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原典を読みながら環境・農業問題について考えてみる

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聖書や日本書紀、平家物語などを読みながら、「日本」について外国人に説明するにはどうしたらいいかとか、農村部の論理と都会人の論理がどう違うかと言ったことについてのヒントを考えていま…
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2018年10月の記事一覧

都会の人と農村部の人の間のトラブルと「霊」のお返し

「物の霊、特に森の霊や森の獲物である『ハウ』について、エルスドン・ベストのマオリ族の優れたインフォーマント(情報提供者)」の一人、タマティ・ラナイピリが、全く偶然に、何の先入観もなしに、この問題を解く鍵を我々に与えている。

私は『ハウについてお話します。ハウは吹いている風ではありません。全く、そのようなものではないのです。

仮にあなたがある品物を(タオンガ)を所有していて、それを私にくれたとし

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どんな体制でも、それで生活している人がいると言う事。

「宿所には女房達、死したる人の生き返りたる心地して、うれし泣きどもせらりけり」

(平家物語 巻三 第三十句 関白流罪)

藤原行隆さんは、左少弁と言う官職についていたのが解任され、十年以上に渡り、無職の状態でした。

そこへ、平清盛さんからの呼び出し。さては、誰かが告げ口したか、

処罰されるのではないかと恐れおののきながら出向いてみると、

清盛さんは、行隆さんのお父様の顕時さんにはお世話にな

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マルセル・モース「贈与論」を読みながら考える都会人の半農生活

「多くの交易が遠くまで、島から島へ、港から港へ行われた。昔から品物の伝播に限らず、交換の方法も遠くにつたえられた。」

「我々は『オロワは外からの財産』、『トンガは元々の財産』としたターナーの訳を無視する事が出来る。
しかし、全く利点がないわけでもない。
と言うのも『トンガ』と呼ばれるある種の財産は『オロワ』と呼ばれる財産よりもいっそう土地、クラン、家族、人に結びついていることを示しているからであ

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「地」が出来て、人の食物が生まれる。

旧約聖書の天地創造物語では、第一日目に「光」が創造され、第ニ日目には大空の上と下に「第一物質=水」が分離される形で、「大空=天」が生じてきます。

第三日になると、神様は、

「天の下の水は一つ所に集まれ。乾いた所が現われよ」と仰られます。

そして「神は乾いた所を地と呼び、水の集まった所を海と呼ばれた。神はこれを見て、良しとされた。」とあり、

足掛け2日で、天・地・海が誕生した有様が描かれるの

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人の怨み、十七条憲法とかと、旧約聖書の天地創造物語についての取り留めのないお話

「か様に人の思ひ嘆きのつもりぬる平家のすゑこそおそろしけれ。(平家物語 巻三 有王島下り)」

平家物語では、平氏打倒の陰謀を企てたとして、俊寛僧都他3名が鬼界ヶ島に流されます。

2名は許されるのですが、俊寛僧都だけは許されず、ついに島で亡くなります。平家物語は、その顛末を語った後、人の思いや嘆きが平家に対し積もっていく事を「おそろしけれ」と表現しています。

実は、いわゆる十七条憲法は第十五条

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ちょっと寄り道して聖書と神皇正統記を比較してみる

第一物質である「水」から天地が作られている過程を聖書がどう描いているかを述べてきましたが、

今回はちょっと寄り道です。(シリーズ三回目で早くもと言う感じですが)

聖書の天地創造物語では、第一物質である水を前に、神様が「水の中に大空あれ、水と水を分けよ」と述べて、「大空」が出現し、その大空を神様が「天」と呼んだとあります。

しかし、これは第二日の事です。

では第一日は何をしていたのかと言うと

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第一物質=水の分離~天地の創造

「神は言われた。『水の中に大空あれ。水と水を分けよ』

神は大空を作り、大空の下と大空の上に水を分けられた。

神は大空を天と呼ばれた。(創世記第1章6-7節)」

メソポタミア神話や聖書神話で第一物質と考えられている「水」。

聖書神話では、その水を分ける形で天地の創造が始まっています。

神様が「水の中に大空があれ。」と言われて、

水と水が空の上と空の下に分けられ、分けられた水と水の中間にあ

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「第一物質」としての水

「ユーラシアの創生神話(金光仁三郎 大修館書店)」は、

「メソポタミア神話では水が創造主と同時にマテリア・プリマを兼ねている」

と述べています。

マテリア・プリマは「第一物質」の事で、「すべての物質が創造される以前」に存在していたものなのだそうです。

同書では、聖書とメソポタミア神話の「違い」についても述べていますが、聖書の中でも水が第一物質であった事には違いがありません。

「初めに神は

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