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【読書感想文30】膨大なスケールの時間と空間のSF超大作「三体」

先日三体三部作の最後の一冊を読み終わった。いやーすごいスケールの話だった。正直二部まではなんとか付いていけたけど、三部になるともはや物理学的に意味不明な領域に入ってきて、理解できなかった。作者の劉氏は宇宙物理学者か何かなんだろうか?考察が凄すぎてヤバい。

三体Ⅲ 下 死神永生

本作はいわゆる宇宙人侵略のSF小説である。しかし映画「インデペンデンス・デイ」のように、いきなり宇宙人が現れて、3日で地球人が勝利するような甘い世界ではない。一部から三部に至るまで実に400年近い年月が経っている(三部の最後はもっと超長期間だが)。

物語は一人の科学者が宇宙に向けて地球の存在を発信することから始まる。太陽系外の宇宙に存在する三体世界が地球の存在を知り、三体人が地球を発見してから侵攻を始める。しかし三体世界の艦隊が到着するのは数百年後のことである

人類は三体世界に対抗する手段をさまざまに議論する。しかし現段階において三体世界の方が圧倒的に科学力が進んでいる上に、智子と呼ばれる粒子が地球の科学発展を邪魔し、地球の情報を三体世界に流している。しかも地球人の中に三体世界のスパイがいるという、圧倒的不利な状況に置かれる。

ストーリーは幾度も絶望的状況を伝えてくる。三体世界という圧倒的強者の存在、智子という絶対不可侵のスパイ、三体世界のスパイによる地球撹乱、地球文明の停滞、地球艦隊の壊滅、三体艦隊の侵略、三体世界の滅亡、太陽系の滅亡などなど。絶望の度合いはストーリーの進行と共に深刻度を増していく。しかし人類はギリギリのところで踏みとどまり続ける。

残念ながら本作には、弱点をさらしてくれる間抜けな敵や、一発で艦隊が全滅する弱点、画期的な解決策を思いつく天才、一発逆転を成功するエースパイロットは存在しない。それでも人類は生き残ろうと最後まで足掻き続ける。

個人的には、もし数百年後に宇宙人が攻めてくると言われても、自分が生きているうちは関係ないと思ってしまいそうである。どうも本作の登場人物たちは非常に未来に対して責任感のある人たちばかりなようだ。

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