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羽を休める白い鳥

全部ほどけてしまった。複雑に絡み合った関係は時間をかけて静かに確実にほどかれてしまったことにようやく気付いたときには全てが遅すぎた。

雨上がりの空にできた虹は新しい自分へなるんだよって笑っている。そんな事になっていたとは知らなかったよ。忘れてはいけない教訓が空気中に浮遊する虹の煌めきと同化して眩しさに涙がこぼれた。
君にとって俺ってどうなんだろう、どうだったんだろうのほうが今は正しい。君が再三言っていた「不安だよ」という言葉を思い出す。大丈夫だよ君を泣かせたりしないよってずっと心の奥で思っていたけど口では「そんなことないよ」って言っていたことを。

俺が目を覚ました時には君は荷物をまとめてドアを開けた瞬間だった。「俺も連れてってほしいんだ」って咄嗟に言った言葉はドアが閉まる音にかき消された。
だから俺は心の中で祈った、君が戻ってきてくれますように・・・。
昨日なにげなくつぶやいた「一度切ってしまえばいいよ」という言葉に深い意味はなくて、本当に軽い気持ちで別れるという意味ではなく単純に距離を置こうってそれだけだったんだけど。きっと今までの言葉も行動も全てが昨日の一言で切れてしまったんだとようやく気付いた。昨日は君の不穏な気配を感じていたのに、俺はそれをいつものように流してしまった。もう手遅れだとも理解することなく。

脳裏に浮かぶ君の顔はいつだって今にも泣きそうで眉間のしわも八の字のまゆげもそれすら俺は笑ってしまっていた。俺が原因なのに、君の笑顔を思い出せないことを知って思わず顔を覆った。本当はずっとちゃんと考えていたんだ。真剣に君との深く絡み合う糸の結末を、だけどそんなことは口に出さずにいても伝わるからって思っていた自分を殴りたい。

君はよく怖い夢を見ては目を覚まして、「神様はあんまり優しくない」ってそれはもしかして俺のことだったのだろうか。「そうでもないんじゃない?」って半分めんどくさそうに返事をしたけど、俺はツバキのように気取らない優美な君が世界で一番素敵だと思うって心の中だけで言ったことを後悔している、もう遅いけど。

きっと君はいつだって選択肢を与えてくれていたのにそれを滲ませてうやむやにしていたのは俺。君の為に買った鏡には想像以上に無様な俺の顔が見えた。いつも右側に立つ君がいない状況に寂寞だけが残る。ドアに背を向けて深い深呼吸とともに心を落ち着かせる。妙に隣人の音楽が耳につく、一人がどれだけなものかが伝わってきた。

また君がふらっと帰ってきますようにと、堅実な願いとは正反対な願いをする。誰もいない部屋がこんなにも空白を感じることを未来の俺よ、覚えておいてほしい。もし君がただいまって言う日が来ることがあれば、もうそれは魔法だよね。人生の出口を二人で探そうって、急いで大人になろうとしたけどまだ子供のままでいたかった。半分だけ叶った夢は出口までが怖くて暗くて遠かった。まさか一人で出口を探すことになるなんてね。

君が書いた一輪の花の絵は残されたままだ。大きな花が前に進む感覚にさせてくれるって言ってたっけ。絵を描くために買った一輪の花は、なかなか完成しない絵よりも先に完成形となり何度も買いなおした。そのたびに撮った写真フォルダを、見返す。白い鳥も書きたいからって幾度と足を運んだ湖の写真の中で、君の横顔はブレてよくみえないけど笑ってた。スクロールする指が自然と止まる。それだけだった、笑顔の君はたった一枚のブレた写真だけだった。この日は君の白い腕を抗うのは難しくて、近い距離と腕の絡まりが恥ずかしくて仕方ない俺をよそに、君は幸せそうに横で笑って一緒に帰宅した。

白い鳥の絵を描くときは、羽を休ませている絵だったから「飛ぶところじゃなくて?」って聞いたら、呆れた顔をしていたことを思い出す。
なんで羽を休ませた絵を描いたのか答えを知る方法はもうなくて、そんな終わり方って虚しくなるじゃん。今更だけど。
白い鳥の絵だけがなくて、余計に寂寥感に襲われた。

あとがき
この詩は、主人公が言葉足らずで愛する人を傷つけ、その愚かさに気づくまでの過程を描いています。主人公は言葉で愛情や思いを十分に伝えることができず、彼女は呆れて彼のもとを離れます。
そして、彼女が去った後に初めて、自分の不達と失ったものの重さに気づき、彼は後悔と自責の念に苛まれながら、愛する人を失ったことを悔やみます。
伝えないといけないときってあるよね。
伝えすぎもよくないけど。

言葉の羅列から生まれるストーリー

無造作に無作為に言葉を羅列する
そのままの順番でストーリーを作る
今日はこの羅列↓↓↓

全部ほどけてしまった,雨上がり,忘れてはいけない,空気中に浮遊,どうなんだろう,目を覚ました,俺も連れてってほしいんだ,心の中で祈る,つぶやいた,一度切ってしまえば,気配を感じ,脳裏に浮かぶ,顔を覆った,伝わるから,神様はあんまり優しくない,心の中だけで言った,選択肢,滲んでいる,俺が見える,右側に立つ,ドアに背を向けて,堅実な願い,誰もいない,覚えておいて,それは魔法だよ,出口は二人で,急いで大人になろうと,半分だけ叶った,一輪の花,前に進む感覚,あの白い鳥,スクロール,それだけだ,白い右腕,抗うのは難しい,帰宅する,羽を休ませている,呆れた顔,答えを知る方法,虚しくなるじゃん

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