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金曜日が小説や本のこと

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隔週で、自分の小説のことと、読んだ本についてなど。 隔週更新お休み中。
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記事一覧

水中より 【詩】

わたしの足元には、薄く水が張っている。 家の中にも、外にも、平等に厚さ一・五センチの冷た…

逆盥水尾
2週間前
7

191. アントニオ・タブッキ「インド夜想曲」 【小説】

ある日古本屋で、エキゾチックで艶っぽいタイトルに心惹かれ手に取ったのが、この「インド夜想…

逆盥水尾
2か月前
6

187. 工作舎「最後に残るのは本」 【エッセイ集】

刊行されてわりとすぐに買って、一年後くらいに読んで、それから感想を書こう書こうと思いなが…

逆盥水尾
2か月前
8

私のオアシス 【詩】

去年web版の花椿が募集していた「今月の詩」に応募して、落選した作品にちょっと手を加えてみ…

逆盥水尾
3か月前
4

点燈師たち 【小説】

例の如く、現代詩手帖に応募して落選したもの。イメージはけっこう気に入っている。  宙のブ…

逆盥水尾
5か月前
6

ハミング・ハスタータ 【現代詩】

例の如く、現代詩手帖に応募して落選したもの。冬真っ只中ですが、小気味よく爽やかなソーダ水…

逆盥水尾
6か月前
4

文フリ 振り返りと後日談

ちょっと時間が経ってしまいましたが、先日の文学フリマ東京を振り返り、あと今後の展望などについても書いていこうかと。 改めまして、文学フリマ初参加でした、当日会場にいらした方・出店者の皆様方、お疲れ様でした! ブースにお立ち寄りいただいた方々、素敵な本をお売りいただいた方々、本当にどうもありがとうございました! [感想] 出店者として自分の作品だけを収めた本を作ることも、こういった即売会に参加することも初めてでした。期待半分、不安半分といったところで、開場30分前ほどに現場

雑感 【20字小説】

彼方からの伝言で街灯が点いたり消えたり。 パンが潰れないようそっと抱えていなさい。 烏た…

逆盥水尾
7か月前
7

仮死 【20字小説】

眠ることは生の内に幾度も死ぬということ。 目覚めのとき。あなたは今日も帰ってきた。 眠っ…

逆盥水尾
8か月前
3

パンダカー 【20字小説】

パンダカーで自販機に横付けして悪ぶる子。 パンダカーでおしるこ缶飲み干す冬の一日。 マイ…

逆盥水尾
8か月前
5

まず1本 【20字小説】

延々上がった階段を、ただ下りていくだけ。 何となく気になりつつ遠まきに見ていたシロクマ文…

逆盥水尾
8か月前
9

蒸れたモンステラ 【短編小説】

現代詩手帖に応募して落選し、昨日文学フリマで配布したフリーペーパーに掲載した作品です。 …

逆盥水尾
8か月前
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文学フリマ東京37 お品書き

とうとう文フリが明後日(日付的には明日)になりました。 初の文フリ参加・初のイベント個人…

逆盥水尾
8か月前
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180. 戦後少女マンガ史 【本】

これは本当にすごい本です。 1980年までの少女漫画の歴史をほとんど網羅していると言っても良い、現在においても唯一の少女漫画通史です。 戦前の少女雑誌時代から、今調べようと思っても資料の散逸などで困難を極めるであろう貸本時代のことまで、なるたけ詳細に調べ上げられており、少女漫画の歴史を学ぶ際に避けては通れない必読書でしょう。 作者はコミックマーケットの代表や日本マンガ学会理事も務めた、無類の漫画博士とも言うべき米沢嘉博という漫画評論家。 その深い造詣に裏打ちされた記述は、い