見出し画像

夏休み親子向けイベントの振り返り〜SAJ「ワクワクする学びの場創造研究会」2024年度第2回レポート

一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)の「ワクワクする学びの場創造研究会」による2024年度第2回目の会合が2024年9月18日(水)にオンラインで開催されました。本研究会の目的は、「ワクワクする学びの場」について開かれた対話の場を創出すること。3ヶ月に1度、メンバーとSAJ会員からの参加者が情報交換を行っています。今回は夏休み中に本研究会主催で開催した親子向けワークショップイベント「ワクワクみらいキャンパス」の振り返りが行われました。

[2024年度の開催レポート→第1回
[2023年度の開催レポート→第1回第2回第3回第4回
[2022年度の開催レポート→第1回第2回第3回第4回

夏の親子イベント「ワクワクみらいキャンパス」を開催

前回の第1回研究会を経てさらに詳細を詰め、2024年8月19日(月)にリアルイベント「ワクワクみらいキャンパス」が開催されました。会場となった内田洋行の「東京 ユビキタス協創広場 CANVAS」では、子ども向け講座などの経験が豊富な研究会参加企業が親子を対象にしたコンテンツを展開しました。SAJのウェブサイトに当日のレポートが掲載されているので、詳しくはこちらで様子をご覧ください。

イベントを終えて、参加企業の皆さんにはどのような感想や受け止めがあったのでしょうか。

<2024年度第2回研究会参加者(敬称略)>
研究会メンバー:中村⿓太(研究会主査/サイボウズ株式会社)、丸尾周平(トレンドマイクロ株式会社)、朝倉恵(さくらインターネット株式会社)

参加者:次の所属のみなさん。株式会社Globable、株式会社内田洋行、リバティ・フィッシュ株式会社、キンドリルジャパン株式会社、株式会社Jig.jp、日本事務器株式会社、株式会社C60、株式会社MOVED

2024年度第2回参加者のみなさん
ワークショップのチラシとスケジュール。参加企業が得意とする子ども向けプログラムを親子向けにアレンジした

自社のみでは実現出来ない経験の場に

本研究会の会合はオンラインで行っているため、「オンラインでしかお会いしていなかったので現場でお話できてよかったです」という感想が複数挙がり、イベントがリアルな交流の貴重な機会となったことが伝わってきました。また、参加企業はそれぞれ講座やワークショップの経験が豊富ですが、「他の方のイベントの進行を目にする機会はなかなかないので、それを見られてよかったです」という声も。企業間のつながりがさらに深まりました。

また、参加企業は講座等の事業を行っているとはいえ、親子対象という形式の経験があるのは少数です。「仕事では子どもに関わったことがまだなかったので、参考になりました。社会人向けの研修を担当したときに、“小学生はこんなアイデアを出していましたよ”と話題にできました」という声もあれば、「子どもと保護者が一緒というのは初めてで、保護者が口を出しすぎてしまうのではないかと心配していたのですが、そのようなことはありませんでした。保護者の方が子どもの発想を促すようにうまく動いてくださって、親子対象でも子どもがのびのびと活動できる可能性があるとわかりました」という声も。いずれも自社だけの取り組みでは得られない発見です。

今後につながる見直しポイントも

一方で、限られた打ち合わせで当日を迎えたこともあり、改善点も挙がりました。「集客にもう少し力を入れられるとよかった」、「ワークショップ用のPCの動作確認を事前に十分確認できればよかった」という具体的な反省点や、「時間がもっと長いとより充実した内容にできるのでは」、「親子対象だと保護者の負担が大きいかもしれない」という実施形態への指摘、さらに、各ワークショップについて「時間管理が難しかった」、「小学生にどうわかりやすく伝えるか難しかった」などの振り返りがありました。

今後につながるアイデアも出てきました。「夏休みなので自由研究になるような成果物があるといいのでは?」、「参加者同士の交流をもっと生み出す工夫をしたい」、「座ったままではなくて動きを取り入れると集中が途切れなくていいのでは?」、「異なる企業のコンテンツの組み合わせで面白いことができそう」、「複数の部屋でワークショップを同時進行しても良いかも」、「ソフトウェア業界を知る会社見学のようなものができたら面白いのでは?」など、様々な視点から案が共有されました。

