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マリー・アントワネットのボリュームヘアはアレゴリー

フランス・パリのオリンピックで話題となっているマリー・アントワネット。

マリー・アントワネットの肖像画には必ずと言えるほど「ボリュームのあるヘアスタイル」に「鳥の羽」と「リボン」。そして「華やかなドレス」や「バラ」などのアイテムが描かれています。

「ボリューム・ヘア」や「華やかなドレス」は、マリー・アントワネットの王妃としての「誇り」や「覚悟」を象徴しているようにも感じとれます。

西洋美術では、マリー・アントワネットの「ボリューム・ヘア」や「華やかなドレス」のように、

描かれている神とか人物の「役割」や「地位」や「立場」などを表すようなアイテムやグッズをアトリビュート(お約束ごと)といい、

マリー・アントワネットの「誇り」や「覚悟」のように、神や人物の抱くさまざまな「願い」や「思い」といった精神面を具体的なアトリビュートを通して表現することをアレゴリーといいます。

アレゴリーは、目には見ることができない「ざっくりとした人の気持ち」をアトリビュートによって具体的な形で目に見えるように表現することをいい、理想的な精神のあり方を寓意(ぐうい)のように別の物事に託して表現することもあります。

もう少し具体的に例えるなら、

「マリー・アントワネットといえばボリューム・ヘアがお約束ごととして表現されている」

または
「マリー・アントワネットの肖像画がお約束のボリューム・ヘアを通して『この人物はマリー・アントワネットである』と見てすぐわかるように描かれている」

…ならば、その表現はアレゴリーといえます。

佐々木健一先生の著書「美学辞典」に、哲学者シェリングによるアレゴリーの見解が書かれています。

「ある表現において、普遍が特殊を意味する、あるいは普遍が特殊を通して直観されるならば、その表現はアレゴリーである。」

ところで、中世のヨーロッパには、古代ローマの文化を母体として、キリスト教の発展とともに花開いた「キリスト教美術」という芸術様式があるのですが、

そのキリスト教美術では、キリスト教の宗教的メッセージや信仰を通しての精神のあり方をアレゴリーの力を生かして表現しています。

たとえば、イエス・キリストをイメージする十字架、光輪、鳩、羊などのアトリビュートを使ったアレゴリーの表現によって神聖な世界を印象付けています。

このアレゴリーによる表現は、天界の存在や歴史人物に関わることばかりではありません。象徴的な力の差こそあれ、わたしたちの身近なところでも見つけることができます。

たとえば、平和といえばハト、日本食といえばスシ、オリンピックといえば五輪マークなど。

ヘアスタイルにまつわるものもあります。ヒンドゥー教といえばドレッドヘア、僧侶といえば坊主、舞妓といえば結髪など。

アレゴリーは、もっと身近に自分を表現する手段として使うことができます。

誰でも一度や二度くらいは、思いがけないところを人から褒められたり、自分では感じていなかったけど、良い特徴的な部分を褒められたことがあると思います。

たぶんそこが自分の強みの部分です。
その強みの部分を、アレゴリーの力を使うことでさらに印象的にすることができるかもしれません。

マリー・アントワネットのように、アレゴリーの力をヘアスタイルによって活かすのもその一つです。

まずは、自分を輝かせてくれるようなヘアスタイル(アトリビュート)を想像してみたり、SNSなどで見つけてみてはいかがでしょうか。

そして、実際にそのヘアスタイルをしたら、人に褒められたり自分自身も快く喜びを感じたなら、そのヘアスタイルは精神を表すものとなり、あなたを魅力的に印象づけるアレゴリーとなってくれることでしょう。







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