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サーモンオゼイユはオゼイユを味わう料理でござった。

お昼前。急に空が暗くなり雨がパラパラ降ってきた。小田急百貨店に飛び込みそのままお昼。
ひさしぶりにカフェ・トロワグロにやってくる。

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小田急百貨店の8F。物販の売り場の一角にある人気のお店。いつもはとてもにぎやかなのに今日はガラガラ。お店の人に「不思議なほどに静かですね」と思わず言った。

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「台風の影響でしょうか。お客さまが様子見なさってる。進路はそれるようですけれど、くれぐれもお気をつけてなさってくださいませ」と。
台風は人の心に雨を降らせる。
そんな時こそおいしいもので気持ちを晴らす。誰もいない整然とテーブルと椅子だけが並んだ空間の向こうに西新宿の景色をながめる昼とする。

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冷製スープが今日のおすすめ。ガスパチョのように見えるも、赤いパプリカとさつまいもが食材で水気をしぼったヨーグルト、刻んだバジルにオリーブオイルが彩りそえる。

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よくまぜて召し上がってみてください…、と勧められた通りに混ぜて食べるとパプリカの青い香りにヨーグルトの酸味にコクが口に広がる。バジル、オリーブオイルと香りがおいしい夏のゴチソウ。

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続けてアスパラガスのムニエルにした。
白アスパラガスを蒸してソテする。白い肌にこんがり焼き色。アスパラガス自体の甘みをオリーブオイルが引き出して、そこにパルミジャーノのサブレと生ハム。青い彩りはソテした春菊。

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この春菊がどこか日本的なアクセントになり不思議な味わい。試しにパルミジャーノサブレと春菊だけを一緒に食べると春菊の苦味が強調されて気持ちの置きどころを見つけることに難儀する。なのにアスパラガスや生ハムと一緒に食べると甘みに酸味、苦味がひとつに混じり合いおいしく味がまとまっていく。

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そしてメインはサーモンオゼイユ。
トロワグロのシグニチャー料理のひとつで、これが大のオキニイリ。
若干レアに仕上げたサーモン。
酸味のあるクリームソースにオゼイユを散らして仕上げた、いかにもフランス料理という面持ちの一品で、ここに来るたびメインはこれ。
今日はお店の人が「これはオゼイユの酸味と風味を味わう料理。サーモンやソースと一緒にお召し上がりください」という。

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なるほど、ずっとこれはサーモンの料理と思っていたけれどオゼイユがメインの料理だったんだ。
そう思えばサーモンだけを食べると味は淡白だし、ソースもどこか風味にかける。すべてにおいてオゼイユが口の中にある状態を想定しての料理作りだったんだなぁ…。

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優秀なナビゲーターが一緒の旅がたのしいように、おいしい食べ方や料理の素性を熟知したサービススタッフがいてくれる食卓はステキでとても心地よい。
オゼイユまじりのソースを残さずお腹におさめたくてバゲットつかってお皿を拭ってきれいに食べる。満たされる。
ところで静かだったお店にバタバタ、若い男女が入ってきた。関係がはじまったばかりなのかあるいははじまろうとしているところか、感情を抑えることができないのでしょう。声が大きく騒々しくて話の内容が筒抜けです。
声の抑え方を知らぬ輩は苦手。

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元気を売り物に営業にくるおにぃちゃんのリミッター外れた声に話の内容がまるで頭に入ってこないようなことが仕事をしてるとよくあった。今日もお店のムードが台無し。お菓子も食べて帰ろうかと思っていたけどミルクティーを飲んで退散。お店の中の小さな台風…、暴風雨。お外に出たら晴れていた。


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