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Essay day10. Keith Jarretは精神安定剤

子どもの頃、いつも音楽が流れている家だった。色んなジャンルの音楽が常に掛かっていた。レコードだったり、CDだったり。それは大体がお父さんの趣味だった。

当時は、特に注意して聴くこともなく、他の環境音と混ざっていた。どれがなんの曲かも知ろうともしなかった。

だけど、大人になってみると、それらの音楽は精神安定剤のような機能を持ち始めた。
家の中でjazzを流しておくと、かつて何も思い悩まずに生きていたころの自分の心構えを思い出すのか、ホッとする。それは子供の頃好きだった懐かしいJPOPを聴くのとは少し違うベクトルで通り過ぎてゆく。当時わたしが環境音としてしかjazzを聞いてこなかったから、音楽でありながら、生活の一部を引っ張り出してきたような気持ちになるのかもしれない。

子どもに早すぎるjazzを聴かせまくると、大人になったときにその音楽がその子の心を助けるなんて、きっと父は思わなかっただろうな(自分が聴きたかっただけなのだから)

Keith JarretのCDは特によく掛かっていたアーティストの一人。今聴いていると、夜の空がどこまでも深く遠くまで続いていることとか、静かで柔らかい夏の夜の風とか、そんな色んな感覚が湧き上がってくる。彼には音だけで、人を包み込んでしまう力がある。

Keith Jarretがどんな人が調べたことがないからよく知らないけど、きっとすごく繊細で、やさしい人なんじゃないかな。こんなに柔らかい、洗練された音を奏でられる人だから。

残念ながらjazzのことはほとんど何も語れないからあんまり表立って好きだと言わないようにしてるんだけど、自分にとって、小学校からの帰り道の景色くらいありふれた日常がそこにある。音楽はいつも心の奥底まで届いて、こわばった身体をほぐしてくれるような気がする。

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