アンジェロ

美容師、クリスチャンディオール(パリコレクション)のヘアメイク、TVチャンピオン優勝、…

アンジェロ

美容師、クリスチャンディオール(パリコレクション)のヘアメイク、TVチャンピオン優勝、TV.雑誌のヘアメイクアップなど、さまざまな体験をしてきた中で得た個人的な考えを書いています。

最近の記事

自分のビジョン(理想像)をヘアカラーで表現する

ヘアカラーの色や技術はとても豊富になっています。 ブラウンゴールドやミルクティーゴールなど、人気のゴールド系からピンクやグリーンまで、実にカラフルな色が展開されています。 グラデーション、メッシュ、バレイヤージュなどの技術で作られる明暗によっても、色の明度差による表現や、色と色のコラボレーションが可能となりました。 少し前までは、特にアグレッシブなヘアカラーをしていると、個性的な人というイメージでしたが、 今では、自分の精神的内面のビジョン(理想像)を表に現すための一

    • パリのルーヴル美術館で彫刻の髪形が気になる美容師

      フランス・パリのルーヴル美術館で、人体の立像彫刻を見たときのことです。 大理石で作られた立体美によって、身体のどの部分からも輝きがあふれているのですが、職業柄とくに後ろ髪が気になって、髪の毛ばかりをずっとながめていました。 ながめながら、 彫刻家は、石を掘り込んで、立体的な像を作り出すのに対して、 美容師は、毛髪を切り込んで、立体的な髪形を作り出しているところに、なにか共通点があるような気がしました。 そこで今回、「彫刻家の作る彫刻」と「美容師の作る髪形」の、それぞれの

      • 日常に散りばめられた美をひろい集めたい美容師

        「美とは何なのか」 「人はなぜ美を求めるのか」 これは科学的に証明することが難しい問題です。 宇宙の美しさ、人柄の美しさ、芸術の美しさなどは目で見ることができるので、美は存在しているんだろうなという事はなんとなく感じています。 けれど、 「美そのもの」は手にとったり、目で見ることができないので想像力を働かせながら憶測で考えることしかできません。 古代から現代まで、多くの哲学者、心理学者、脳科学者などが 「美とは何か」「善とは何か」について考えを巡らせてきました。 とい

        • 美容師は、キラめく髪形を即興(そっきょう)で作る!

          本日、いつお会いしても“あふれるエネルギー”でいっぱいのお客様にご来店いただきました! カウンセリングでのやり取りといえば 「アシンメトリーにしようかな…」 「イイですね。」 と交わしたくらいでしたが、 お客様の言葉の抑揚から、アシンメトリーによる斬新なデザインと、それによる喜びの期待を感じました。 幾度となく交わされてきた会話の中で感じ取れる、お客様のパワフルなマインド、独創的な哲学、美的センス、個性的な感性などの内面から本日のファッションに至るまで、 様々な情報を

        自分のビジョン(理想像)をヘアカラーで表現する

          ヒカリ輝く髪から美が立ち現れる

          髪や髪形にとって、ヒカリと影はとても重要な美の原理をふくんでいます。 ヒカリと影、明と暗による髪や髪形に及ぼす微妙な変化は、美的感覚や立体感などに影響を与えます。 一般的に、ヒカリ輝くツヤ髪は美の象徴であると言われますし、 髪形についても、ヒカリと影は奥行きなどを表現し、髪に立体感や動きを与えてくれます。 影には「平らなものを浮き上がらせて見せる美」があり「色彩の美以上」であるとレオナルド・ダ・ヴィンチはいいます。 影となる部分があってこそ、ヒカリに当たった部分が浮

          ヒカリ輝く髪から美が立ち現れる

          ベーシックルールでばえる髪形!

          誰が見ても「いいね!」と思われるような万人受けする髪形には、ある共通した基本的なパターンがあります。 ①シンメトリー(均斉) ②バランス(均衡) ③プロポーション(釣合) ④ハーモニー(調和) ⑤リズム(律動) 流行の髪形がどんなに変わっていっても、この5つのベーシックパターンを抑えるとだいたいは「いいね!」と言われる髪形に近づけることができます。 それらのパターンを形式的に髪形にはめ込んで、見る人の感覚にアピールする美しさのことを形式美といいます。 顔に対する左右の

          ベーシックルールでばえる髪形!

