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笹の葉の股に蝸牛─ご近所六景。

ご近所六景。
(ある日のご近所をぐるりひとまわりして見られた景色)


テッセンに鳥居

この垣根のあるお宅は以前から空き家になっていて、それでも庭の花々はひとりでによく咲いている。
垣根に伸びたテッセンの写真を撮っても構わないかどうか、尋ねようにも誰もいないのだが、この、道に飛び出してちょうど顔の高さで咲いている一輪が、「まぁ、どうぞ」と言ってくれたような気が、しないでもなかった。

垣根の奥には池があり、もともとは趣のある一角なのだが、庭木は誰の指図ももらわないのでそれぞれ自分勝手に繁茂して、年々その水面を隠していくようだ。


ホオノキの花が咲いていた

ここにホオノキがあるのは知っていたが、何の気なしにふと来てみて、新緑の中に突如、大きな白い花がボンッと咲いているのに遭遇すると、ちょっとギョッとしてしまう。

と、急にこの近くでも最近熊が目撃されていることを思い出し、熊除けの気持ちもあって思わず「わぁ咲いてる……ホオノキ……咲いてるじゃん……」と、ひとり言の声が大きくなってしまった。
少しすると、木々の奥で何らか気配があり、しかしそれは熊ではなく、勢いよくチェーンソーが鳴り出した。森林整備の二人組で、これならば熊も驚いて出てこないだろうとこちらは安堵したのだが、チェーンソーの彼らにしてみると、仕事の手を休めている所に女が一人ぼうっと現れブツブツ言い出したので、、、

さぞかしギョッとしたろうと思う(笑)。


笹の葉の股に蝸牛

昼間の日差しと乾燥を避けて、蝸牛は殻に入ったまま微動だにしない。
すぐ下の葉っぱには、彼が放出した糞がこんもりと、小さな山を作って既にカラカラに乾いていた。

ハルジオンに小さなハナバチが

何処にでもある光景の、何と可愛らしいことよ。
何故か長らく、ペンペン草とはこのハルジオンのことを言うのだと勘違いしていて、どうして「ペンペン」なのかと不思議になりちゃんと調べてみて、ようやく自分の思い込みに気づいた。ハルジオンもペンペン草(ナズナ)も、何処にでも咲いているからだろうか。

ペンペン草と言えば、

映画「男はつらいよ 寅次郎忘れな草」で、とらやにやって来た浅丘ルリ子扮するリリーが、庭に降りて鉢植えの花を見つめながら「この花、何て言うの?」。庭の鉢植えになど全く興味のない寅次郎はそれを見もせずに、「ペンペン草でしょ」。何言ってるのお兄ちゃん、とさくらがあわてて「忘れな草よ!」。
「これが忘れな草か……」とリリー。

リリー(百合)、ペンペン草、さくら、忘れな草と、とらやは何だか花盛りであるが、ついでに太宰久雄が演じたタコ社長の名は桂梅太郎で、こちらも花なのである(笑)。
ところで寅次郎とさくらは異母兄妹。寅次郎の母親は上方の芸者で名前はお菊。演じたのはミヤコ蝶々。

菊の花を演じるのは蝶であった。


、、、なんちゃって。

知らない葉っぱに知らない虫

何だか知らないが赤と黒の虫。


アザミは咲き初め

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