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ユニークな有給休暇制度について調べてみた

個人的な話なのですが、本日は約半年ぶりに有給休暇を取得し、仕事のことを考えなくてよい月曜日を満喫しました。

しかしたった一日とはいえ、普段なかなか有給休暇を取得しない生活を続けていると、自分の仕事がどうなっているか不安になるものです。かく言う私も本日は、会議こそ参加しませんでしたが1時間程度はメールの返信や報告のリマインドなどの細かい仕事は対応していました。

以前読んだこちらの本で、ボストンコンサルティンググループの事例として「予知可能休暇」というものが紹介されていたことを思い出します。

コンサルタント、弁護士、投資銀行家、およびその他の専門サービス業界で働く専門家たちは、非常に長時間働くことで知られている。このような人々は、会社にいるときだけでなく、一日中いつでも「常時オン」の状態で常にスマートフォンをチェックしている。

ボストンコンサルティンググループ(BCG)は、この業界の直感に反したアプローチをとり、コンサルタントたちが「予知可能休暇」として、ある一定の期間の休暇をとることを強制する実験を試みている。

プロジェクトの開始時に、「予知可能休暇」があらかじめ設定される。それは一週間に丸一日であったり、または一晩であったりする。その期間中、社員は電子メールやボイスメールをチェックすることも禁じられている

完全に遮断することに慣れていないワーカホリックのコンサルタントたちは、ほんの僅かの時間でもペースを落とすことが自分の仕事に悪影響を与えると最初は懸念した。しかし、暫くすると彼らは「この方針がもたらす仕事への恩恵を知り、予知可能休暇を楽しみに期待するようになった」。

引用元:Rochelle Kopp. 日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか? (p.161)

非定型的なコンサルティングという仕事を、クライアントのために寝食を忘れて行い、その対価として高給を獲得するというのが世間一般的なコンサルティング会社に対するイメージでしょう。そしてそれは実態からも大きく外れていないと思います。

そうした状況に際して、コンサルタントとしては「仕事と生活を自分でコントロールできること」が何より重要なのだろうということは容易に想像できます。多くの仕事を顧客に満足してもらえるクオリティでこなし続けるために、いつ休んでいつ仕事をするという時間配分の計画を外部から邪魔されたくないのです。

だからこそ、強制的に休みを取らされ、メールのチェックすら禁じられる「予知可能休暇」を多くのコンサルタントが警戒したのでしょう。

しかし結果としてはむしろ逆で、働かない時間をあらかじめ決めておくことで働く時間をよりよくコントロールできるようになり、「よりオープンなコミュニケーションが行われ、学習と能力開発が増加し、クライアントに提出する仕事の質が向上した」と書かれています。

やむを得ない部分があるにせよ、やはり休むべきところは目一杯休まなければ、有給休暇の値打ちが半減してしまうのかもしれません。私自身の本日の休み方は反省が残る結果でした。

というわけで本日は「有給休暇」をテーマに、様々な会社のユニークな有給休暇制度をいくつか紹介したいと思います。

山ごもり休暇制度 - 株式会社ロックオン

1年間に1度、必ず9日間の連続休暇を義務づける『山ごもり休暇制度』の導入を決定、2011年10月1日から運用を開始しました。
本制度は、単純に9連休の取得を義務づけるだけではなく、該当期間に電話連絡やメールでのコンタクトを禁止する点が大きな特徴であり、そのため名称を『山ごもり休暇』としました。
該当社員のリフレッシュを促進しながら、休暇中の連絡を絶つことで、事前の引き継ぎを徹底する必要が発生します。これにより、業務の共有と、属人性の排除を併せて行うことを目的としています。

引用元:https://www.yrglm.co.jp/release/2594/

「予知可能休暇」に似た趣旨の休暇制度ですが、こちらは「事前の業務引き継ぎ」にフォーカスしている点が特徴的です。

業務を言語化して共有し、属人性を無くすことは、社員個人個人の立場からすると別にやらなくても良いことなのですが、会社としては非常に重要なことになるのでしょう。

重要なことであっても緊急ではないため、忙しさを理由につい敬遠してしまうというのもあるでしょう。そうした業務をやってもらうためにダイナミックな休暇制度を設けるというのは非常に巧妙な制度設計だなと感心します。

