見出し画像

哲学者カントとスリオによる芸術体系✖︎美容の技術体系

芸術の世界では、芸術を種類によってふるい分ける「諸芸術の体系」というシステムがあります。

どのようにふるい分けるのかは、カントやエティエンヌ.スリオなど、哲学者によってもいろいろと意見が分かれるようです。

カントは大きく3つの芸術に分けています。

①建築や彫刻などの3次元のものと絵画や、装飾などの2次元的なものの空間芸術。

②音楽や文芸など、時間的に発展をしていく芸術を時間芸術。

③演劇やダンスなど、空間的な延長を持ちながらも、時間的に発展する時空間的芸術。

カントはこのように、芸術を3つのカテゴリーに分けて考えました。

一方、スリオの提唱する「諸芸術の体系」は、
「いろいろな芸術から感じ取れる『感覚』によって、芸術をいくつかの種類に分ける」
という理論のもとにシステム化されていて、これは美容師にも応用できる内容だな、と感じました。

スリオは感覚によって、線、ボリューム、色、光、運動、語音、音楽の7つのカテゴリーに分けています。

① 線
からくさ模様など、線によって表現するデッサンなど。
②ボリューム
凹凸によってボリューム感を表現する建築や彫刻など。
③色
色の使われ方や塗り方によって表現する絵画など。
④光
照明とか光を与えることで映し描かれる映画や水彩画など。
⑤運動
体を使って身振りや表情を表すダンスなど。
⑥語音
音声(言語)で表現する文学や詩など。
⑦音楽
音を表現手段とした音楽.。

このカントの空間芸術と、スリオの諸芸術の体系を参考にして、美容師の技術から感じ取れる「感覚」を大切にしながら美容の空間技術を7つのカテゴリーに分けることができます。


①彫刻的カット
凹凸によってボリューム感やスッキリ感を表現する彫刻的カット。

②装飾
ワックスやスプレーなどの材料や電化ヘアグッズを二次的に使いながら、髪の毛を装飾的に作る形成活動。

この装飾活動によってベースとなっているカット等の彫刻的な内容を、最高度に具体化して現すことができます。

③オブジェ
オブジェとは、「もの」を使って作られた立体の作品で、素材そのものの美しさと存在感を際立たせた作品をいいます。

美容師にとってのオブジェヘアとは、髪に逆毛を立てたり、スプレーやセット剤などを使って作られた立体の髪形のこと。髪そのものの美しさと存在感を際立たせたヘアセットやアップスタイル。

④コラージュ
コラージュとは、平面の上に、複数の断片となる「もの」を適当なところに割りあてて作り上げた作品をいいます。

球体ではありますが、18世紀のマリーアントワネットに代表されるような、ヘアアクセサリー、リボン、ヒモ、羽などの「もの」によって表現するヘアスタイルがコラージュヘアです。
トップの画像はコラージュヘアです。

⑤色によるヘアカラー
色の使われ方や塗り方によって表現するヘアカラー。

⑥光
照明とか光を与えることで光輝くトリートメントや髪質改善など。

⑦運動的毛髪
流れる水(連続的なエネルギー)のように髪の運動を表現するパーマや、ヘアアイロン、コテなどで作られたウェーブや巻き髪。


このように、それぞれの技術の特性によってふるい分け、システム化してみると、自分の得意とする分野や好きな分野が見えやすくなるというメリットが生まれることもわかりました。

きっと美容に限らず、どのような職業でも、仕事や技術を感覚によってふるい分け、システム化してみると「以外と人より得意かも」とか「コレ好きかも」といった分野が見つけやすくなって、それがやりがいへとつながっていくような、そんな感じがしました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?