「相手との違いを認めたうえで、どこまで受容できるか」Vol.6 Q氏
インタビューの数だけ心がある「結婚インサイト」。
自身を「僕はちょっと変わった価値感ですよ」と言うQ氏にインタビューをいたしました。
お話を伺うなかで、「これはウワサのダイバシティの受容!?」という発言があり、タイトルにしてみました。
■Q氏概要
40代半ば、男性、既婚、子どもあり。
・聞いた場所:小料理屋(ほろ酔い)
・Qさんはいつ結婚されたのですか?
25歳の時ですね。
・早いですね。
とにかく、さっさと結婚したかったんですよね。
・もともと結婚はしたかったのですか?
夫は外で仕事をして、妻は専業主婦でという環境で育ったので、自分もそうなると思ったし、そこに疑問すらありませんでした。
・なぜ結婚したかったのでしょう?
家庭は(ライフスタイルの)軸となるもので、居場所が欲しかったんでしょうね。自分でつくりたい、つくるのが当然でしょ、と思っていました。結婚しないという選択はなかったです。
・早くしたかったのはなぜ?
結婚そのものに悩んだり、迷ったりしたくなかった。
結婚しようと思ったら、早いほうがいいんですよ。時間がたつと既婚率が上がってくるし、対象がだんだん減っていってしまうわけで。
・(はじめてであった価値観!)なるほど。この人だと思ったら早めに決めてしまうという……。
相手がひとまわり上の年齢だということもあったのでね。子どもも欲しかったので早い方がいいかなと。
・子どもが欲しかったのですか?
そうですね。子どもができなかったらしょうがない、という覚悟はありましたけど。
・子どもは好き?
大学時代に家庭教師や塾の講師をしていて、子どもは好きでしたね。
・お子さんが生まれたら、仕事を絶対20時には切り上げて帰っていたという話を聞きましたが。
そうですね、育児には協力しようと思っていたので、小さいときは帰宅してすぐ子どもをお風呂に入れてましたよ。だからお酒の席も控えてたし、誘われもしなかった。どんなに忙しくても20時には会社を出る、と決めて仕事の段取りを組んでました。
その上で、新しい仕事を頼まれても断らなかったですよ、評価を落とされたくなかったし。仕事なんて段取り次第でなんとかなると。逆に育児はそうもいかないから。
・それって、めちゃくちゃ大変じゃないですか?
そうです(笑)。でもこのパラレルワークの経験が今の礎となっています。
・なぜ育児に協力しようと思っていたのですか?
妻の体力的な問題が大きいですね。子どもが生まれた時、アラフォーだったので。
・お子さんはかわいかったですか?
かわいがっていましたよ。でも溺愛じゃなくて、その年齢にふさわしい付き合い方をしてきたと思います。
できるだけ奥さんが一人になれる時間を作れるようにと思っていたので、自分が休みの日は子どもと二人で出かけるようにしていました。
・イクメンですね!育児について奥さんから文句はありませんでしたか?
それはもちろんありましたよ。しょせん自分が見ているのは子どものほんの一部でしかないわけですし。
子どもへの向き合い方以上に、妻に対して心くばりがないとモメるのだと思います。
夫婦は他人なので、話し合いやすり合わせを通して「相手は自分とは違ってこういう人だ」と認めたうえで、どこまですれば満足してくれるのか、反対にどこまでなら自分は許容できるのかを知っておくことが大切です。
夫婦はそのすり合わせの努力を地道に続けられるかが大事なんじゃないでしょうか。
・ご自分では仕事と育児で忙しい毎日を許容できていた?
自分なりに、仕事も家のこともやっているという満足感が大事だと思うんです。「ちゃんとやってる感」があって、自分のなかに後ろめたさを作らないことですね。
・お仕事の関係で別々に暮らす日も多いようですが、その距離感についてはどう思いますか?
もう子どもも「お世話をする」でもない年齢に成長しましたし、お互い信頼関係があるので、適度な距離感だと思います。ずっと毎日同じように顔を合わせるのも、ちょっとしんどいこともあるじゃないですか(笑)。男性も女性も、自分ひとりになれる時間やサードプレイスがあることによって、長くゆるく、いい関係が築けると思います。
・奥さんとはどんな存在ですか?
居場所です。
軸としてしっかりしているから、今の生活ができると思います。その信頼関係を崩したくはないし、20年ちかく一緒にいて今の居心地の良さがあります。
・うらやましいですね。仲良しの秘訣はありますか。
奥さんをかわいいと思ったら、「かわいいなー」ということですね。そういう感情にフタをしない。
・いちおう聞かねばなりませんがが、不倫や浮気は?
せっかく築き上げてきた信頼関係をわざわざ壊すような行動はしたくないですね。
・Qさんは結婚していなかった人生もあり得ますか?
そうですね、たまたまうまくいったというのはあります。違ったら、僕は全然別の人格になっていたと思います。
40歳は迷いが消える「不惑」というじゃないですか。周りの同級生たちからは「まだまだ迷ってばかりだよ」という話を聞くけれど、僕はまさに不惑ですね。迷いがなくなりました。
自分の裁量で仕事ができて責任があって、自分で人生を決めているという意識があります。
Q氏 完
■インタビューを終えて
この後、奥さんとのLINEのやりとりをチラッと見せてもらうことに成功。
朝ドラを見ながらお互い、連想クイズみたいに単語が飛び交わせていて……仲がいい!
そんな掛け合いを素直にうらやましいなと思いました……(我が家は業務連絡のみ……)
身体の距離より心の距離、と教わったようです。
ええな~。
企画・インタビュー・ライティング 斎藤 貴美子 さいとう きみこ
コピーライター/クリエイティブディレクター/コミュニケーションプランナー
世の中のインサイト(本人も気づかないこともある隠れた気持ち)を拾って仕事と世の中に生かしたいと考えています。趣味は日本酒・三国志・自由研究。
・結婚・子育て系連載中
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