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文フリ 振り返りと後日談

ちょっと時間が経ってしまいましたが、先日の文学フリマ東京を振り返り、あと今後の展望などについても書いていこうかと。

改めまして、文学フリマ初参加でした、当日会場にいらした方・出店者の皆様方、お疲れ様でした! ブースにお立ち寄りいただいた方々、素敵な本をお売りいただいた方々、本当にどうもありがとうございました!

出店するまでのあれこれや当日販売したものについてはこちらの記事をご覧いただければ幸いです↓


[感想] 出店者として

自分の作品だけを収めた本を作ることも、こういった即売会に参加することも初めてでした。期待半分、不安半分といったところで、開場30分前ほどに現場に到着。

今後継続して参加するか分からなかったので、布や本を立てる台(名称分からない)は極力買わず、手持ちのものを工夫してブース設営をしました。さくっと設営を終わらせ、アーリーオープンの11時50分を自分の席で落ち着いて迎えました。

ブースはこんな感じ。改めて見るとそこはかとなく貧乏臭いかも…

しかし、開場後1時間半ほど、ブースに誰も立ち寄ってくれない。
ちらちら遠巻きに見ていく方が数人いた程度で、見本誌を見てくれたのは一人だけ。フリーペーパーのみ持って行った方が二人、と寂しいスタートを切りました。
両隣のブースの方がどちらも二人参加だったので話し相手もおらず、ひたすら人の流れをぼんやり眺めるばかりという……。

その後友人が到着し、会場の他のブースを見て回るため売り子を交代してもらいました。(ここで買ったものなどは次章にてご紹介しますね)
一時間ほど見て回って帰ってくると、なんと2種類販売していた作品が、どちらも4冊ずつ売れたらしいではないですか。わたしがいる間は閑古鳥が鳴いていたのに、これは一体どういうわけだ。
ちょうどブースに帰ってきた時も購入しようとしている方がいらっしゃって、わたしの感覚的には初のお客さんだったのでついついテンション高めに接客してしまったり。

そこからは友人と二人でくっちゃべったり、一人で来客を待ったりして閉場までいたわけですが、わたしが本を買ったブースの方が来て下さったり、他で出店していた知人が訪ねてきてくれたりとぽつぽつ来客があり楽しく過ごすことができました。
ただ、全く知らない方で、見本をぱーっと見て買っていって下さった方は、わたしがいる時間ではお一人だけ……一人でもいらっしゃったことが嬉しくはありますが、やはりいない時間に買って下さった方にお会いできなかったのが残念でなりません。

イベント後、友人とお茶をしながら今日のことについて話し合いました。
彼女曰く、「わたしのスキンヘッドが怖かったり、幻想文学のイメージに合わなかったりして敬遠されているのではないか」とのこと。

え、そんなことある? 売ってる人の外見と本の内容は関係なくない?
と聞いてすぐは思いましたが、よくよく聞いてみれば一理あります。
文学作品は文体が自分に合うか・内容が好みかを精査する必要があるので、なかなか全てに目を通してはいられない。必然的に装丁やタイトルによって選別するわけですが、こういった即売会では売り子さんやブースの雰囲気も重視されるとのこと。

わたし自身のことで言っても、自分で買おうと思うのは評論系が主で、それはなぜかと言えば内容がはっきりしているから。書いている人を知っていれば文学系も手に取りますが、そうでないと相当数をふるい落としてしまいます。
わたしは作品重視派で売っている人などは会計時まであまり見ないタイプなので、”見た目が怖そう”という要因で売れないとは盲点でした……!
ブースの設営については、今後出店するならもうちょっと色味を抑えてシックな雰囲気に仕上げたいな。

そんな感じで初出店の文学フリマは、全く売れないというわけではなかったけれど物寂しいような、少し心残りな結果となってしまいました。

[感想] お客として

ブースを友人に任せて一時間ほど会場を見て回りました。
自分のブースが第二展示場だったのと、第一展示場は大きそう&企業が多かったので、今回は第二展示場の1、2階に絞ってうろちょろしました。本当は余力があれば第一にも行きたかったのですが、体力的にも無理でした。残念。

今回は1万2千人超と過去最高の来場者数だったそうで、特に二階は激混み。通路はそんなに狭いわけではないのに、なかなか前に進めない場所もちょこちょこありました。そんな状態だったので、一応全ての通路を巡ったのですが人を避けるのに一生懸命で正直歩きながらさらっと眺めるだけで通り過ぎたブースもかなり多かったと思います。最後の方は特に人混みに疲れてしまって、見方がおざなりになってしまいました。

ブースに行く前に見本誌コーナーも確認はしましたが、こちらも特に評論系はけっこうな人だかりで、気付かずに終わってしまった好みの本もあっただろうなあ。
事前の入念なチェックと時間と体力の重要性をひしひしと感じました。
とはいえ事前にネットで見掛けてどんな感じかな〜とちょっと気になっていた本のほとんどは、実物を見てみると何だかピンとこないパターンが多かったです。あと千円越えの本が多くて、ちょっといいかも、と思ってもぽんぽん買うわけにいかなかったので、”何となく中身を知っている本”より”ここでしか出会えないかもしれない本”を優先したという背景もあります。

実際に買った本はこちら↓

これがわたしの財力の限界でした。他、フリーの冊子を何部か頂きました。(しくしく)
多分文フリに行かれた方々からは少ないっと思われるんだろうなあ。わたしも折角行ったのにもったいないような気はしている。

・アリアケパンチ 1号・3号
おしゃま図書さん刊の日仏文化批評同人誌。アニメや漫画といった日本のサブカルチャーの、フランスでの受容についてなどを研究していらっしゃる、専門的な雑誌で、特に興味の引かれた「フランス人がみたアニメ」「AKIRA 50年史」の2冊を購入させていただきました。

