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原典を読みながら環境・農業問題について考えてみる

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聖書や日本書紀、平家物語などを読みながら、「日本」について外国人に説明するにはどうしたらいいかとか、農村部の論理と都会人の論理がどう違うかと言ったことについてのヒントを考えていま…
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#平家物語

これからは「ミャオミャオ時代」

これからは「ミャオミャオ時代」


転換後の時代をどう呼ぶか?

今は時代の転換点のようです。新しい資本主義だとか、ポスト資本主義だとか、人によって言い方は違いますが、何か「今まで」の社会のあり方が変わり、「これから」のあり方が産まれてくる…
おそらく、そうなのでしょう。
ただ、それを「新しい」とか「ポスト」とかと言うのは、「今まででないもの」と言っているだけの事です。
「これからの時代」の特徴を捉えて、「平安時代」とか「鎌倉時代

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江戸時代、リンゴは広島県・新暦7月に存在したか?

江戸時代、リンゴは広島県・新暦7月に存在したか?

井原西鶴の「好色一代男」の巻五「当流の男を見しらぬ」の章に「山がつの手籠に入れ林檎の盛りを見せける。それかえと腰につけたる銭をなぐる」と言う表現が出てきます。

山にいる人がリンゴを籠に盛ってきた、それを買えと腰につけていた銭を投げたと言う意味です。

舞台は安芸(現・広島県)、旧暦6月で新暦7月頃に相当します。

好色一代男の初版は天和2年(1682年)です。小学館の日本古典文学全集の解説によれ

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しずくが滴って「淡路島」となる平家物語

しずくが滴って「淡路島」となる平家物語

平家物語・剣の巻では、イザナギ・イザナミによる国産みは次のように始まっています。

第七代伊弉諾・伊弉冉より天の浮橋のもとにて初めて和合の交わりあり。下界なきことを思ひ、天の逆矛をもって大海の底をさぐり給ふ。ひきあげまします矛のしたたり島となる。「あは、地よ」とのたまえば、淡路島と申しけり

これは日本書紀本文の国産み物語の展開とかなり違います。

平家物語・剣の巻でも、日本書紀本文でもイザナギ・

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「天の浮橋」で和合があったと言う平家物語神学

「天の浮橋」で和合があったと言う平家物語神学

平家物語・剣の巻でイザナギ・イザナミが登場するまでの神々の系譜を見てきました。

いよいよ、剣の巻での「国産み」の様子を見ていきたいと思います。

第七代伊弉諾・伊弉冉より天の浮橋のもとにてはじめて和合のまじわりあり。

それまでは体がない、体があっても顔つきがない、顔つきがあっても男女の別がない、性別があっても交わりがない神々しか登場してこなかった。

イザナギ・イザナミに至って、はじめて男女の

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神々の「進化」を記す「平家物語神学」

神々の「進化」を記す「平家物語神学」

平家物語巻11第107句「剣の巻」は、以下のような神々の系譜を載せています。

それ神代と言うは、天神のはじめ、国常立尊は色はありて体なし。虚空にあるごとく、煙のごとし。
国狭槌尊より体はありて面目なし。豊斟渟尊より面目ありて陰陽なし。第四より陰陽ありて和合なし。埿土煑尊埿土、沙土煑尊、大戸之道尊、大苫邊尊、面足尊・惶根尊等なり。

この系譜は、日本書紀本文と一致(独り神に関する限り、第一別伝とも

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平家物語の神統譜と日本書紀別伝

平家物語の神統譜と日本書紀別伝

平家物語巻11第107句「剣の巻」が記す

神々の系列は、(1)国常立尊、(2)国狭槌尊、(3)豊斟渟尊、(4)埿土煑尊埿土・沙土煑尊、(5)大戸之道尊・大苫邊尊、(6)面足尊・惶根尊

で、この後、伊弉諾(イザナギ)、伊弉冉(イザナミ)が登場してきます。

この登場の順番は、日本書紀本文と同じで、古事記本文とは違います。

では、日本書紀に「一書に曰く」と記された別伝と比較するとどうなるのでしょ

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平家物語の「神統譜」は日本書紀本文に一致し、古事記本文には一致していない