          クリエーターとしての美容師の目

          お客様か髪形を選ぶときに見ている所 「髪を切ろうかな」 と思うとき、 SNSを参考にして髪形を選ぶことが多いと思いますが、以前は雑誌のヘアカタログから選ぶことが主流でした。 そして不思議なことに、ヘアカタログに掲載された沢山の髪形の中で、 お客様に支持され選ばれるのは、決まって同じ数名のモデルさん達でした。 これは、 どのヘアカタログに変わっても同じような現象が起きていました。 そして、 そのモデルさん達は揃って美しく見える顔立ちだったのです。 人は生まれながら

          クリエーターとしての美容師の目

          美容師は、芸術と職人のあいだにある第三のわざを持つ

          美容師は芸術家?それとも職人? 美容師は、 当然のことながら芸術家ではなく、 かといって職人仕事に振り切っているわけでもなく、 いったいどのような立ち位置なのかと考えることがあります。 そもそも、 芸術と職人仕事にはどのような違いがあるのでしょうか? 近世(16~18世紀)では、 他者に対して何を目的とするのかによって芸術と職人を分けるといった考え方があったようで、 目的が快であるならば芸術。 目的が有用性であるなら職人仕事。 といった分け方があったようです。

          美容師は、芸術と職人のあいだにある第三のわざを持つ

          美容師が身につけたい「創造力」とは?

          美容師と創造力 一般的に 何かを制作する時は、 自分の想像・イメージしたものを、 具体的なかたちにするための 創造力が必要であると言われます。 美容師であれば、 ヘアスタイルを作る時は 美容師自身がイメージする 独自的で新しい価値観のある髪形を 具体的なかたちにするための 創造力が必要となってきます。 たとえば、 基本的なカットスタイルであれば 一定の方法に忠実に従って切り進めれば、 初級技術者から作ることができます。 でも、そのようなプログラムは 全てとは言い切れま

          美容師が身につけたい「創造力」とは?

          ヘアスタイル画像を見る美容師の、脳のしくみがわかる

          「ヘアスタイル変えようかな…」 「なんかイイ髪形ないかなぁ…」 と思うときによくするのが SNSによる髪形検索ですね。 「髪形、流行り、ショート」などと検索すると、 とりあえず、いくつものアタマ? が画面いっぱい目に飛び込んできます。 画像が目に飛び込んできた瞬間は、髪形を分析して見てるというよりも 「画像が投射された」 「サイトと中継が取れた」 といったレベルです。 これは、 脳がボトムアップ処理をしている状態です。 パッとアタマっぽいものが見に入ってから、髪

          ヘアスタイル画像を見る美容師の、脳のしくみがわかる

          目と手は、美容師が髪形を考える時に頼りになります。

          髪形を考える時、目と手によって想像力を膨らませる 新しいヘアデザインを考えるとき、 お客様の髪を見ながら、 髪を手に取って「つまむ」「にぎる」などしながら 「どんな髪形にしようかなぁ」と 想像力を働かせていくことがあります。 手と髪のように、 “手と物”との圧力の掛け合いから生まれてくる想像力を 「物質的想像力」と名付けたのは 哲学者のバシュラールです。 髪に限らなくても、物資にはそれぞれにエネルギーがるあようです。 物質が持つエネルギーと、 手が持つエネルギー

          目と手は、美容師が髪形を考える時に頼りになります。

          美容師がカウンセリングのときに必要なのは想像力です

          美容師に必要な「連想ゲーム」的想像力 お客様がご来店されると、 必ずカウンセリングを行うのですが、カウンセリングの時の想像力(Imagination)が 美容師にとってとても大切になってきます。 たとえば、 お客様がアタマの中で 「想像している」「描いている」 髪形がある場合は、 お客様のお話しを伺いながら、 お客様が思い描いている髪形を、 美容師である自分の頭の中に 「連想ゲーム」のように思い描きながら想像を膨らませていきます。 この時気をつけているのは、アリストテレ

          美容師がカウンセリングのときに必要なのは想像力です