子ども達にとって楽しいワクワクの時間に

実際に参加していた子ども達からは「楽しかった」という声が届いていて、ワークショップ中には同じグループ内で自然とコミュニケーションを取っている様子もあったそうです。会場を提供した株式会社内田洋行が設けた顕微鏡で観察を楽しめるコーナーも好評で、空き時間にそこに集まる様子もあり、静的、動的なコンテンツ両方の相乗効果も生まれました。

サイボウズ株式会社のキントーンによるアプリ制作講座では、参加者がさまざまなアプリを作成しましたが、ノーコードツールなので、子どもが保護者に「こうやるんだよ」と教えるようなシーンもあったそうです。

キントーンの画面を見せながら報告する中村氏

また、株式会社MOVEDのプレゼンテーション講座では、喋ることを恥ずかしがっていたお子さんが、得意の器械体操を生き生きと披露するというシーンもあったそうです。「それもひとつのプレゼンだよ、と話したときの笑顔が印象的でした」と、同社の渋谷氏は振り返ります。保護者にプレゼンしてもらう活躍の場面を作るなど、親子参加だからできる展開を工夫しました。

企業としてのメリットをどこに見るか

本研究会主査の中村氏(サイボウズ株式会社)は、「私たち自身がどのくらいワクワクできたでしょうか? 私たちがワクワクしないと、多分子どもたちも保護者もワクワクしないですよね」と問いかけました。参加企業の皆さんからは、ワクワクしながら楽しくワークショップをできたという声もあれば、進行に一生懸命でそこまでの余裕がなかったという反応もありました。

さらに、今回のようなイベントを今後も続けていくのかどうか、企業としてどこにメリットを見いだしていくのかということについては、研究会メンバーである中村氏(サイボウズ株式会社)、丸尾氏(トレンドマイクロ株式会社)、朝倉氏(さくらインターネット株式会社)の全員から、それぞれの言葉と視点で問題提起がありました。今回のイベントは、関東圏外から出張で参加した企業も含めて非営利目的で実施しているため、参加した子どもたちに1回限りのワクワクを届けることが果たして継続メリットになるのかということは、営利企業として考えていかなければなりません。

参加企業からは、「小さな規模の会社としては、大きな企業と同じ並びでイベントに参加できたことだけでも成果になります」という声もあれば、「仕事の時間でやっているのでメリットを見つけていかなければいけない」、「企業間でのコラボレーションなどのメリットが見つかったら自ずと継続しそう」、「自社を知ってもらい、仕事の依頼につながる関係作りになればと考えている」と、メリットを模索している声も多く挙がりました。

渋谷氏は、「SAJの目指すところとうまくマッチする形に進めると、やる価値が表に出てくるのではないかと思います。例えばSAJで行っている『U-22プログラミング・コンテスト』のようにSAJが自信を持って提供するコンテンツに育てていけたらいいのではないでしょうか」と提案し、丸尾氏はそれを受けて、「SAJとの共通項ということではソフトウェア業界を知ってもらうために何ができるかという視点で考えると良いかもしれませんね」とひとつの方向性を示しました。

丸尾氏(左)と渋谷氏(右)

次回2024年度第3回研究会は12月に開催

実際にイベントを実施してみて、得られたこともあれば課題も見え、研究会として貴重な経験となりました。この振り返りをもとに、今後の実施については引き続き検討していく予定です。次回、2024年度第3回の「ワクワクする学びの場創造研究会」は、2024年12月11日(水)に開催します。SAJ会員の皆さんで関心をお持ちの方はぜひご参加ください。

[前回までの研究会レポートも合わせてご参照ください]→2022年度:第1回第2回第3回第4回、2023年度:第1回第2回第3回第4回、2024年度:第1回


いいなと思ったら応援しよう!