平家物語の「神統譜」は日本書紀本文に一致し、古事記本文には一致していない

平家物語巻第11、107句「剣の巻」は、国常立尊に続いて、

以下のような神々の系譜を語ります。

国狭槌尊より体はありて面目なし。豊斟渟尊より面目ありて陰陽なし。第四より陰陽ありて和合なし。埿土煑尊埿土、沙土煑尊、大戸之道尊、大苫邊尊、面足尊・惶根尊等なり。

日本書紀本文は、国常立尊の後、

次に国狭槌尊。次に豊斟渟尊。

次に神有り、埿土煑尊埿土・沙土煑尊、次に神有り、大戸之道尊・大苫邊尊。

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中世における日本神話~平家物語が語る「草薙の剣」

中世における日本神話~平家物語が語る「草薙の剣」

平家物語巻第11第107句「剣の巻」は、壇ノ浦の戦いで海中に没した三種の神器のうち、「草薙の剣」について述べています。

この部分の記述は、当時の人たちに、日本神話がどのように受容されていたかを知る貴重な手がかりのように思われます。

剣の巻は、草薙の剣が登場するまでの経緯についてこのように語り出します。

それ神代と言うは、天神のはじめ、国常立尊は色はありて体なし。虚空にあるごとく、煙のごとし。

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春分後満月時の引き潮、平家物語「屋島」と旧約聖書「出エジプト」

春分後満月時の引き潮、平家物語「屋島」と旧約聖書「出エジプト」

例の「十戒」の映画に出てくる海がバーンと割れるシーンですが、

実は、イースターが春分後の満月の後の日曜日と言われていますが、

元々、「過ぎ越しの祭り」が春分後満月祭なので、とにかく、その時季です。

このお話との比較で、平家物語巻第十一「屋島」には、興味深い記述があります。

(義経が)近藤六を召して「屋島の城の様はいかに」とのたまへば、「さん候、知ろしめさねばこそ候へ。城は無下にあさまに候。

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「錦の直垂」と、例えば北陸とか、とにかく地域の活性化

「錦の直垂」と、例えば北陸とか、とにかく地域の活性化

観光立国と言うのを考えてみた場合、即効性のある事もない事もあるわけです。

でまあ、即効性はないけれども、何というか、自分たちが暮らす地域について、外国人でも都会人でも、あるいは日本の他の地域の「田舎」の人に説明してみる、

つまり、「自分が暮らしている地域」について「部外者」に説明すると言う事なのですが、

これは、即効性がある・なしは別にして、日頃、その地域に暮らしていると当たり前に思っている

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どんな体制でも、それで生活している人がいると言う事。

「宿所には女房達、死したる人の生き返りたる心地して、うれし泣きどもせらりけり」

(平家物語 巻三 第三十句 関白流罪)

藤原行隆さんは、左少弁と言う官職についていたのが解任され、十年以上に渡り、無職の状態でした。

そこへ、平清盛さんからの呼び出し。さては、誰かが告げ口したか、

処罰されるのではないかと恐れおののきながら出向いてみると、

清盛さんは、行隆さんのお父様の顕時さんにはお世話にな

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人の怨み、十七条憲法とかと、旧約聖書の天地創造物語についての取り留めのないお話

「か様に人の思ひ嘆きのつもりぬる平家のすゑこそおそろしけれ。(平家物語 巻三 有王島下り)」

平家物語では、平氏打倒の陰謀を企てたとして、俊寛僧都他3名が鬼界ヶ島に流されます。

2名は許されるのですが、俊寛僧都だけは許されず、ついに島で亡くなります。平家物語は、その顛末を語った後、人の思いや嘆きが平家に対し積もっていく事を「おそろしけれ」と表現しています。

実は、いわゆる十七条憲法は第十五条

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