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第三のわざをもつ美容師

美容師は芸術家?それとも職人?

美容師は、
当然のことながら芸術家ではなく、

かといって職人仕事に振り切っているわけでもなく、

いったいどのような立ち位置なのかと考えることがあります。

そもそも、
芸術と職人仕事にはどのような違いがあるのでしょうか?

近世(16~18世紀)では、
他者に対して何を目的とするのかによって芸術と職人を分けるといった考え方があったようで、

目的が快であるならば芸術。
目的が有用性であるなら職人仕事。
といった分け方があったようです。

たとえば、
美しい彫刻や美しい宝石など、
上品で清らかな精神とわざによって作られるもの、
そして「快楽」「楽しさ」のあるものは芸術。

一方で、
人や社会に「役に立つ」為の利他的な精神とわざによって作られるものは職人仕事とみなされました。

そして、
快と有用性を併せもつ建築などは、第三のわざとされていました。

美容師の仕事に照らし合わせて考えると、

美容の仕事も、
見た目の美しさによって快をもたらすというだけではなく、

精神にも良い働き掛けがあることなどを考えると、

内面と外見の両面の美しさを実現するために必要な快と有用性の両方を併せもった美容は、第三のわざといえるのではないかと思います。

第三のわざをもつ美容師

芸術家ばかりでなく、
職人の仕事に寄り添う
フランスの美学者エティエンヌ・スリオは、

職人が持つ自ら新しいものを作り出そうとする力、
積極的により良いものを作り出そうとする力、
仕事の処理や順序を決定する力など、

様々な力を必要とするプロセスがあってこそ、作品はかたちとして成り立つとして、職人のプロセスに重きを置いていました。



「作品の完成形やプロセスについて深く考え工夫を凝らしてかたちとなったところには、部分的に芸術が含まれている。」


芸術と職人仕事の間の第三のわざをもつ美容師が、
結果とプロセスについてしっかり考え、
わざに工夫を凝らして作った髪形には、
有用性と共に、快となる芸術が含まれているのだと思います。


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