アンジェロ

経歴:美の本質や構造について、美容業を対象にしながら書いてます。

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最近の記事

「美の実践者」である美容師とは?

美容師が髪を切っている時や、仕上げのセットをしている時など、 美容師はヘアスタイルを作りながら、美しい形を実現させるための技術の実践と、 人に対しての、思いやりや気配りといった道徳的な行いを実践する「美の実践者」であるといえます。 たとえば、結婚式を間近にひかえた女性のお客様がご来店され、美しい髪形、キレイな髪色、ツヤ感のある髪を希望されたとします。 その思いに応えようとする美容師の心のあり方は精神の美に関わってきます。 お客様が求める美しい髪形を想像するときは、美

    • マリー・アントワネットのボリュームヘアはアレゴリー

      フランス・パリのオリンピックで話題となっているマリー・アントワネット。 マリー・アントワネットの肖像画には必ずと言えるほど「ボリュームのあるヘアスタイル」に「鳥の羽」と「リボン」。そして「華やかなドレス」や「バラ」などのアイテムが描かれています。 「ボリューム・ヘア」や「華やかなドレス」は、マリー・アントワネットの王妃としての「誇り」や「覚悟」を象徴しているようにも感じとれます。 西洋美術では、マリー・アントワネットの「ボリューム・ヘア」や「華やかなドレス」のように、

      • とある美容師の朝のルーティン・朝日と風とコーヒーと

        朝起きると、必ずカーテンを開けて窓を開けることにしています。 太陽の日差しと柔らかい風が部屋にスーッと入ってくる感じが好きです。 さぁ、今日も新しい1日が始まる! そして、コーヒーを入れて飲むのが朝の楽しみです! コーヒーを飲みながら本を読み、覚えたいことや思いついたことをノートに書いたりしています。 朝のこの時間は、自分と向き合うことができるとても有意義で大切な時間です。 そうこうしていると、あっという間にサロンワークへと向かう時間となって、あわててアタマの中を

        • 美しいヘアスタイルを見分ける!

          夏の日差しが厳しいこの季節に、秋を先取りしたファッションでご来店されたデザイナーのA様。 ヘアスタイルの遍歴をたどってみると…髪にらせん階段のような段差をつけたカットや、アシンメトリーの髪の一部にスパイラルパーマをかけたり、絞り染めのようなヘアカラーをするなど、同じ髪形を作ったことがありません。 いつも、A様ご自身の審美眼にもとづいてヘアスタイルを設計していくのですが、プロセスでのやりとりや結果を純粋に楽しんでいらっしゃいます。 「ここに分け目があるといいかな」「この部

        「美の実践者」である美容師とは?

          光が色にとりこまれた「フレンチバレイヤージュ」カラー

          「フレンチ.バレイヤージュ」とは、ヘアカラーの一種で、木陰にやわらかなこもれ日が届くような優美さが特徴的なヘアカラーです。 バレイヤージュとは、フランス語で「掃く(はく)」という意味。 技法としては、基本的に脱色剤を使い、ヘアカラー用のハケを使って塗布をしていくのですが、ほうきで床をはくかのように「サッサッサー」と手を動かしていきます。 たとえば、ペンキを塗るときにローラーを使って塗るのと違い、ハケを使って塗ると、ハケについたペンキの量が減るにつれ、塗れているところと塗

          光が色にとりこまれた「フレンチバレイヤージュ」カラー

          哲学者カントとスリオによる芸術体系✖︎美容の技術体系

          芸術の世界では、芸術を種類によってふるい分ける「諸芸術の体系」というシステムがあります。 どのようにふるい分けるのかは、カントやエティエンヌ.スリオなど、哲学者によってもいろいろと意見が分かれるようです。 カントは大きく3つの芸術に分けています。 ①建築や彫刻などの3次元のものと絵画や、装飾などの2次元的なものの空間芸術。 ②音楽や文芸など、時間的に発展をしていく芸術を時間芸術。 ③演劇やダンスなど、空間的な延長を持ちながらも、時間的に発展する時空間的芸術。 カン

          哲学者カントとスリオによる芸術体系✖︎美容の技術体系

          ばえるヘアスタイルがチャンスを引きよせる⁉︎

          イタリアに 「良いクツをはきなさい。良いクツは、はく人を良い場所へ連れて行ってくれる。」という格言があります。 これはヘアスタイルにも置き換えることができます。 自分を「ばえさせるヘアスタイル」は、良い場所となる「次のステージ」へ連れて行ってくれると思います。 見方を変えると、次のステージに行くためには「ばえるヘアスタイル」が、以外と大きな力になってくると思います。 時間を要する体型や考え方を変えるのとは違って、ヘアスタイルはその日のうちに手っ取り早く変えられます。

          ばえるヘアスタイルがチャンスを引きよせる⁉︎

          自分のビジョン(理想像)をヘアカラーで表現する

          ヘアカラーの色や技術はとても豊富になっています。 ブラウンゴールドやミルクティーゴールなど、人気のゴールド系からピンクやグリーンまで、実にカラフルな色が展開されています。 グラデーション、メッシュ、バレイヤージュなどの技術で作られる明暗によっても、色の明度差による表現や、色と色のコラボレーションが可能となりました。 少し前までは、特にアグレッシブなヘアカラーをしていると、個性的な人というイメージでしたが、 今では、自分の精神的内面のビジョン(理想像)を表に現すための一