二日酔い休暇制度 - 株式会社TRUSTRING

飲みすぎた次の日は、年2回まで午前休暇とってよし。
(ただし、本社勤務に限る。)

引用元:trustring.jp/recruit/04.html

ベンチャー企業らしい、勢いがあっていさぎよい休暇制度です。
わかりやすくてお手軽ということが何よりの魅力でしょう。

システムエンジニアの社員の方の感想がページに記載されていますが、営業会社などにも相性がよさそうな制度だと思います。

取引先とのせっかくの酒席で、翌日のことを気にして「心ここにあらず」状態になってしまったら意味がありませんし、相手方にも失礼になってしまうことでしょう。二日酔い休暇制度があればそうした心配が必要なくなりそうです。導入をすればきっと好評な制度になることでしょう。

浮世離れ休暇 - 株式会社トライバルメディアハウス

年間働いたスタッフに1カ月間の特別休暇を付与。リフレッシュするだけでなく、さらなる活躍につなげてもらうための制度です。

引用元:https://www.tribalmedia.co.jp/recruit/culture

1か月という休暇日数が何よりインパクトがある休暇です。

数日から1週間であれば、多くの方がちょっと長めの旅行に行こうかという発想になってしまうことだろうと思われますが、1か月ともなるとそうはいかないでしょう。

この時間を享楽的に過ごすのはもったいない、何かをなしとげたいと自然に思い至るのが1か月という期間なのだろうなと思います。

リクルートのSTEP休暇なども似たような制度ですね。1カ月あれば、留学をしたり、珍しい資格や免許を取ったり、新しい趣味を始めてみたりすることができそうです。

おかえりなさい休暇 - 株式会社高島屋

当社はシフト制の週休2日で、数日おきに1日休むパターンが基本のため、所定の休日につなげて連休にできるよう、年4日を上限に4回分割で付与しています。日帰りでは家族と一緒に過ごす時間が十分ではないので、単身赴任者と家族の双方に好評です。
こうした特別な休暇は、休む理由が明確にわかる名称がついていれば、「ああ、それなら」と上司やまわりの理解が得やすくなります。

引用元:https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/dl/101216_03_h25_11.pdf

単身赴任者とその家族という目の付け所が非常にユニークかつ、社員としても本当に嬉しい休暇なのだろうなと思います。

「二日酔い休暇」などができてしまうベンチャー企業とは対照的な、古くからの伝統ある会社だからこそ、有給休暇にも建前や大義名分が求められるという社風は事実としてあるのでしょう。

そうした社風を否定したり、無理に変えようとするのではなく、肯定して建前や大義名分を作ってあげるというのはまさにアイデアの勝利といって過言ではないでしょう。

単身赴任という意味ではそれこそメガバンクなどでも導入をしたらきっと好評になりそうな制度だと思います。

「特別繰越休暇」制度 - 北海道放送HBC

発生してから2年間に利用できなかった有給休暇を最大100日までストックできる「特別繰越休暇」の制度があります。病気やけが、子どもの看護などでまとまった休みが必要になったときには、ストックされていた有給を使うことができます。

引用元:https://www.hbc.co.jp/entry/attractions/policy.html

"ベンチャー企業"と"安定した大手企業"の対照的な部分は、「勤続年数」という部分にも大きく表れていることだろうと思います。
消費しきれなかった有給休暇が2年経ち消滅してしまった、という現象は、"安定した大手企業"に特に多い現象でしょう。

自社の社員の属性やニーズを的確に把握し、そこに対して大胆なアプローチができているという点でこちらも素晴らしい制度だと思います。

勤続年数の長い中高年のベテラン社員からすると、子供の病気や親の介護といった「何日休めばいいのかの段階から予測不可能」な事態にすら十分対応できるという意味で、この制度は非常に有難いものになるでしょう。

東邦銀行のイクまご休暇や、明治安田生命のキッズサポート休暇なども同じく、自社従業員の属性とニーズを的確に把握した例だと言えそうです。


本日は以上です。
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それではまた次回。

2022.2.14 さいとうさん


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