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エビの頭より穴子としいたけ

天丼が食べたいよぉ…、と空の上から声が聞こえる。
それで伊勢丹の「天一」に来る。

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モノトーンの壁に床、天井の高い箱の中に真っ赤なテーブル、ライトグレーのモダンな椅子。シャープでシンプルな造りの店はお客様が入ってこそその良さを発揮するもの。誰もいないと冷たく感じる。もったいない。

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「特製天丼松」っていうのがいつもの注文。
ただ季節の天丼っていうのもあってそれといつもちょっと迷う。季節の海鮮、野菜の天丼。しかもエビの頭をパリパリに揚げたものがエビの天ぷらに添えられる。それがかなり魅力的。

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ただ季節の天丼には椎茸にエビのすり身を詰めたのと穴子の天ぷらがつかないのです。エビの頭のためにその両方を放棄するのはあまりにもったいなくて結局、いつもの特製天丼松にする。

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天丼のお供はいつも同じく野菜サラダと漬物、しじみの赤出汁。熱いものは熱く冷たいものはしっかり冷たいところがさすが。

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中でもサラダのドレッシングがボクは好き。
強い生姜の香りにやさしい酸味、味噌っぽいコクのあるうま味があって独特の朱色も鮮やか。二人の間では「ベニハナ風」って呼んでいてアメリカ人の感じる日本の味だよねぇ…、って言って食べてた。パリパリシャキシャキ、冷たくみずみずしいレタスの葉っぱにしっかりからむオキニイリ。

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天丼は蓋付きのどっしりとした器に入ってやってくる。
蓋を開けるたのしみがある。
器の中に閉じ込められた香りが蓋を開けた瞬間、一気に花を開かせるのがまたステキ。

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しかも蒸らされることでご飯に天ぷらの油やタレの香りがご飯に移っておいしくさせる…、と蓋がいろんな役目を果たす。
小さいながらも尻尾までキレイな色合いの新鮮なエビ。それが二尾、サクッと揚がって小エビと小柱のかき揚げに体を添わす。
鱚に小柱と小エビのかき揚げ、アスパラガス。そしてやっぱり穴子の天ぷら、エビのすり身を詰めた椎茸。椎茸が苦手だったタナカくんと穴子と交換してたから、一年前に穴子の天ぷらを食べたとき、こんなにおいしかったんだってびっくりしたのを思い出す。

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衣はほどよき厚さでさっくり…、素材の持ち味や食感を邪魔せぬていど。一方タレは甘めで濃厚。上品と力強さが一つ丼の中に共存し、それが口の中で混じり合うというおゴチソウ。

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今日はご飯をちょっと残した。最近、食欲にムラがある。昔のように食べられなくなったと思うとさみしくなるから蓋してなかったことにする。食べてないのに痩せない体がなんだかすごく呪わしい(笑)。

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ところで新宿伊勢丹の食堂街。順次、改装のためにいくつかの店が閉店してる。今の食堂街の姿になって20年以上は確実に経つ。コロナで客数が減っている時期でもあるから改装するのにいいタイミングということなのでもありましょう。とはいえボクの大好きな西櫻亭も天一もまだまだ先のコトみたい…。


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