漫画評論のブースは他にもちょこちょこあって、少女漫画では雑誌「りぼん」の研究書と、岡田あーみん愛に溢れた冊子がとりわけ目立っていたように思います。りぼんも岡田あーみんも物凄く好きというわけではないので今回は見送らせて頂きましたが、どちらも冊子から熱量が伝わってきて素晴らしかったし、わたしも今後漫画の評論冊子を作る時には相当の気合を入れねば、と居住まいを正す思いです。

ちなみにこちらの「アリアケパンチ」は後述する高円寺のそぞろ書房さんでもお見掛けし、わ〜知っている同人誌が売られている! と何とはなしに嬉しい心持ちになったのでした。

・faber! no.2 拡張する衣服
VRのファッションなど新しい衣服について取り上げたカルチャーマガジン。
ファッションという言葉に惹かれ、見本誌を見てみると紙や装丁もこだわった立派な冊子で、内容もかなり充実している。これはぜひ手元に置いておきたいと購入させていただきました。
ファッションカテゴリーでは2ブースしか出店していなかったらしく、その中の一つ。もう一つは何だったのか、残念ながら見落としてしまいました。

ちなみにここのブースのお兄さんがたは後でわたしのブースにも遊びに来てくださいました。ありがとうございました! 大島弓子好きのお兄さんと少しお話しできて嬉しかったです〜。

・北極星 vol.02
いまさらtwitter文芸部というtwitter文芸同人の方々のアンソロジー。
ネットでたまたま知った好きな作風の作家さんが参加されているので、これは最初から買う予定だったもの。
モノトーンの表紙がかっこよく、紙の手触りも好き。こういうブックデザインができるようになりたい。

いずれもまだ読めてはいないのですが(荷物になるので広島に持って来られなかった)、厳選しただけあってどれもとても読み応えがありそうだし面白そう。

売れ残った本のその後

前述の通り、スキンヘッドが怖かったからなのか何なのか、あまり冊子を手に取っていただけなかったので、幻想短編集「銀のシリーズ」は30部ほどの在庫を抱えることになりました。
砂糖が出てくる少女漫画紹介冊子の方も数部余ってしまい、さてどうやって捌いていこう……? と帰宅後早々、頭を抱えていまいました。

まずしたことは、ZINEや同人誌などを扱っている書店さんへお伺いをたてること。そういった書店さんではそれぞれのHPで持ち込みや委託販売についての案内をされているところが多いので、その方法に則って、一部店舗には直接来店して営業をしました。
売り込みは初めてでしたが、お店の方達が皆さん優しく対応してくださり、ひとまず下記の二店舗に置いていただけました!

・タコシェ様
自費出版物・インディーズものを幅広く扱う、中野ブロードウェイの本屋さん。
サブカル色強めに幅広いラインナップで、面白そうなものが沢山置いてある、楽しいお店です。
文芸書はあまり多くはないのですが、置いていただけるとのことで委託販売をさせていただいております。

・そぞろ書房様
高円寺にできた新しい本屋さん。ZINEを中心にこまごま色々扱っている、小さな書店です。置かせてもらえそうな書店さんを探している時に見つけたのですが、文フリにも出店されていたそうです。
内容の気になるZINEがあれこれ置かれていて、またゆっくり訪問したいと思っています。

いずれのお店でも手数料を鑑みて800円で販売させております。
発見や出会いのある楽しいお店なので、お近くにお住いの方など、お時間のある際にぜひ立ち寄ってみてください。そして店頭でわたしの冊子をお見かけの際は、なにとぞよろしくお願いいたします……!


さて、少しは減ったもののまだまだ手元に在庫があります。
どうしたもんかと思いながら馴染みのお店・お世話になっているお店に持って行ってみると、それがあれよあれよと10部くらいはけてしまったのです。
中にはもちろん元から仲良くしてくださっていて、どういうものを書くのか気になるから、と買ってくださった方もいらっしゃいます。でもたまたまそこに居合わせた初対面の方にも多くご購入いただきました。

一つには、どこも芸術分野に関心のある方の多く集まる場だったからということもあるでしょう。
ただそこで行われた、
話すことで相手に興味を持ち、作品を手に取る→作品も面白そうだから買う
という流れこそわたしが同人誌即売会に求めていたものでした。
作品はピンと来なくてもその人に知り合えたこと自体が嬉しい、という出会いも沢山ありました。

文フリ東京はわたしには規模が大きすぎたのかもしれませんし、「そのお店を選んで来ている」時点で同志のような感覚が芽生え、互いに話しやすかったのかもしれません。
何にせよ、対面で売るときはこじんまりしたところで一人一人とゆっくり話して、その人と仲良くなることを第一目標に設定するのがわたしに向いたやり方なのだと確信しました。

これからやろうと思っていること

せっかく広島にいるのだから来年の文学フリマ広島にも出るべきか、しかし絶対赤字だしな……と思っていたところ、グループ参加で文フリ出店できそうなお話をいただきました。
前述の芸術系なお店の方にご紹介いただいた方からのお誘いで、本当に有難く、広島で活動されているものづくりの方々との繋がりも増えそうでワクワクしています。
文フリ出るならまた何かしら新刊を作りたいので、その構想も練らなくては……。
その他販売会にも参加できそうな予感なので、いずれも決まったら告知しますね。

また、異分野とのコラボも今後やっていきたいと思っています。まだ具体的には考えられていませんが、文章と別の表現技法を掛け合わせてインスタレーションやパフォーマンス、展示など……興味ある、やってみたい! という表現者の方がいらっしゃいましたらぜひお声がけくださいませ……!!

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