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コンソメにボンファム、マロンシャンテリー

ひさしぶりに日本橋の三越本店の特別食堂「日本橋」。

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タナカくんとたまに一緒に来ていたお店。「一緒に…」というよりもボクにタナカくんが付き合ってくれていたっていった方がいいんだろうなぁ…。
ひとつテーブルで東京會舘の洋食、日本料理に旭鮨総本店の寿司を食べることができる店。その昔、日本料理を京都の瓢亭が担当していたこともある。とにかく一流。
ボクの目当ては東京會舘の舌平目のボンファム。マッシュルームがこれでもかって入った料理できのこが駄目なタナカくんは食べれぬ料理。それでも東京會舘のコンソメスープが大好きだからよろこんで…、って。コンソメスープでお腹を温めて、メインは旭鮨総の寿司。こんな食べ方って贅沢だよねって言っていた。

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広々としたお店にゆったり配置されたテーブルに椅子。テーブルクロスに季節のお花。磨き上げられたシルバーがきれいに並びお水に日本茶。心づくしのおもてなしを形にしたらこういう景色になるんだろうなぁ…、としみじみ思う。

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両手付きの大きなカップになみなみのコンソメスープ。

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カップの底まで見通せるほど透き通った黄金色。口に含むと強いうま味と肉の風味がやってきて牛肉由来の酸味で幕引き。スープの中に溶け込んだコラーゲンのせいでしょう…、唇同士が貼り付き余韻をたのします。
この一滴にどれほどの手間とコストがかかっているんだろうって思うと器を舐めてしまいたい衝動にかられてしまう…、オゴチソウ。

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ロールブレッドに田舎パンが一個づつ、別皿にバターを伴いやってくる。
パンの器は熱々で、バターの器は冷やされている。
こういうところに惚れ惚れします。

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おまたせしましたと運ばれてくる舌平目のボンファムの器も熱々。
お皿の真ん中に舌平目の切り身。白ワインとマッシュルームでふっくら煮込まれ、その煮汁にクリーム、バターを加えて作ったソースを流してこんがり焼き上げる。

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どこを食べても平目とマッシュルームのうま味、香りが漂ってぽってりとしたソースは濃厚。しっとりとした平目の食感にサクサク歯切れるマッシュルームがよきアクセント。平目もおいしいのだけれど、ソースがなによりおいしくてパンを拭ってひたすら食べる。

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ボクがひたすらお皿をきれいにしているとこを、ニコニコしながらタナカくんがいつも見ていた。お皿を持ち上げて舐めちゃ駄目かなぁ…、って一度つぶやいたことがあって「別にいいけどボクがトイレに行ってる間にしてちょうだい」って答えて二人で大笑いした。なつかしいなぁ…、なつかしい。

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食後にマロンシャンテリー。これも彼が大好きだったデザートで、潰した茹で栗をホイップクリームで包んで飾ったシンプルなのにこの上もなくおいしいお菓子。コンソメに寿司にマロンシャンテリーって、こんな食べ方をできる店って贅沢だよねってよろこんでいた。

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世界で一番の売上を誇る新宿伊勢丹にはない贅沢。売上は劣るかもしれないけれど、こんな特別食堂があるこの三越本店こそが百貨店の王様であるに違いない。ただその王様にも再開発の噂が出てる。なんだか切なくなっちゃうネ。


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