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SUMMER

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MY(YOUR) SUMMER STORIES
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次なんてない



最後に点火し忘れていた線香花火

「次会った時にやろうね」

そんな約束をして、夏は終わったよ。

もう、風が冷たいよ。

次なんてなかった。

きっと来年の夏はまた違う誰かの隣にいる。

その先も、きっと、ずっと、そう。

夏の陽射しと思い出と一緒に、さようなら。

エンドロール

エンドロール



目を覚ませば、もう正午を回る頃だった。

…どれくらい眠っていたのだろう。

夏は、何故こんなにも心を支配するのだろう。

やけに目に灼きついているいつかの夏も

花火と共に消えた恋心も

家族と食べた西瓜の味も

すべて、夏が淡く、そしてくっきりと色付けていく。

夏が始まったあの日が、もうこんなにも遠くに感じる。

セミの声が遠のき始めた頃、また街には人の声が戻ってくる。

きっと、誰も

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SUMMER

Someone called me “SUMMER”

I introduced myself “I am SUMMER”

And someone else said.

“SHE IS SUMMER”

アイスの底は見たくない

アイスを食べすぎてお腹が痛くなることはしょっちゅうである

年中アイスを食べてはいるものの、やはり夏になればシーズンというか、風物詩というか

他の季節よりも食べる機会は多くなる

私はアイスの底が見えるのが嫌いだ

もうなくなってまう、終わってしまうのが嫌で、結局食べてしまえばなくなるのに変わりはないのに、いつまでもちまちまと食べるのである

終わりを見たくないからスプーンを止めた

でももう、

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夏が始まる日

7月20日 夏が始まる日

何年前になるだろう
もう思い出すことすらできない

ー7月19日
天気予報を見るまでもなく雨。

あの頃の私は髪がうねるだとか、ベタベタするだとか。
そんな理由でなく不機嫌だった。

いつもより早く終わる学校を背に、夏休みの話、宿題の話、新学期の話。
何かを楽しみにしながら、各々の夏の中に溶け込んでいくようだった。

そう、私の誕生日 7月20日

当時は第三月曜日が海

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夏が始まる前の大嫌いな日に

6月11日

梅雨入り。私の大嫌いな季節。1番嫌いな季節だ。

巻いた髪は全て取れ、肌に張り付く汗と髪。

そして時間をかけて完成された“今日の可愛い私”はことごとく雨と湿気と汗に流されていく。

そしてこのお話も、もしかしたら同じようにただ流されていってしまうのかと思うと、少し切ない。

それでも気持ちは生物だから、今書き留めておきたい。

誰に伝えるわけでもないこの気持ちを、私は確かに忘れたく

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