          自分のビジョン(理想像)をヘアカラーで表現する

          パリのルーヴル美術館で彫刻の髪形が気になる美容師

          フランス・パリのルーヴル美術館で、人体の立像彫刻を見たときのことです。 大理石で作られた立体美によって、身体のどの部分からも輝きがあふれているのですが、職業柄とくに後ろ髪が気になって、髪の毛ばかりをずっとながめていました。 ながめながら、 彫刻家は、石を掘り込んで、立体的な像を作り出すのに対して、 美容師は、毛髪を切り込んで、立体的な髪形を作り出しているところに、なにか共通点があるような気がしました。 そこで今回、「彫刻家の作る彫刻」と「美容師の作る髪形」の、それぞれの

          パリのルーヴル美術館で彫刻の髪形が気になる美容師

          日常に散りばめられた美をひろい集めたい美容師

          「美とは何なのか」 「人はなぜ美を求めるのか」 これは科学的に証明することが難しい問題です。 宇宙の美しさ、人柄の美しさ、芸術の美しさなどは目で見ることができるので、美は存在しているんだろうなという事はなんとなく感じています。 けれど、 「美そのもの」は手にとったり、目で見ることができないので想像力を働かせながら憶測で考えることしかできません。 古代から現代まで、多くの哲学者、心理学者、脳科学者などが「美とは何か」「善とは何か」について考えを巡らせてきました。 という

          日常に散りばめられた美をひろい集めたい美容師

          美容師は、キラめく髪形を即興(そっきょう)で作る!

          本日、いつお会いしても“あふれるエネルギー”でいっぱいのお客様にご来店いただきました! カウンセリングでのやり取りといえば 「アシンメトリーにしようかな…」 「イイですね。」 と交わしたくらいでしたが、 お客様の言葉の抑揚から、アシンメトリーによる斬新なデザインと、それによる喜びの期待を感じました。 幾度となく交わされてきた会話の中で感じ取れる、お客様のパワフルなマインド、独創的な哲学、美的センス、個性的な感性などの内面から本日のファッションに至るまで、 様々な情報を

          美容師は、キラめく髪形を即興(そっきょう)で作る!

          ヒカリ輝く髪から美が立ち現れる

          髪や髪形にとって、ヒカリと影はとても重要な美の原理をふくんでいます。 ヒカリと影、明と暗による髪や髪形に及ぼす微妙な変化は、美的感覚や立体感などに影響を与えます。 一般的に、ヒカリ輝くツヤ髪は美の象徴であると言われますし、 髪形についても、ヒカリと影は奥行きなどを表現し、髪に立体感や動きを与えてくれます。 影には「平らなものを浮き上がらせて見せる美」があり「色彩の美以上」であるとレオナルド・ダ・ヴィンチはいいます。 影となる部分があってこそ、ヒカリに当たった部分が浮

          ヒカリ輝く髪から美が立ち現れる

          ベーシックルールでばえる髪形!

          誰が見ても「いいね!」と思われるような万人受けする髪形には、ある共通した基本的なパターンがあります。 ①シンメトリー(均斉) ②バランス(均衡) ③プロポーション(釣合) ④ハーモニー(調和) ⑤リズム(律動) 流行の髪形がどんなに変わっていっても、この5つのベーシックパターンを抑えるとだいたいは「いいね!」と言われる髪形に近づけることができます。 それらのパターンを形式的に髪形にはめ込んで、見る人の感覚にアピールする美しさのことを形式美といいます。 顔に対する左右の

          ベーシックルールでばえる髪形!

          クリエーターとしての美容師の目

          お客様か髪形を選ぶときに見ている所 「髪を切ろうかな」 と思うとき、 SNSを参考にして髪形を選ぶことが多いと思いますが、以前は雑誌のヘアカタログから選ぶことが主流でした。 そして不思議なことに、ヘアカタログに掲載された沢山の髪形の中で、 お客様に支持され選ばれるのは、決まって同じ数名のモデルさん達でした。 これは、 どのヘアカタログに変わっても同じような現象が起きていました。 そして、 そのモデルさん達は揃って美しく見える顔立ちだったのです。 人は生まれながら

          クリエーターとしての美容師の目

          美容師は、芸術と職人のあいだにある第三のわざを持つ

          美容師は芸術家?それとも職人? 美容師は、 当然のことながら芸術家ではなく、 かといって職人仕事に振り切っているわけでもなく、 いったいどのような立ち位置なのかと考えることがあります。 そもそも、 芸術と職人仕事にはどのような違いがあるのでしょうか? 近世(16~18世紀)では、 他者に対して何を目的とするのかによって芸術と職人を分けるといった考え方があったようで、 目的が快であるならば芸術。 目的が有用性であるなら職人仕事。 といった分け方があったようです。

          美容師は、芸術と職人のあいだにある第三のわざを持つ

          美容師が身につけたい「創造力」とは?

          美容師と創造力 一般的に 何かを制作する時は、 自分の想像・イメージしたものを、 具体的なかたちにするための 創造力が必要であると言われます。 美容師であれば、 ヘアスタイルを作る時は 美容師自身がイメージする 独自的で新しい価値観のある髪形を 具体的なかたちにするための 創造力が必要となってきます。 たとえば、 基本的なカットスタイルであれば 一定の方法に忠実に従って切り進めれば、 初級技術者から作ることができます。 でも、そのようなプログラムは 全てとは言い切れま

          美容師が身につけたい「創造力」とは?