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漫画の感想

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#漫画

【「東京最低最悪最高!」感想】「女性が自らの能力を誇示し、その成果を誇ることは悪である(性格が悪い)」という「女らしさの規範」の最後のハードルを超えられるのか。

【「東京最低最悪最高!」感想】「女性が自らの能力を誇示し、その成果を誇ることは悪である(性格が悪い)」という「女らしさの規範」の最後のハードルを超えられるのか。

「東京最低最悪最高!」は、自分が見るところ「女らしさ」の性規範から脱することを試みる話である。
「女らしさ」とは何か?
 男に頼って(立てて)生きていくことか?
 女らしさをアピールしてすることか?
 自分に不本意なことを言われてもされても、反論せずにその場の和を重んじることか? 
 自分も長いこと、これらが女性に強いられてきた性規範であると思ってきた。
 しかし実はこれら以外にも女性に強いられて

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女性向けの恋愛モノと男向けの恋愛モノは文脈がまったく違う。むしろ男向けのバトル漫画と女性向けの恋愛モノのほうが内実は近い。

女性向けの恋愛モノと男向けの恋愛モノは文脈がまったく違う。むしろ男向けのバトル漫画と女性向けの恋愛モノのほうが内実は近い。

*主語デカい話なので、苦手な人はこの時点でブラウザバックしてください。

◆前段:少年(青年)漫画のバトルと少女漫画の恋愛は文脈がほぼ重なる。

ということを以前↑の記事で書いた。
 平たく説明すると、「互角の力量を持つ人間がお互いを理解するために一対一で対峙して、相手を理解しようとする試みを通して己を理解する。その道筋では、それがバトル(対立)であるか恋愛であるかは社会(他者)による区別に過ぎず

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「【推しの子】」感想。「母を救えなかった息子」問題について。

「【推しの子】」感想。「母を救えなかった息子」問題について。

「【推しの子】」を既刊11巻いっき読みした。
 人気があるだけあって凄く面白かった。

 読んでいてちょっと気になることがあったので、そこへの言及。
 *ネタバレ注意。

 11巻までの話の文脈だと、この話の根本の問題は「母を救えなかった息子問題」だ。
 吾郎の中の「救えなかった母」はアイではなく「吾郎母」だ。
「吾郎を出産することによって母が死んでしまった」→「自分が母親を殺してしまった」という

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恋愛モノの少女漫画の「強引な相手役」がなぜ苦手なのかを考えた。

恋愛モノの少女漫画の「強引な相手役」がなぜ苦手なのかを考えた。

諸事情あって、自分の好みと合わないと初めからわかっている映画を見ることになり見てきた。
映画が悪いわけではない。単に一から十まで好みが合わないだけだ。
「つまらない」「興味がわかない」ではなく、余りに好みに相反する内容すぎて苦行のようだった。
自分の好みと真反対の恋愛モノを見ることがこれほどキツイとは思わなかった。

「恋愛要素の好みが合わない」以外のストーリーの作りなどは、それほど悪いとは思わな

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【鬼滅の刃】急に「童磨×琴葉のどこが面白いか」を話したくなったので話します。

【鬼滅の刃】急に「童磨×琴葉のどこが面白いか」を話したくなったので話します。

*「鬼滅の刃」の13巻以降のネタバレが含まれています。注意してください。

刀の鍛冶里編が開幕するので、久しぶりに「鬼滅の刃」を12巻から読み返したらめっさ面白かった。特に童磨戦が初読以上に面白く感じられた。

童磨×琴葉に関しては、以前書いた通り「普通に両想いだったが、『鬼滅の刃』というストーリーの超文脈によってああいう描写になっているのだろう」と思っている。

なぜどこでそう思うかは↓の記事で

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「エネアド(ENNEAD)シーズン1」を考察した感想

「エネアド(ENNEAD)シーズン1」を考察した感想

「エネアド」のシーズン1を考察するために細かく読み返したので、上の記事に入りきらなかった感想を書きたい。

◆訳の問題。

読んでいて「この部分は、原文だとニュアンスが違うのでは」と思う部分が目についた。
二つほど例を上げると、ひとつめは髭がイシスを「姉貴」と呼んでいる点。
韓国だと親しい目上の女性を呼ぶ一般的な呼び名なので、日本語でいう「姐さん」に近いものとして使っているのではと思ったがどうなん

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創作の感想は「私」が語れ。

この増田について。

*終盤までのネタバレ及びゴールデンカムイについての否定的な意見が書かれているので、読む場合は注意。

基本的に主語を「私」にしないで、主張、感想、意見(データを用いた分析や論文などはいいけど)を語る人が余り好きではない。

「みんなこう言っている」という人はそれだけで斜めな視線で見てしまう。「みんなこう言っている」は(アンケート結果などがない限り)ただの推測であって意味がない

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