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サカキシンイチロウのおいしい手帖

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おいしいお店。おいしい料理。 愛着があってずっとこのままでいてほしいなぁ…、と心から思える宝物みたいなお店や料理を紹介します。
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2021年7月の記事一覧

サーモンオゼイユはオゼイユを味わう料理でござった。

お昼前。急に空が暗くなり雨がパラパラ降ってきた。小田急百貨店に飛び込みそのままお昼。 ひさしぶりにカフェ・トロワグロにやってくる。 小田急百貨店の8F。物販の売り場の一角にある人気のお店。いつもはとてもにぎやかなのに今日はガラガラ。お店の人に「不思議なほどに静かですね」と思わず言った。 「台風の影響でしょうか。お客さまが様子見なさってる。進路はそれるようですけれど、くれぐれもお気をつけてなさってくださいませ」と。 台風は人の心に雨を降らせる。 そんな時こそおいしいもので気

エビの頭より穴子としいたけ

天丼が食べたいよぉ…、と空の上から声が聞こえる。 それで伊勢丹の「天一」に来る。 モノトーンの壁に床、天井の高い箱の中に真っ赤なテーブル、ライトグレーのモダンな椅子。シャープでシンプルな造りの店はお客様が入ってこそその良さを発揮するもの。誰もいないと冷たく感じる。もったいない。 「特製天丼松」っていうのがいつもの注文。 ただ季節の天丼っていうのもあってそれといつもちょっと迷う。季節の海鮮、野菜の天丼。しかもエビの頭をパリパリに揚げたものがエビの天ぷらに添えられる。それがか

土用の丑の日。鰻三昧丼を仕立ててたのしむ!

7月28日水曜。 今年の土用の丑の日はたった一回。それが今日。 鰻三昧定食でその一回を堪能しなくちゃと、銀座の昇亭にくる。 店頭にテイクアウトの売り場があって、鰻の蒲焼きや串物、弁当が並んでる。 その売店のイートインって感じの威張らぬ感じが気軽でたのしい。奥の厨房ではその売店で販売するための料理を作り続けてて、テーブルにつき注文すると、その段階で一番いい状態の鰻をつまんで料理を作る。 だからそれほどまたずにできたての料理がやってくるのがとてもありがたい店。あっという間とい

ハムにケーゼにボソボソのパン。ベルクの朝

朝からちょっと元気を出そうと、それでベルクにやってくる。 家を出るときに「これからベルクだ」ってつぶやくと、気持ちがはやるような気がする。 四谷三丁目の駅まで歩いて、地下鉄にのり新宿駅につくまで3駅。ホームにおりたちエスカレーターにのってそれから階段上がる。 この階段がちょっと急で、昔はタンタン上がれたんだけど最近ちょっと足が痛くてゆっくり、ゆっくり。お店にやっと辿り着く。 いつもは厨房が見えるカウンターの前のテーブルに座るんだけど、今日はいっぱい。お店の奥のテーブルにつ

おむすび2個にうるめいわしに卵焼き

ひさしぶりに「美松」のおむすびを食べたくなって池袋までくる。 思い出の中のナンバーワンおむすびは「おむす人」。今あるおむすび屋さんで好きなおむすびはこの美松。 最近、ちょっとしたおむすびブームのようでいろんなところにお店ができる。できると行って試してみるけど、ここやおひつ膳田んぼのおむすびを超えるおむすびには出会えない。 ボクの好みもあるのだろうけど、お店の雰囲気や品揃えも含めてここはオキニイリ。 大きな暖簾に「結び」の文字の小さな看板。マーク・ロスコ風の看板や絵が店頭、

おむすび、唐揚げ、卵焼き!おじさんボーイのオキニイリ

今年の夏のカレンダーは変則的。オリンピックの開会式にあわせるかたちで明日から4連休になってしまう。 それに気づいたのが一昨日のコト。 月末の〆日近くの連休に、慌てて今日一日で経理仕事をひたすらこなす。 ひと段落して昼ごはん。オキニイリの店でのんびり過ごそうとおむすびスタンド、リッツボンにする。 おむすびがおいしいことを売り物にしたお店は増えた。テイクアウトに適した料理ということもあって、コロナ以降に特に増えてる。 オキニイリのお店もいくつかあるけど、そのオキニイリの理由がそ

