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良い大学を出て、大きい会社に入れば勝ち? | 就活交換日記

これは、葛藤を抱えながら就活している大学生と、東京で働くクリエイティブディレクターとのリアルな交換日記です。今の就活生が感じる心の揺らぎと、社会人からのさりげないエールをお楽しみください。

前回までの就活交換日記

孤独を楽しみたいと一度は思ったものの、やはり難しかったという愛さん。そんな言葉に北さんは「就活は初めての航海のとき。マンガやゲームの物語の主人公になった気持ちでやってみると、案外楽しく、大海原に出ていくことができるのでは」とエールを送ります。

#08の就活交換日記はこちらから。

今週は、いろいろな人と話す機会が多かったという愛さんの日記から始まります。

登場人物

大学生の愛さん(仮)
地方文系大学に通う就活生。留学経験がある。ひょんなことから北さんと出会い、交換日記を始めることになった。様々な心の葛藤を抱えながらも等身大に就職活動を行おうと奮闘中。

クリエイティブディレクターの北さん
コピーライター歴、約20年。長年採用広報に携わってきた経験から、採用のクリエイティブをもっと面白くしていきたいという熱い思いを持っている。宣伝会議コピーライター養成講座で、求人広告クラスの講師も担当。

愛さんの今週の日記
「自分を知るということ」

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【2021年1月某日】
今週は色々な人と話す機会がありました。就活中の友達やアメリカの大学院で勉強している友達、地元で働いている先輩や大企業で働いている先輩など。社会の様々なパートに所属している人たちの話を聞いたのでこれまでに得たもの、今できること、未来にやってみたいことなど、自分に関する解像度が高まったような気がします。

様々な出会いの中で、地元で消防士として働いている先輩との会話が特に印象的でした。その先輩の人柄もあるでしょうが、目の前の仕事や趣味に没頭しながら毎日を生きている姿がとても魅力的に思えたのです。毎日の仕事のルーティンにも、地方の暮らしの中にも、自ら楽しみを見出して楽しむ心を忘れない生き方と出会ったことは、自分の心の中にずっと存在していた「良い大学を卒業して大きな会社で働けば、立派な大人になって認めてもらえる」という声を見事に裏切る出来事でした。

もちろん大学で勉強することや、大きな会社で働くことで得られる新しい知識や広い人脈にある種の大きな価値があることには違いなく、自分自身もその優位性を享受しているなと思う事は多々あります。しかしながら常に高みを目指し、常に新しいものであることを求められるような雰囲気の中では、自分自身のことを誇張してしまいがちで、足元にある素朴なものたちを見過ごしてしまっているのではないかと思うのです。自分の足元、つまり自分自身が地域や家族から享受してきたものの価値を自分の心の中で正当に評価できてこそ、未来への道筋を自分らしく描くことができるのではないかと思いました。

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北さんからの就活エール
「選んでいるようで、選ばれている。」

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この交換日記を続けて3ヶ月。愛さんの就活やキャリアに対する洞察の深さに驚かされています。そう、就活やキャリア、もっと言えば人生に正解なんてなくて、「良い大学を出て、大きい会社に入れば勝ち」なんてものは存在しないと僕も思います。しかも、愛さんはそういうゴールをなんとなく目指していた自分に対して、「その優位性を享受している」という認識を持っている。これ、すごい洞察力だと思うのです。

僕は常々、仕事って役割でしかないと思っているところがあって、「今の自分が社会で果たせる役割はなんだろう?」と考えている節があります。で、その「今の自分」という言葉の中には、「子供の頃から家庭にも恵まれ、比較的、勉強もできて、友人との出会いや受験の運も良く、若気の至りで歌舞伎町に興味を持ち、東京の大学に行きたいと行ったら行かせてもらえた自分」といったところからスタートし、さらに「就活で偶然出会った女の子に声をかけたら、選択肢にも入れていなかった広告業界の会社を受けることになり、就職氷河期のなかその会社でお世話になることを決めたら、そこでたまたま隣の席に座っていた先輩の転職に刺激を受け、すぐ別の会社に転職。そうしたら生涯の師匠と呼べる人と出会い、学ばせてもらって独立できた今の自分」というストーリーも含まれます。

まあ、何が言いたいかというと、僕自身が仕事を選んでいるようで、僕自身もまた様々な運や縁のもと仕事に選ばれているということ。だから、僕は選ばれたからにはその役割を果たしたいなあと思うのです。きっと、愛さんの書いていた消防士の方もそう思うのです。地方に生まれ育ち、地元にお世話になった縁を感じながら、消防士という役割を果たそうとしている。だから、輝いて見えるんじゃないのかなあ。

そして、就活的なアドバイスでもう一つ付け加えるとすると、会社にも社会における役割があり、それを「ミッション(社会的使命)」として掲げている会社はたくさんあります。だから、会社を選ぶ際も大きい小さいや有名無名、やりたい仕事云々で判断するのではなく、「この会社が果たそうとしているミッションに、自分の思いやストーリーは共感、共鳴できるだろうか」という視点を持つと良いなあと思います。さ、今週もお互い頑張りましょ。
編集:家洞 李沙(Fanclub)

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