークショー後に紹介作をさっそく購入してくれた方がいたのも手応えがありました。

一方で、反省点も大いにあります。
まず何と言っても場慣れしていないこと!
特に最初の頃はどこを見て喋れば良いのか分からず、ずーっとスクリーンの方ばかり見てしまっていました。
その後話に熱中していた時も客席が見えなくなり、気が付いたら人が増えていた……なんてことも。

きちんと周りを見てお客さんの反応にも対応しつつ喋る。
やってみると思っていた以上に難しかったです。学校の先生とか、すごいなあ。

あと話すのは体力がいること!
一生懸命話していたら疲れてしまって、休憩は挟んだものの後半二作は失速してしまいました。
うまく話せればもっと漫画の良さが伝わったはずなのに……とわたしの話力の問題も大いにありますが、体力面の課題も感じました。
紹介したいことは山ほどあるのにうまく伝えられないジレンマ。
次回以降は話すことのメモももっときちんと用意して、2時間程度を目安にメリハリあるトークができるようにしていきたいです。

それから準備面では、機材の事前確認の必要性を感じました。
当日お店の方にプロジェクターを使いたいですと申告したところ、PCからプロジェクターにデータを飛ばすにはケーブルが必要だけれど、わたしのPCに合うケーブルがないことが判明したんですね。
聞き手の方のPC&ケーブルを使わせていただけることになり、事なきを得たものの、もしいらっしゃらなかったら……と思うとゾッとします。
これからはきちんと自分の持っている機材とお店の備品の確認をしよう。

次のトークショーはこれ

さて、このゆるゆるイベントを踏まえて、今月はもう少し真面目なイベントを開催いたします。
7月20日15時から、神保町のブックカフェ20世紀にて、
「少女も少年も出てこない少女漫画について考える会」です。

少女漫画における少女や少年の役割はなんなのか。翻って少女も少年も出てこなくても少女漫画は可能なのか。
そんなことを皆で考える会にしたいです。
ご興味ありましたらぜひぜひご参加くださいませ。

ご予約はnyamour@aol.comまで!
前回よりブラッシュアップしたトークをお届けできるよう頑張りますので、皆様のお越しをお待ちしております!

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