贅沢な朝。鮭に網戸に現金決済

朝、早く目が覚めて二度寝するのももったいなくて朝ごはんを食べに代々木に移動する。 炊きたてご飯がおいしい「おひつ膳田んぼ」が目当て。 コロナになって朝食営業をはじめたお店。それもとても早い段階の判断で感心したもの。 ここの売り物はおいしいご飯に焼き魚、そしておむすび。 こう並べるとイメージするのは「日本の朝」に間違いなくて、だからなんで朝から営業していなかったんだろう…、って今になると思うほど、朝にぴったり。 通常メニューでも十分朝から営業できるに違いなく、けれど「田んぼの

顎で味わうハンバーガー

今日は税金を払いに四谷税務署に行く。 タナカくんはボクの会社の経理、総務の仕事を手伝ってくれていて得意、不得意をいとわず一生懸命やってくれてた。 ただ「税務署に行くのって苦手なんだよネ」って行ってた。 叱られたりするわけじゃないけど空気が暗くて滅入るんだ…、って。確かにボクも苦手でならば苦手は二人で分け合おうと、一緒に行くことにしていたのです。 税務署仕事が無事終わったら、そのご褒美にハンバーガー。クルズバーガーで食事をするのが決まりごと。今日もクルズバーガーに来る。 好

コンソメにボンファム、マロンシャンテリー

ひさしぶりに日本橋の三越本店の特別食堂「日本橋」。 タナカくんとたまに一緒に来ていたお店。「一緒に…」というよりもボクにタナカくんが付き合ってくれていたっていった方がいいんだろうなぁ…。 ひとつテーブルで東京會舘の洋食、日本料理に旭鮨総本店の寿司を食べることができる店。その昔、日本料理を京都の瓢亭が担当していたこともある。とにかく一流。 ボクの目当ては東京會舘の舌平目のボンファム。マッシュルームがこれでもかって入った料理できのこが駄目なタナカくんは食べれぬ料理。それでも東京

ここのメンチカツが東京一…、って彼が言ってたオキニイリ

タナカくんが好きだった食べ物のことを思うと、いろんなことを思い出す。 いろんな料理。いろんなお店。季節の味に地方のゴチソウ。 洋食で一番好きだったのは文句なしに神保町にある「キッチングラン」のメンチカツだったに違いない。 そう思って今日食べに来る。 本当は今度の月命日に食べに来ようと思っていたんだけど、その日は東京オリンピックの開会式。つまり祭日。お店が休みになっちゃうから、それで代わりに今日やってきた。 メンチカツとしょうが焼の盛り合わせ850円がいつもの注文。のんびり

コーンビーフのサンドイッチに凍ったイチゴのかきイチゴ

気圧の変化が激しくて朝がなかなかはじまらない。 ベッドの中でグズグズしててもしょうがない。起き出すなにかきっかけをと、銀座ウエストを思い浮かべる。 あのキラキラした空間でとびきりのサンドイッチを食べてるボクをイメージしたら、グズグズしてた気持ちがウズウズしはじめて、エイや!と目覚まし丸ノ内線にのっていました。 20分後に銀座ウエストでおそい朝をたのしむ人になっていた。 ハムとたまごのサンドイッチにするつもりで、でも何気なく運ばれて来たメニューを見たらコーンビーフのサンドイッ

一品料理を再びたのしめるようになりました…。

ひさしぶりの大庵。新宿東口駅前にある大人のそば屋のお昼どき。 緊急事態宣言下にあって、時短営業、開店時間30分繰り上げといろんな工夫をしてしのいでた。 お酒の提供ができないから一品料理もオーダーストップ。 そばだけでなく季節の日本料理をたのしむことができるのがこのお店の特徴だったのに、普通のお蕎麦屋さんのようになっていたのが切なくて…。 けれど緊急事態宣言が解け、限定的ではあるけれど一品料理も提供されるようになった。 代わりに開店時間はいつものように11時半。お腹をグーグー