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在宅勤務からリモートワークへ転換できるか

要旨

コロナ禍(2020年10月時点)において、情シスという立場で社員の働き方についての考えをまとめる。

「在宅勤務」という固定概念から動けない会社はいずれその特別措置を終わらせる

在宅勤務が強制的に始まった時に「これは良い!新しい働き方だ!」という印象を受けた人は多いと思う。会社側の強制指示ということもあり、デメリットが見えにくくなり、メリットだけが際立ったはずである。

しかしこの先、例えば半年後頃にコロナ感染者数が激減していく過程のなかで、(多くの会社において)この「在宅勤務」という特別措置が解かれることになるだろうと見ている。このままでは。

それはなぜか?ニューノーマルに移行するのではなかったのか?

そうなる理由は、ウイルス感染のリスクが下がった後、画一的に「在宅勤務」で社員を働かせることの会社側のメリットがないからだ。会社が「在宅勤務で働かせたい」という項目が経営課題の上になるとは思えない。

それよりも「創造的なアイデアを生み出し、新しいビジネスにチャレンジし事業化を目指す」のようなことが(本来は)求められており、その話と「働き方」の話を結びつけて説明する必要がある。それを会社側が納得できなければ元に戻る。

離れて働くことの本質の議論がされていないため「創造的なアイデアを生み出す」ことと「働き方」について、社内では誰も語っていない。この状況では、在宅勤務が実質の選択肢として消えるのは時間の問題だろう。

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在宅勤務とリモートワークの違い

在宅勤務とリモートワークは決定的に違う。

リモートワークが実質的に認められている会社は、本人にそれなりの裁量が与えられているはずであり、アウトカムに応じた人事評価制度にもなっているはず。そしてリモートワークを拡張したワーケーションということも実現可能だろう。

だが、在宅勤務とリモートワークは違う。在宅勤務は場所と時間を縛る。

在宅勤務というのは、場所を自宅に限定することで、お互い(会社側と社員側)の構造的な変化(変化に対する負担)を最小限に食い止めたギリギリの選択だったのだろう。

場所と時間を限定することで「集まって働くルールでギリギリ運用が可能」という会社側の都合があった。それでも会社側の負担は少なからずあるわけで、これが緊急避難的措置であるのなら、その条件が解除されれば元に戻すだろう。

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リモートワークができるようになるには

社員目線で言えば、在宅勤務やリモートワークという働き方が定着することを願う人も多いだろう。どうすればいいか。

「社員が集まっている」というのは実はそれだけで価値がある。そこでの雑談で、ビジネスのアイデアが生まれたりすることがあるのもその一つ。通勤しなくてすむというのは、移動コストの負担がなくなる(会社側メリット)、出勤という時間の負担がなくなる(社員側メリット)があり、「コスパ良いよね」となりがちだが、本当にコスパだけで計れるものなのか?

毎日、満員電車で通勤することを強制されない社会であるべきと私も思う。でも、人が集まってアイデアをぶつけ合ったり雑談したりする体験を上回るものを在宅勤務でできるのかっていうと、難しい。新たな人脈を構築していくのも難しい。予定どおりのことを計画的にやることはできるが、(ビジネスには)それ以外のところに旨味があったりする。

そこで、在宅勤務ではなく、リモートワークが良いのでは?と思うのだ。

つまり、いつもと違う場所で働くことができることを会社として許す。その結果、社員側も、いつもと違う場所、違う雰囲気で、いつもと違う人と触れ合い、そこでしか得られない何かを学び、そしてそこから新しいアイデアなりを生み出す。

最近、以下のnote記事を読んだ。ワーケーションを取り入れた働き方の事例。フリーランスで働く方の記事だと理解しているが、会社員であっても働く場所を変えることで何を得られるかの気づきをえられると思うのでオススメの記事だ。

会社側に、会社から離れて働くことについて「いつもの仕事が家でもできます」では弱すぎるわけで、それよりも「時には会社の外に出て働くことで、新しいビジネスにつながるアイデアも出やすいです」と言えたほうがずいぶんと違う。リモートワークを許してもらうのだとすると、こういう文脈で会話していく必要があるのではないか。

リモートワークへの移行がやりやすい職種とそうでない職種

やりやすいのは、クリエイティブな仕事の方でしょう。そして逆に、運用中心の仕事の人は、まずは難しい。本来は最初からそうなっているはずなんだけど、コロナの前では全員一律で在宅勤務となっていて、かなり無理がある状態なんだと思う。

これからは、その無理が適正化されていくと考えるのが自然なので、運用中心の仕事を担当する社員から順番にオフィス通勤に戻るだろうし、そのほうが会社としては回る。

ただこれが、開発部・営業部⇒クリエイティブ、総務・経理・情シス⇒運用というように、所属する組織で分けられるのかというとそうでもない。それらの組織の中でも、クリエイティブの仕事を任されている人もいれば、運用の仕事をしている人もいるからだ。

まとめ

在宅勤務とリモートワークの決定的な違いについてまとめた。今、日本中で行われているオフィスから離れた働き方を定着化させたいのなら、「なぜ在宅勤務ではなくリモートワークなのか」を社内で議論する必要があろうだろう。

今後は、どういう単位で働き方の制度設計をするのかも議論が必要だ。少なくとも、職種を無視して全社統一で制度を作り実践してしまうと薄い内容になってしまう。

そのためにも「新しいアイデアを生み出す(イノベーションを起こすに)」のようなビジョンを明確に打ち出し、そのための制度とはどうあるべきか、職種の違いはどうするか、の議論が必要だろう。

以上。

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