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ハムにケーゼにボソボソのパン。ベルクの朝

朝からちょっと元気を出そうと、それでベルクにやってくる。

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家を出るときに「これからベルクだ」ってつぶやくと、気持ちがはやるような気がする。
四谷三丁目の駅まで歩いて、地下鉄にのり新宿駅につくまで3駅。ホームにおりたちエスカレーターにのってそれから階段上がる。
この階段がちょっと急で、昔はタンタン上がれたんだけど最近ちょっと足が痛くてゆっくり、ゆっくり。お店にやっと辿り着く。

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いつもは厨房が見えるカウンターの前のテーブルに座るんだけど、今日はいっぱい。お店の奥のテーブルにつく。
目の前には立ち飲み用のカウンター。昔はここでみんなタバコを吸っていた。今では全席完全禁煙。かつてここでタバコを吸ってた人たちの写真が当時の風情を伝える。空気がキレイ…、はありがたい。

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おもしろいように朝からビールが売れる店。「朝飲みできます」とか「昼飲みできます」って書いてなくても飲みたい人は飲みたいときに飲みにくる。飲まない人にはコーヒー、紅茶に手搾りジュースと種類豊富なソフトドリンクが用意されてる。これが「これからの飲んでもらい方」なんだろうなぁ…、ってしみじみ思う。
選んだテーブルの横の柱を囲むようにして人気商品の写真入りのメニューが貼られる。選ぶのは大抵ホットドッグで、ときにマイスターハム&ケーゼっていうドイツ風のサンドイッチ。今日はそれを選んでたのみ、お供にコーヒー。ここのブレンドにミルクを注いでお腹をじんわりあっためる。

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さて、朝のメインのマイスターハム&ケーゼ。
気泡をたっぷり含んで焼けたざっくりとした全粒粉の粗いパン。
2枚を焼かずにそのまま使う。

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片方にはハム。もう一枚にはケーゼ、つまりドイツ風のクリームチーズ。
それでハム&ケーゼという趣向。
ハムにはピクルス。ケーゼにはマーシュが彩り添えるオープンサンドイッチのスタイル。
パカンと重ねてパクリと食べる。

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大きくほどよき厚さをもったハムがパンからベロンとはみ出す。つややかな肉の色に象牙色した脂のうつくしくおいしげなこと。こわばっていた脂の温度がゆっくり上がっていって、ゆっくりとろけてツヤっぽくなる。
生唾をのみつつパクリ。口にボロっと入ってきたその瞬間は、パンがモサモサ。口の中の水分を一切合切吸い込んで口が乾いた感じがする。束の間びっくり。口の中のそれぞれがしばらくまるで混じり合わずにずっと唾液を奪い続ける。

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ところがある瞬間、急にとろけて口の中をなめらかにする。
ウットリするほどおいしいんです。
調味料なんてまるで必要とせぬ素材同士の持ち味が混ざり合うことで口の中で完成していくサンドイッチ。むっちりとしたハムの食感、ぽってりチーズ。脂の香りと肉の風味、そしてチーズのうま味と軽い酸味がパンと一緒にとろけてく。

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かじったサンドイッチの断面を見ると、ハムやチーズに比べてパンの割合が多くて、なのに口が感じる味はハムやチーズの濃厚な味。素材の力をしみじみ感じるオゴチソウ。
朝から今日もニギヤカです。日本でおそらく一番多様で多彩な人が集まる新宿をそのままお店にしたらこういう場所になるんじゃないかしら…、と大きく息を吸いつつ、ここを見つけたシアワセをしみじみ思う。オキニイリ。


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